2022年08月18日( 木 )
by データ・マックス

SDGsがテーマの映画事業 ワイン事業を通じて世界平和に貢献を(中)

ユナイテッドピープル(株)
代表取締役 関根 健次 氏

 ユナイテッドピープル(株)は「人と人をつないで世界の課題解決をする」をミッションに掲げ、映画の配給・宣伝・制作を行うほか、昨年からはワイン事業も手がけている。7月5日に設立20周年を迎えた同社の関根健次代表に話を聞いた。

自社映画を制作「もったいないキッチン」

 ──映画事業をスタートさせようと思ったそもそものきっかけは何でしょう。

 関根 募金サイトを運営していた際、人々が「社会を良くしていこう」と考えるきっかけづくりの重要性を痛感しました。その「きっかけ」とは何かを考えたとき、最初に思い浮かんだのが「国際報道」=海外のニュース配信です。日本では海外のニュースが十分に届いていないのが現状です。国内の報道番組はバラエティー番組化し、海外の良質なニュース番組に触れる機会があまりないので、それを配信できたらと考えていたわけです。

 それが、なぜ映画事業を手がけるようになったのかと言いますと、かつてアジア最貧国と言われたバングラデシュを仕事で訪れたことがきっかけとなりました。バングラデシュでストリートチルドレンの保護活動をするNGO「エクマットラ」からストリートチルドレンを題材にしたドキュメンタリー映画「アリ地獄のような街」を制作したことを聞かされたのです。

 バングラデシュには、昔からいたるところにストリートチルドレンがいて、現地の人々にとっては、それが当たり前の光景になっており、問題として認識されていません。従ってストリートチルドレンの問題を誰も解決しようとしなかったため、「それならば自分たちが映画をつくって問題提起しよう」と考えたわけです。

 この話に深い感銘を受けた僕は、当時、映画配給の知識が皆無だったにもかかわらず、即座に「この映画を日本で配給したい」と彼らに伝えました。「健次さん、まだ映画を観ていないじゃないですか」と言われたので、一応、冒頭の3分間だけ観て「大丈夫だ」と伝えて帰国。募金サイトの会員さんのなかに映画事業に詳しい方が何人かいらっしゃったので、そうした方々からノウハウを教えていただきながら映画事業をスタートさせたのです。

 ある日、試写会で「アリ地獄のような街」を学生さんに観てもらったところ、後日たくさんの学生さんがバングラデシュへと向かいました。映画を観て「何かできることはないだろうか」と考えるようになって自腹でバングラデシュに赴いて、ボランティア活動に励んだわけです。

 ボランティアを終え、帰国した彼らは報告会を行いました。映画を観た1人の人間が大勢の前で体験を語ることで、それが100人~200に伝わります。話を聞いて、映画は観てないけど、ストリートチルドレンの問題に関心をもち、現地に飛び立った人がたくさんいました。一時はNGO「エクマットラ」のキャパシティを超える人数が訪れ、パンク状態だったそうです。

 この出来事から、映画というのは、直接社会の課題を解消することはできないかもしれないけれど、映画に感銘を受けた1人ひとりが課題を解決する原動力になることを確信しました。

映画「もったいないキッチン」ⒸUNITED PEOPLE
映画「もったいないキッチン」
ⒸUNITED PEOPLE

 ──そして20年8月には自社制作映画「もったいないキッチン」が公開、映画制作も手がけるようになりました。

 関根 日本には「もったいない精神」というすばらしい精神があるにも関わらず、年間600万tもの食品ロスがあります。これは国民1人あたり、毎日おにぎり1個捨てている計算となります。

 映画のストーリーは、日本の「もったいない精神」に魅せられたオーストリア人の映画監督・ダーヴィドが日本各地を旅して捨てられてしまう食材を「救出」、キッチンカーで、おいしい料理に変身させる「もったいないキッチン」を日本各地でオープンするというものです。

 こうした映画を制作して多くの方に見ていただくことで、食に対する意識も変わりますし、事業者も「自分たちに何ができるだろう」と考えるきっかけになると思います。実際、「もったいないキッチン」を観て、「作品をテーマにしたメニューを出したい」という飲食店経営者も現れました。このように映画を通じて実社会を動かす橋渡し的な役割を今後も担っていけたらと考えています。

 ──今後も精力的に自社制作映画を手がけていくのでしょうか。

ユナイテッドピープル(株) 代表 関根 健次 氏
ユナイテッドピープル(株)
代表 関根 健次 氏

 関根 今後も数年に一度のペースで制作できたらと考えています。今のところ考えているのは「もったいないキッチン」と同様、「食べ物」をテーマにした映画です。食事を共にするという行為は、「人がつながる、仲良くなる」絶好のきっかけとなります。

 国によってそれぞれ、食の作法というものが存在します。日本にはお茶の作法がありますよね。特権階級である武士も茶室に入るときは必ず、刀を置いて心穏やかにお茶を楽しみます。食事は人と人とをつなぐ大きな力をもっているのです。

(つづく)

【新貝 竜也】


<PROFILE>
関根 健次
(せきね けんじ)
ユナイテッドピープル(株)代表取締役、(一社)国際平和映像祭 代表理事。ベロイト大学経済学部卒。大学の卒業旅行の途中、偶然訪れた紛争地で世界の現実を知り、後に平和実現が人生のミッションとなる。2002年、世界の課題解決を事業目的とするユナイテッドピープル(株)を創業。09年から映画事業を開始。14年より誰でも社会課題・SDGsテーマの映画上映会を開催できる「cinemo(シネモ)」を運営開始。映画『もったいないキッチン』プロデューサー。21年9月21日、ピースデーにワイン事業「ユナイテッドピープルワイン」を開業。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:関根 健次
所在地:福岡県糸島市二丈浜窪491-1
設 立:2002年7月
資本金:1,250万円
URL:https://unitedpeople.jp


※映画の上映会参加や、上映会主催はcinemoへ
 https://www.cinemo.info

※cinemo.biz(シネモ・ドット・ビズ)
 https://unitedpeople.jp/cinemobiz
※ユナイテッドピープルワイン
 https://upwine.jp

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