2022年08月14日( 日 )
by データ・マックス

公選法違反の疑いで刑事告発 大石賢吾長崎県知事

大石賢吾長崎県知事
大石賢吾長崎県知事

    「長崎県知事選」(2月20日投開票)で、現職の中村法道知事と新人の宮沢由彦候補を破り、全国最年少知事となった大石賢吾・新知事(自民党県連と日本維新の会が推薦)に公職選挙法違反の疑いが浮上した。市民団体「正常な知事選を実現する会」と「510けいしょう会」が4月28日と5月13日に記者会見、大石知事と選挙コンサルタントの大濱崎卓真氏らを刑事告発し、公開質問状(6月5日期限)を作成したことも発表したのだ。

 その1つが、三月定例会(県議会)で小林克敏県議が追及した経歴詐称疑惑だ。県知事選では「コロナとたたかう医療専門家(元厚労官僚)」「長崎県のコロナ対策の即戦力」などとアピールをして初当選をした大石知事だが、同省のコロナ対策関連議事録には一度も登場せず、国家公務員試験合格で厚労省に入ったキャリア官僚ではなく、産後うつの精神科医として厚労省に一時的に出向していただけだったのだ。

 公職選挙法は、選挙中に虚偽(ウソ)の情報を流すことを禁じている。学歴詐称がばれた議員が辞職することがあるのはこのためだが、経歴詐称浮上の大石知事も公選法違反に当たる可能性が出てきた。こうしたことから先の市民団体は、大石知事への刑事処分と知事選のやり直しを求める記者会見を開いたのだ。

 ただ県政記者クラブの記者しか質問ができなかったので、5月18日の会見終了後、説明役をした市民団体メンバーに個別取材をした。

 ──公開質問状で、小林県議の県議会でのやりとりを触れていたが、要は、産後うつの精神科医だったのに厚生労働省の官僚だったと(県民に印象づけた)。コロナの専門家で実際に携わっていたかのような虚偽の情報を流布して県民に誤解を与えて当選したのが非常に問題だと。

丸田たかあき・五島市議(510けいしょう会) そうですね。実際に県内では500人、600人と(コロナの感染者が)増えている状況でありながら、私の耳にも頻繁に入ってくるのは、「知事は何もしないのではないか。よっぽど前知事のほうが頻繁に記者会見をやっていた」という声でした(※)。
 私自身、(大石知事が)地元(五島)出身でありながら選挙戦で支援しなかったので、かなりバッシングを受けたが、今ようやく「あなたが指摘していた内容がこれなのだ」「我々は騙された」と言ってくれるようになりました。

※:コロナ関連の臨時会見回数のデータ(県のHPより)
●大石知事(3月2日~5月13日) 4回(約2回/月)
●中村知事(1月1日~2月末) 9回(約4.5回/月)

 丸田市議 「コロナの専門家で厚労省出身だ」と思ったので投票した人がかなりいます。いまだに厚労官僚だったと思っている人もいます。

 事前の(選挙)活動のなかで、ある大きな政党の看板にも「元厚労省官僚」と書かれていましたから。いつ消したのか知りませんが・・・。やっぱりみんな信じますよね。

 ──元厚労省官僚というと、難しい(国家)公務員試験を受かった高級エリート官僚だという印象があるが、実は、(千葉大から一時的に)出向をしているだけだったと。

 丸田市議 そのへんもゴマカシしていました。

選挙コンサルタントの大濱崎卓真氏
選挙コンサルタントの大濱崎卓真氏

 刑事告発をした市民団体は、県知事選で選挙コンサルタントをした大濱崎卓真氏(「ジャックジャパン(株)」代表取締役)の電話代402万円も問題視していた。4月28日の長崎放送は次のように報じた。

 「会(正常な知事選を実現する会)が取得した選挙運動費用の収支報告書によると、東京の選挙コンサルタント会社の代表取締役が選挙運動をしていたにも関わらず、報酬が支払われた記録がない一方、会社に『電話代』400万円あまりが支払われていました。会は、『電話代が報酬ではないのか』などと主張し、これらが『虚偽記載』にあたり、政治資金規正法に違反するとして、大石知事の刑事処分と知事選のやり直しを求めています」「今回の告発について大石知事の陣営関係者は『違法な選挙活動はしていない』としています」

 市民団体は、県議会(6月定例会)前日の6月5日を期限とした公開質問状を作成、記者会見場で配布していたが、以下のような質問が列挙されていた。

(1)厚生労働省は千葉大学からの出向ではないのか。

(2)厚生労働省は千葉大学からの出向であった場合、選挙公報などにおいて、なぜ厚生労働省へ出向と正確に記載しなかったのか。また、出向の立場にも関わらず、公示前の活動用自動車の看板に『元厚労省官僚』と銘記したのはなぜか。

(3)省庁への出向を経験した現在の県庁職員は元官僚として扱って良いのか。

 しかし大石知事からの回答は6月3日の段階で届いておらず、6月6日から始まる県議会で再び追及されるのは確実だ。最後に丸田氏は今回の告発の狙いをこう語った。

「こんな選挙は、長崎で初めてだった。こういった選挙を今後させないためにも、きちんとしたかたちでやってもらいたいという意味を含めての告発なのです。負けたから憎くてやるのではなくて、疑わしいことがいくつもあったのです」

 市民団体の刑事告発を受けて捜査機関(長崎県警や長崎地検)が動き出すのか。県議会でどこまで追及が進むのか。今後も、経歴詐称疑惑が浮上した大石知事と選挙コンサルタントの大濱崎氏から目が離せない。なお、県知事選投開票日の大濱崎氏の暴力的取材妨害については、2月25日の本サイトの記事「【長崎県知事選】大石新知事陣営による力づくでの取材妨害 これは暴力だ!」で紹介している。

【ジャーナリスト/横田 一】

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