2024年05月19日( 日 )

【福岡IR特別連載86】長崎IRの候補地ハウステンボスは危機的経営状態

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ハウステンボス イメージ    前号(地元・長崎新聞社が酷評 IR誘致の行方は崩壊寸前)では、長崎IRの候補地ハウステンボスの2020年9月期の年間入場者数が138万人で、その前年(コロナ禍前)と比較し半減、大幅な赤字に陥っていると報じた。継承時の元の木阿弥だ。

 従って、今回提出済みの「IR区域認定申請書」のすべての根幹である年間集客計画予定数の673万人などは実現不可能で、天文学的な数値だと解説した。地元・長崎新聞を含めた各マスコミも同様の報道をしている。

 さらに、同園の親会社であるHIS(エイチ・アイ・エス)の業績はというと、21年10月末の連結決算では、売上高が前年比72.4%減の1,185億6,300万円、経常損失が約633億円、当期赤字が約500億円に上り、前年の2倍となる過去最大の赤字を計上しているのだ。
 今期も大変な経営危機の連続であり、今後に予断を許さない状況である。政府の海外観光客規制解除もいまだ相当の時間がかかり、元に戻る保証などは一切ない。

 しかし、長崎IRの管轄責任者である県も議会も、またこれを応援・協力しているすべての関係者も、このような現状を知ってか知らずか、これらを十分認識しての国への“IR区域認定申請”を実行していると言ってよい。普通では、知らないはずはないのだ。知っていて当然の話である!

 一方の重要なパートナーがこの危機的状態なのに、一方では他人事の“バラ色の夢”を描いているのだ。仮にIRの20年代後半の開業までを考えるにしても、“明日の飯”さえも食えるかどうかわからないものが7~8年先のことを考える余裕など、タフな資金繰りなど、まったくあるはずがない。

 さらに、長崎県と佐世保市は、もしIRが国から承認されれば、当初タダ同然で購入した現ハウステンボス所有の隣接地30haをIRの候補地として、HISから購入し、その費用約200億円を支払うと約束していると言われている。これらはとんでもない話なのである。

HISがハウステンボスを売却?または運営撤退?

 筆者にはさまざまな噂話が最近よく耳に入って来ると前回解説した。しかし、“火のない所に…”ともお伝えしているが、こんなことは常に考慮しておくべき事態である。危機管理の観点からはそれは常識なのだ。

 前述のHISの経営危機を考えれば、このような話は何も非難されることではなく、経営者にとっては「背に腹はかえられぬ」である。ビジネスとしては当たり前のことだ。しかし、親方日の丸の人たちには想像すらできないのかもしれない。民間の経営者は誰も助けてくれないのだ。売る物があれば売って、経営危機を回避するのは当然の話なのである。

 先日の長崎IRの県による「区域認定申請書提出」は、彼らにとって“売る側”の最大の武器になり、今しかないタイミングである。国への申請時期と審査期間が売却価格を高める絶好の機会と捉えれば、その通りである。途中で崩壊すれば売却は不可能だ。

 HISはハウステンボス継承の当初から、自身で長く経営する気はなく、安価で購入した同園を後日、付加価値を高めて転売する目的であったと言われている。彼らビジネスマンとしてはよくある話なのだ。

 場合によっては、HISの澤田社長と本件落札者のCAIJ(カジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン)の林明夫社長とその幹部は、すでにIRのすべてをパッケージとして売却することで、共に仲良く動いているのかもしれない。さらに、本件の資金調達仲介者であるCBRE Japan(元は不動産投資仲介業の生駒商事)のCEO坂口英治氏も絡んだ「火のない所に…」かもしれない。彼らにはそれぞれの理由があり、これがビジネス目的となるのは必然だ。皆さん、金儲けに、資金の穴埋めができるのだ!

 これらは最近、筆者の耳に入って来る噂話なのである。多分、近いうちにこれが表に出て、“一大スキャンダル”になる可能性があるのだ。しかし、これもビジネスの一環であり、違法ではない!管轄行政だけが責任を問われかねない大変な問題となるであろう。

 要は、筆者が重ねて説明している主旨は、これらの内情を長崎県と佐世保市、それぞれの議会関係者の限られた人物、さらに福岡財界の一部の関係者は、以前からこれらを感じ(知っているのが当然)、大まかには分かっていたのではないか?それが、それぞれの責任回避目的での“区域認定申請書提出”だったと推測しているのだ。結果は国の判断なら仕方ないという自己責任回避だ。

 従って、各関係者の一部が最初から国の承認は不可能だと知っての行動が、それぞれの「墓穴を掘っている」と、筆者は揶揄しているのだ。

 もし、こんなことが真実として近く表に出れば、彼ら全員の思惑は一掃され、関係者自身のそれぞれの“墓穴”が現実となり、直接の関係者ではない現職の県知事を含めた人たちにも影響し、地元・長崎新聞など各マスコミの格好の餌食となるであろう。

【青木 義彦】

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