2022年06月28日( 火 )
by データ・マックス

尹錫悦氏、韓国の第20代大統領に就任(後)

日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

前途多難な「いばらの道」

韓国国会議事堂 イメージ    今回の大統領選で尹大統領は僅差で勝利を収め、大統領に就任したものの、野党になったとはいえ、国会では財閥や大企業に比較的厳しい進歩(革新)系の「共に民主党」が依然として絶対多数を占めている。その結果、新大統領は野党の反対で、首相任命の時点からつまずいている。

 このような国会のねじれ現象は今後2年で終わるのか、それともこの先も続くのか、まだわからない。巨大野党の協力なしには政局運営の道も多難である。また、ロシアのウクライナ侵攻は長期化の兆しを見せており、エネルギー、食糧供給や物流などに大きな影響が出ている。

 さらに中国のゼロ・コロナ政策で中国経済が失速し、中国の不動産バブル崩壊が懸念されている。米国のインフレや利上げは、世界経済を揺るがしかねない不安要因となりつつある。世界経済の動向だけではない。韓国内では膨れ上がった家計債務の問題、貧富の差などの深刻な構造的問題が露呈し、経済危機のトリガーに発展しかねない状況である。すなわち、どの時期よりも大統領の手腕が問われる大切な時期に韓国は差しかかっている。ここでかじ取りを間違えば、韓国は通貨危機などに見舞われかねない。韓国のこのような状況を反映してか、ウォン安が進み、所得が増えないなか、物価高騰が続いている。このような難局に新大統領はうまく対処できるのか国民の注目が集まっている。

米国・日本との関係改善は可能なのか

 文在寅大統領は中国や北朝鮮との関係を大事にし、米韓安保同盟の相手国である米国の信頼を失っている。また、日本とは、国際社会における基本ルールである両国政府の合意を前政権がひっくり返し、日韓関係は今までにないほど冷え切っている。

 尹大統領は文大統領と違い、米国と日本との関係改善を図るとは言っているが、具体的な中身はまだ提示していない。韓国国内でも経済的なつながりが強く、「今後、米国を追い抜くことになる中国との関係強化が大事である」という意見と、「中国は信用できないので米国との安保同盟を軸とした既存のルールを大事にすべきだ」という意見に分かれている。

 韓国はかつて「衰退していく明よりは清と組むべきだ」と主張する派と、「今までの義理を大事にし、明を大事にすべきだ」という派に分かれていた時期があった。歴史は繰り返すというが、これと同じ状況が起きている。このような状況では、政界と民間レベルをうまく使い分けた対応策などが検討されるべきだろう。

 日本との関係も非常に悪化していて、「とにかく仲よくしましょう」というだけでは、関係改善は難しいだろう。日本では、このように関係が悪化したのは韓国のせいだから韓国側が対応策を提示するべきだと思っているようだ。冷静に両国がおかれている現状を分析し、両国にとって何がプラスになるのかを考えたうえで、具体的かつ実践的な対策が練られないと、関係改善は掛け声だけに終わる可能性もある。

 韓国は経済的には以前と比べて大きく成長しているが、今後は国際社会でどのような責任と義務を負うべきかを明確にし、先進国の一員としてふさわしい役割をはたすことが求められるだろう。尹大統領にかかる期待は大きい。荷が重いかもしれないが、新しい時代を切り拓くリーダーになることを期待してやまない。第20代大統領の就任式が韓国の歴史上、重要な分岐点になるのは間違いない。

(了)

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