2022年06月28日( 火 )
by データ・マックス

グループの役割が明確化 溝江建設は本業回帰(前)

溝江建設(株)

 創業80年を超える老舗ゼネコン・溝江建設(株)。これまで建設工事とパチンコホール運営を主とするレジャー事業を手がけていたが、近年は本業である建設工事で存在感を強めており、みぞえグループ内における役割の明確化が進んでいる。

創業80年超の老舗ゼネコン

溝江建設 本社
溝江建設 本社

    溝江建設(株)は、1940年に溝江スヱコ氏が福岡県飯塚市で木材商としてプレス加工業を興したのが始まり。50年には木材問屋としての活動もスタートさせ、57年に住宅開発部門を設立。住宅事業へと進出し、64年に(株)丸栄商事の商号で法人化をはたした。その後、複数回の商号変更と増資を繰り返しながら、77年以降に建築工事業、土木工事業、舗装工事業の県知事許可を取得し、業容を拡大。85年に溝江昭男氏が代表取締役に就任すると、87年に溝江建設(株)に商号を改め、各工事業を県知事許可から大臣許可に変更した。

 この間、78年に(株)みぞえ住宅を設立。「女やけん細かいところに気がつきますと!」のフレーズでもお馴染みの故・溝江スヱコ名誉会長が出演したテレビCMの効果もあり、みぞえ住宅と「みぞえ」の知名度は高まっていった。

 溝江建設は福岡を拠点に数多くの施工実績を上げ、91年には東京支店を開設(2010年閉鎖)。97年9月期には300億7,631万円の売上高を計上した。勢いに乗る同社は、グループ企業のみぞえ不動産(株)(現・(株)みぞえ)が倒産した地場デベロッパー、(株)すまいの本社ビルを購入したのを機に、本社を福岡市中央区舞鶴から現所在地(赤坂)へ移転している。

 本業の建設工事以上に溝江建設の飛躍を支えたのが、パチンコホール「ヴィーナスギャラリー」を含むレジャー事業だ。94年に大分県日田市でオープンした複合商号施設「アーバンピラミッド(現・アーバンタウン)」の影響はとくに大きく、売上高300億円突破の原動力となった。99年9月期時点の売上高は366億7,927万円で、このうち約8割をレジャー事業が占めている。

多彩な事業展開、みぞえグループ

 事業の多角化にともない、徐々に組織のグループ化を進め、事業効率の向上を図ってきた溝江建設。2022年5月現在、みぞえグループは溝江建設、みぞえ住宅の2社を含む全7社で形成されている(【図】参照、ドコモショップべふ店、ワイン専門店エムセラーズ除く)。

【図】みぞえグループ概要

 グループで最も売上高が大きいのは、ホール運営の(株)イクティス。九州・関西エリアで18店舗展開し、売上高は200億円を超える。一方、売上高が小さいのがみぞえ住宅と(株)フラワーパークだ。コロナ禍でウッドショックに代表される建築資材の高騰と不足、時短営業やリモートワークの普及にともなうオフィス環境の変化などの影響を受け、両社とも業績が振るわなかった。このほか、絵画の展覧会などを行う(株)みぞえ画廊は、パウル・クレー作品を2億5,920万円で落札するなど積極的に収集を行っており、(株)GPAコーポレーションは東京を拠点に、ゲームセンターや温浴施設など多岐に渡る施設を運営している。

 溝江建設は19年にホール「ヴィーナスギャラリー福岡」の経営事業に関する権利をグループ企業のイクティスに譲渡。レジャー事業の核となっていたパチンコ事業をイクティスに移管したことで、溝江建設の売上高は21年9月期に80億2,431万円まで減少した。

 売上高が100億円を割り込んだ同社だが、20年9月期~21年9月期間で営業利益率は2.51%→4.13%、経常利益率は2.79%→5.07%、当期純利益率は1.59%→4.03%へそれぞれ向上している。パチンコ事業を移管していなければ、改正風営法に適合するパチンコ・スロット台の購入、改正健康増進法の施行による完全分煙化に向けた内装工事など、ホールへの規制強化にともなう費用負担の増加は避けられなかった。パチンコ事業の移管が、増益の一助になったといえる。

 建設工事の受注比率は民間元請が8割強、残りが公共工事で、ホールの増改築工事などグループ企業からの受注も少なくないが、食品メーカーの工場新設工事や宗像大社の斎館新築工事など、受注基盤は多岐にわたっている。

 財務面は月商の5カ月分の現預金を保有し、当座比率は150%を超えている。対して、借入金は長期借入金が4億9,996万円のみで、自己資本比率は71.32%と強固な財務体質を築き上げている。

【表1】溝江建設(株)業績概要

(つづく)

【代 源太朗】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:溝江 弘
所在地:福岡市中央区赤坂1-9-20
設 立:1964年10月
資本金:1億円
売上高:(21/9)80億2,431万円

(後)

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