水道創設100周年、福岡市の節水型都市づくり
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大渇水を教訓に、節水型都市に
福岡市における家事用の1人1日当たりの平均使用水量は約200L(福岡市公表『水とわたしたち令和4年度版』参照、数値は令和元年度時点のもの)で、東京都(約210L)や大阪市(約250L)などの大都市と比較しても低く抑えられている。福岡市水道局も「市民の皆さまへの節水の呼びかけなどにより、市民に節水意識が定着し、家事用の1人1日当たりの平均使用水量は大都市のなかで最も少ない水準」と胸を張る。
福岡市民の間で節水意識が高まったきっかけとしては、市を襲った2つの大渇水が考えられる。1つは、1978年の大渇水。前年から少雨が続いており、年間降水量が例年の7割以下となった。福岡管区気象台の観測史上5番目の小雨であり、干上がるダムが続出。同年5月から始まった給水制限は翌年3月までの287日間におよび、一番厳しいときの給水時間は1日5時間で、給水車を前に市民が列をなす事態となった。これを教訓として、福岡市は80年に全国で初となる再生水の供給に踏み出し、83年には九州を代表する大河・筑後川からの受水を開始した。
筑後川
筑後川は、その源を熊本県阿蘇郡瀬の本高原に発する九州最大の一級河川。熊本・大分・福岡・佐賀の4県にまたがっており、高峻な山岳地帯を流下して、日田市において、くじゅう連山から流れ下る玖珠川と合わさり山間盆地を流下。夜明峡谷を過ぎると、佐田川、小石原川、巨瀬川、宝満川など多くの支川を合わせながら、筑紫平野を流れ、やがて有明海にたどり着く。幹川流路延長は約143km、流域面積は約2,860km2。
上流域に日田市、中流域に久留米市や鳥栖市、下流域に大川市や佐賀市などの主要都市があり、流域内人口は100万人を超える。古くから人々の生活および文化と深い結びつきをもっている。また、23年には本格的な河川改修が始まってから「100周年」を迎えることから、記念事業が計画されている。もう1つは、94年の大渇水。年間降水量は観測史上最少を記録し、給水制限日数は78年を超える295日間にもおよんだ。しかし、筑後川からの受水も奏功し、給水車の出動はなかった。
2度の大渇水を経て、市は筑後川からの受水(現在では市で使用する水道水の3分の1を筑後川が担う)のほか、水源確保を海に求め、2005年には東区奈多に海水淡水化施設・まみずピアを開設。21年には、日本初となる渇水対策容量をもつダムとして計画された県営・五ヶ山ダムが完成し、市の使用可能水量は、これまでの約1.7倍に向上した。
このほかにも、市内配水管の流量や水圧を24時間体制で集中コントロールする水管理センターの運用、漏水調査と24時間体制での修理対応(漏水率は世界トップクラスの低さ)、こまめな配水管・給水管の取り替えなどの取り組みを行っている。
一度使用した水をきれいにして、水洗トイレなどで再利用する雑用水道の普及も進んでおり、福岡市は「節水型都市づくり」の成功例となっている。
【代 源太朗】
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