2024年04月16日( 火 )

「地方建設業こそSDGsにメリット」cokiの社内外ブランディング

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(株)Sacco(サッコ)

 国連が2015年に採択したSDGs(持続可能な開発目標)。日本国内でも、21年6月のコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)改定で関連項目が追加され、関心が強まっている。地方の建設業もSDGsに取り組まなければ、大企業と取引をできなくなるリスクが出てきた。サステナビリティをステークホルダーの声で可視化することで、企業のSDGsなどの取り組みを支援するサービス「coki」を手がける(株)Sacooの代表取締役・加藤俊氏は、「まちづくりに直結し、森林を有効活用する建設業はSDGsと融和性が高い」と指摘。「実践すれば、社内外のブランド力が高まり、有能な人材の採用や離職率の低下につながる」とその重要性を強調した。
(聞き手:永上 隼人)

自社の存在意義「見える化」

(株)Sacoo 代表取締役 加藤 俊 氏
(株)Sacoo 代表取締役 加藤 俊 氏

 ──(株)Saccoは、もともと広報誌や社内報を制作してきました。なぜ「coki」のような企業のSDGsの支援サービスを始めたのですか。

 加藤 「社員やその家族に自社の良さを知ってもらいたい」という顧客企業のニーズを満たすために、サービスを始めたのがきっかけです。自社に誇りをもてず、高い離職率に悩む企業もありました。そこで、顧客企業の取引先や地域社会などのステークホルダー(利害関係者)が、その会社をどう評価しているかを取材し、社員やその家族なども招いた座談会などを開いて、存在意義を「見える化」するようにしました。すると、「自分の会社は、こんなに社会に貢献していたのか」と理解が深まり、社員の離職率が低下する事例が続出しました。

 こうして取材した話を社内だけでなく、社外にも伝えたいと思い、cokiを始めました。導入の流れが強まってきたSDGsやESG(環境・社会・企業統治)の要素を取り入れ、会社がどのように社会に役立っているかをより明確にしました。

 ──顧客(会員)企業からの反響は。

 加藤 経営者の方々からは、自社が本当に伝えたいことを関係者に届けられたことで、「社員が喜んでくれた」「ステークホルダーとの良いコミュニケーションが実現できた」という喜びの声がいくつも届きました。また、私たちのサービスには3つのプラン(ライト、ベース、プレミアム)があり、月額3万5,000円から10万円程度で済みます。中小企業がSDGsを実践する際に、自社サイトやメディアを通じてアピールするためのコンテンツ制作を比較的安価に実行できることから、「非常に効率的だ」と喜んでもらえることもあります。

 cokiの現在の顧客企業は約200社です。サービスを開始して1年強で、まだまだ大きなメディアとはいえませんが、持続可能な社会づくりに対して意識の高い企業が集まっており、会員企業同士のマッチングをすることもできます。掲載されている企業が取引先からどのような評価をされているのかを見られるので、スクリーニングの際に取引先候補の内容をより把握しやすい利点もあります。これらにより、通常のマッチングサイトよりも取引が成立しやすいといえるでしょう。あるお客さまからは、「初年度のROI(投下資本利益率)が約8倍に達した」と感謝されたこともあります。

(編集協力  P&Rコンサルティング)


<プロフィール>
加藤  俊
(かとう・しゅん)
企業のSDGsに関する活動やサステナブル(持続可能)な取り組みを紹介するメディア「coki」を運営する。cokiは「社会の公器」の意味。同メディアでは、対象企業だけでなく、地域社会や取引先などステークホルダー(利害関係者)へのインタビューを通じ、優良企業の発掘、紹介を目指している。2015年より運営会社(株)Saccoを運営しながら、(一社)100年経営研究機構の会報紙「百年経営」編集長、社会的養護支援の(一社)SHOEHORN理事も兼務。

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