2022年08月20日( 土 )
by データ・マックス

ビットコインの下落はいつまでなのか?(後)

日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

嵐が吹き荒れる仮想通貨市場

荒れる仮想通貨 イメージ    セルシウス社の出金停止の波紋は、今後さらに広がりそうだ。セルシウス社から仮想通貨を借りて投資した投資家も、不足の証拠金を求めるマージンコールを受け、期日までに入金がない場合は強制決済されるので、軒並み破産に追い込まれそうな状況だ。さらに、セルシウス社は過去1年間に顧客が預けた資産のなかから、顧客の利子を払っていたという噂も広がり、市場の信頼を失うこととなった。

 加えて、香港の仮想通貨貸し出し業者のバベルも引き出しを凍結。また、100億ドル規模の仮想通貨に特化したヘッジファンドを運用するベンチャーキャピタルのスリーアローズ・キャピタルは、コイン銀行のマージンコールに応じられず、担保として預けていた4億ドル規模の仮想通貨が強制決済され、30億ドルの負債を抱えている状態にある。同社は、デジタル資産市場の崩壊にともなう債務超過の見込みに対処するため、残存資産の売却や他社から緊急支援を受ける方法まで検討している。

 現在、仮想通貨市場に嵐が吹き荒れているが、奇しくもすべての起爆剤はテラ事件であり、テラ事件と直接的または間接的に関係がある。たとえば、スリーアローズ・キャピタルは2021年2月に約2億ドルのLUNAトークンを購入したという。スリーアローズの創業者はテラ事件の損失にはもちこたえたが、その後、仮想通貨市場の暴落で流動性の危機に陥ったと言われている。

 セルシウス社もテラ事件の影響で流動性の危機に直面している。当時、投資家の間に不安心理が広がり、イーサリアムの派生商品の価格が下がったことが問題となった。この派生商品はセルシウス社の資産の多くを占めており、流動性の危機にまでつながった。

 金融の専門家は、実際に保有している仮想通貨の4倍まで貸し出しができる分散型金融の構造に、根本的な問題が潜んでいると指摘する。貸し出しは担保の約7割に設定されているものの、貸し出した仮想通貨をまた預けて、貸し出しを受けることが可能だからだ。これを10回繰り返すと、担保金額の300%まで貸し出しが可能になってしまう。

 このような構造は、下落相場では市場を瞬時に崩壊させる危険性をはらんでいる。さらに、分散型金融の匿名性も問題と指摘している。貸し出す相手が特定できないため、信用評価もろくにできないという。

仮想通貨の「冬」が到来

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 ここまで見てきたように、世界経済の減速、米国の利上げによる金融市場の縮小を背景とした安全資産への逃避、仮想通貨業界で連鎖的に発生している流動性の危機は、すべて仮想通貨にとって悪材料となる。仮想通貨は以前にも何度も暴落したことがあり、今回も暴落からまた持ち直すのか、それとも暴落はもっと続くのか、市場関係者は固唾を飲んで推移を見守っている。

 仮想通貨の暴落で関連企業の倒産が相次ぐことが心配されるなか、米国の仮想通貨取引所であるコインベースでは、今後の市況に備えて、18%の人員削減を発表している。まさに仮想通貨の「冬」の到来だ。

(了)

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