2022年08月14日( 日 )
by データ・マックス

【長崎県知事選】大石新知事陣営による力づくでの取材妨害 これは暴力だ!

「維新」知事が長崎に誕生?

 現職と新人2人の三つ巴の戦いとなった長崎県知事選(2月20日投開票)で、「世代交代」を訴えて全国最年少知事となった大石賢吾氏(自民党県連と維新推薦)のもう1つの顔が明らかになった。当確後に万歳をした県医師会館で、現場を仕切る選挙プランナーの大濱崎卓真氏が囲み取材中の記者(筆者)を強制排除して警察に通報するという暴力的取材妨害をしたのだ(強制排除場面の動画はネット番組「横田一の現場直撃」冒頭1分45秒から紹介)。

 推薦した維新幹部は「もしも大石が勝つようなことがあれば『維新の知事が長崎に誕生した』となる」(2月3日付『現代ビジネス』)とコメントしていたが、大濱崎氏が選挙参謀を務めて誕生した「維新の知事」は、れいわ新選組の大石晃子衆院議員が「気に入らない記者は袋だたきにする」と日刊ゲンダイで語った橋下徹・元府知事と重なり合うものがある(註:この記事が名誉棄損に当たるとして橋下氏は大石氏と日刊ゲンダイを提訴。真偽は法廷で争われる)。

 「維新の全国最年少知事」誕生に貢献した大濱崎氏も、気に入らない記者に対して暴力的取材妨害をして警察に通報した。“維新御用達”選挙プランナーの独断か大石氏の指示なのかは不明だが、敵対的記者への差別的報道対応は「維新の知事」の特徴のようにも見える。

囲み取材から記者を強制排除⇒暴力的に拘束

 差別的報道対応は前日から始まっていた。維新副代表の鈴木宗男参院議員と藤田文武幹事長、さらに足立康史政調会長の幹部3人が応援に駆け付けた選挙戦最終日の19日、私は大石氏を3回直撃し、県内実力者の金子原二郎参院議員と谷川弥一衆院議員(KTコンビ)がいうことを聞かなくなった中村法道知事に代わって大石氏を擁立した“ダミー候補説”をぶつけた(NetIB-News「【長崎県知事選】自民・維新推薦の大石候補が初当選」)。このとき、間に入って質疑応答を早々に打ち切る役をしたのが大濱崎氏で、私の投開票日の取材不可も告げてきたのだ。

 「投開票を見守るのが県医師会館で、厳しいコロナ対策が求められるため、事前登録をした記者のみ取材可能」と大濱崎氏に言われたのだが、投開票見守り会場での万歳・挨拶・初会見の取材は、選挙報道に必須のハイライト場面だ。「長崎まできたのに手ぶらで東京に帰れ」と言われた気分になり、県医師会館の管理責任者(医療関係者)の科学的根拠(エビデンス)を示すように求めたが、大濱崎氏は拒否。施設管理責任者との直談判をしたいとも申し出たが、これも拒まれた。

 医療関係者の科学的判断というより、大濱崎氏の政治的判断(敵対的記者への差別的報道対応)の匂いを感じた。「39歳医師」「世代交代」とアピールしていた大石氏だが、県内実力者KTコンビのダミー候補との見方もあり、大石県政は「2人(KTコンビ)の傀儡県政になる」(先述の現代ビジネス)という声も出ていた。「表の顔とは違う別の顔(実態)が露わになるのを大濱崎氏は避けようとしたのではないか」という疑問が膨らんでいったのだ。

 傀儡県政になるのかを見極めようとする私の取材を、根拠を示さないまま拒む大濱崎氏の差別的報道対応を素直に受け入れるわけにはいかない。前日の通告通りに万歳撮影や会見参加を断られたとしても、その様子を動画撮影で記録として残しておこうと考えた。大石氏の当確がテレビに映し出された後、中村陣営の投開票見守り会場である県農協会館(記者の人数制限はなく取材可能だった)から、県医師会館に向かったのはこのためだ。

 しかし現場で指揮を取る大濱崎氏のガードは固かった。万歳や会見をする県医師会館二階の講堂(大部屋)の入口に門番のように立ちはだかるスタッフに「事前登録をしていないとダメ」と入室を断られ、大濱崎氏が呼ばれて取材不可を再告知されて退出も促されたが、ここでも科学的根拠は示されなかった。

谷川議員への囲み取材
谷川議員への囲み取材

    仕方がないので、会見などを終えて出てくるところの大石氏を直撃する“出待ち取材”に切り替えた。待機場所は、県医師会館一階の自動販売機脇のソファー。人が自由に出入りしていた自動ドアの隣で、ここを大石氏が通るとにらんだのだ。

 しばらくすると、二階から「大石さん!」という女性の大声が聞こえた。記念撮影が始まったのかと思って再び二階に上がると、講堂(大部屋)の前の共用スペース(ロビー)で、大石氏を支援した谷川衆院議員が囲み取材をしていた。すぐに記者団の輪に加わり、質疑応答が一区切りついたところで、「中村知事がいうことを聞かなくなったから大石氏を支援したのか」「石木ダム強制代執行を大石氏に迫るのか」と質問をしようとしていた瞬間、大濱崎氏に力づくで強制排除された。

 すぐに指示が飛んだスタッフにも取り囲まれて階段踊り場で拘束された。身動きができないまま、警察に不退去罪で通報され、長崎署に連れて行かれて翌21日午前2時まで取り調べられることになったのだ。

 深夜であったものの、郷原信郎弁護士に電話で相談をした。不退去罪での通報と伝えると、「立入禁止の表示がなくて自由に出入りするところで不退去罪は成立しない」との助言を受け、取調べの動画撮影や録音も違法ではないとのアドバイスもしていただいて動画撮影と録音をした。長崎署での取り調べは午前2時まで続いたが、不退去罪で逮捕されることなく、解放された。

暴力行為を大石知事は容認したのか

 今後は、大石知事が今回の暴力的取材妨害にどう関わっていたのかが焦点だ。現場を仕切る選挙プランナーに大濱崎氏に対して直撃を繰り返す敵対的記者への差別的対応を指示したのか。大濱崎氏の独断なのか、それとも両者で相談をしたのか。いずれにしても大石知事の監督責任は免れないが、動画でも公開した暴力的取材妨害に対して謝罪するのか。それとも正当性を主張するかも注目される。

 「全国最年少の維新の知事」である大石氏と維新全国展開の先兵役をした大濱崎氏。その正体を見極める必要がある。

【ジャーナリスト/横田 一】

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