2024年04月27日( 土 )

アビスパ、真夏の熱闘で勝ち点1もぎ取る FC東京2-2福岡

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    サッカーJ1リーグのアビスパ福岡は2日、アウェーの味の素スタジアムでFC東京と第19節の試合を行った。

 アビスパは、リーグ戦では清水エスパルス・サンフレッチェ広島にそれぞれ3失点を喫して連敗中。試合終了まで惜しみなく走るアビスパのサッカーと、このところの猛暑は相性が悪い。あいにくこの日の東京は最高気温35℃。湿度も高く、ねっとりとした風が広い味の素スタジアム内をめぐっていた。

 この日の対戦相手FC東京とは、今シーズンここまで相性が良い。リーグ戦第11節では5-1と快勝、ルヴァンカップグループリーグでは1勝1分けと「お得意様」といっていい。ゴールキーパーから細かいパスをつないでくるFC東京と、前線からプレスをかけてボールを奪い、ショートカウンターでゴールに迫るアビスパは、プレースタイルからしてもがっぷり4つ。好ゲームを期待したい組み合わせだ。

 先制したのはアビスパ。16分、ゴールキックから短くつなごうとしたFC東京のディフェンス陣に対し、アビスパはFW山岸祐也が厳しくプレスをかけ、タッチラインを割って相手ゴール近くでのスローインを獲得する。スローインのボールをFW山岸が頭でそらし、さらにFWルキアンが落としたところにMF田中達也が走りこんでシュート。事前に練習してきた連携が見えた攻撃だったが、ここは相手DFがブロックしてボールがこぼれる。これを収めたMF前寛之が右サイドに展開し、MFジョルディ・クルークス、DF前嶋洋太とパス交換。再度MF前が送ったボールを受けたDF前嶋がクロスを上げると、これをFW山岸が頭で折り返し、最後はFWルキアンがボレーで蹴りこみ、先制ゴールを奪った。ボールを左右に振ってFC東京のディフェンスを崩した、見事なゴールだった。前半はこのままアビスパ優勢で終了する。

 FW東京は後半から投入されたFWレアンドロとFWディエゴ・オリベイラの強力な2トップで攻撃に注力するが、これが功を奏する。49分、アビスパのクリアボールを拾ったMF松木玖生が前線にボールを送り、これをFWオリベイラが落とす。そこに走りこんだFW紺野和也が放ったシュートはGK永石拓海がセーブするが、走りこんできたFWレアンドロがこぼれ球をダイレクトに蹴りこんで万事休す。FC東京が同点に追いついた。

 ここからは、選手個人の身体の強さ、ボールを扱うテクニックに優れたFC東京が押し気味に試合を進めていく。63分、FC東京のコーナーキックをアビスパDFが弾き返したこぼれ球を、FW紺野がペナルティエリア外からダイレクトでシュート。強烈なシュート回転がかかったボールはダイビングするGK永石の手から逃げるようにネットに突き刺さった。1-2、FC東京が逆転に成功した。

 どうしても追いつきたいアビスパは、FWフアンマ・デルガドを投入。対するFC東京はFWアダイウトンを送り込み、とどめの3点目を狙う。そして試合が動いたのは73分だった。ペナルティエリア内でボールをキープしようとしたFWフアンマに対し、DF木本恭生が足をかけて倒してしまう。ラインぎりぎりだが、PKの判定となった。これをFWフアンマが落ち着いて蹴りこみ、同点に追いついた。FWフアンマは今シーズン初ゴールだ。

 試合は度重なるVAR(ビデオアシスタントレフェリー)チェックの影響で、アディショナルタイムが10分という非常に長い試合となった。強烈な個の力で勝ち越しを狙うFC東京の攻撃を、アビスパは11人全員が身体を投げ出して防ぎ、そのままホイッスル。2-2の同点で試合終了となった。

 ここのところ結果、内容ともに難しいゲームが続いたアビスパにとって、追いついての引き分けは勝ちに等しい結果。この試合で積み上げた勝ち点1が、「J1定着」という目標達成のために大きく効いてくるのは間違いない。

アウェーでの開催だったが、この日は多くのアビスパサポーターが味の素スタジアムに駆けつけていた。もちろん数では地元FC東京サポーターにはかなわないものの、スタジアムに向かうターミナルの新宿駅で見たアビスパサポーターの姿には勇気づけられた。

 今季のJ1リーグは、カタールW杯の影響で11月5日までに全日程を終了するハードスケジュール。さらにアビスパはルヴァンカップ、天皇杯でも勝ち進んでおり、7月・8月も休みなく試合が組まれている。これからも難しい試合が続くが、心からの応援でチームをサポートしていきたい。

【深水 央】

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