2024年04月25日( 木 )

【検証】山口FG取締役会議事録(4)

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弁護士とは思えない奇妙な持論を連発する国政氏

臨時取締役会議事録稿本

    国政道明氏はクーデター後にたびたびマスコミに登場し、吉村氏を批判していた人物である。インタビューではクーデターや謀議を否定していたが、この稿本により虚偽説明の疑いが強まった。弁護士としてどんな業績があるのかもよく分からず、なぜ山口FGの社外取締役に起用されたのか不思議な人物でもある。少なくとも法律家の観点からの監査を期待されてのことだろうが、この日の取締役会で述べられていることは子どもの屁理屈のようなものばかりである。とても上場企業や金融機関の取締役が務まるとは思えない。稿本から発言を見ていきたい。

「執行権限、本部の執行権限違反がなければ何でもできる、それは間違いですよ、それは。会社法の規定が優先するんだから。」(P11)

 何か不思議なことを言っているが、法令である会社法の規定が優先するのは当たり前のことである。山口FGの社内規則も法令に則って定められているはずだ。もし、違法の社内規則となっているのであれば取締役監査等委員である国政氏の責任も重大である。とても、そのような自覚のある発言とは思われない。

 国政氏の発言は、山口FGの権限規程が違法の可能性があるという前提でなければおかしい。社内規則は法令を遵守しているという前提でなければ議論などできないではないか。前提の置き方からしておかしく、珍妙な屁理屈である。到底、上場企業の取締役会での発言とは思えない。

「今議論しても仕様がないんだから。だから取締役会が一番上部の機関なんだから。取締役会で決めたことが一番の優先です。」(P13)

山口フィナンシャルグループ    決裁権限のあり方について議論する吉村氏に対しての言葉である。取締役会は取締役会規則で定められたことのみを決議対象とすべきであり、下部の機関に与えた権限にまで介入すべきではないだろう。そうでなければ健全な組織運営とはならないと思うのだが…。細かな数百円の経費といったことまで取締役会で否決する権限があるというのだろうか。このような子どもじみた屁理屈をいうから吉村氏が大量の議案を取締役会に上程せざるを得なくなったとも考えられる。国政氏のこの発言は、真っ当な組織運営を考えたうえでの発言とは思えない。

 付け加えると、株式会社の最高意思決定機関は、取締役会ではなく株主総会である。この取締役会に先立って行われた山口FG株主総会では、公表されている吉村氏の代表取締役会長就任を前提として、吉村氏の取締役選任を決議している。「一番上部の機関」を軽視しているのは国政氏である。

「第一号議案は結論が出たのです。それを個々の取締役がなぜ反対したのか、説明する義務
はありません。」(P24)

 驚くべき発言だ。上場企業の重要議案での決議に関して、取締役に説明責任はないと言っている。取締役とは経営者である。賛成か反対かを挙手で決めるだけではなく、当然、利害関係者への説明責任がともなうものである。公の場で、取締役に説明責任はない、という弁護士がいるとは思わなかった。なるほど、山口FGが説明責任を果たそうとしないのは、社外取締役がこのような考え方であるからかもしれない。

 どうやら国政氏が言っていることは、法令さえ守っていれば倫理や道徳、社会的責任はどうでもいいということのようだ。そのような態度の企業は、現在の社会で受け入れられるわけもなく、このような考え方の人物が地域社会と密接に関わりあう地域金融機関の取締役として相応しいとは思えない。

(つづく)

【特別取材班】

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