2024年04月26日( 金 )

【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(11)】恐怖政治篇5:抵抗者への執拗な仕打ち(1)

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福大医学部に多大な損失を与え、自らを支えてきた人々をも踏みにじりながら、ただただ“己れが福大の頂点に立つために“を行動原理に突き進んできた朔学長。その道のりはまた、福大医学部の公序を守ろうと抵抗した人々を卑劣なやり方で排除していく過程でもあった。その実態を、いくつかの事例を紹介しながら皆さまにお伝えする。

 福大医学部には、先にご報告した医学部名物・先輩パワハラ教授X(関連記事:【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(8)】)に加えてもう1人、たびたび関係者の話題に上る生え抜きの教授がいる。正確には、「いる」ではなく「いた」である。

 同じ“有名“でもその意味合いは対照的である。「あの先生は本当に優秀で、スタッフからの信頼も厚い方でした」(関係者I氏)、「福大医学部の特長をよく見極め、それを積極的に伸ばすことで、九州地区における福大医学部のプレゼンスを高めようと尽力された」(A氏)、「人事の際も、派閥に関係なく、あくまで“福大医学部が良くなるためには“という基準で行動していました」(F氏)などなどと、福大医学部にいたころのかれのことを多くのインタビュイーが生き生きと語る。

 かれの経歴を調べてみると、たしかに福大に大きく貢献した人のようである。2000年代なかばに新設され、医学部・病院の充実・発展を牽引した外科系某講座の、初代主任教授を務めたとある。

 「外科は外科でも、たとえばがん手術後や先天異常の部位など、患者さんのからだの『再建』を手がけるのがかれの専門分野です。福大医学部卒業後、当時その分野で有名な東京の大学病院でキャリアを積まれたようですが、そこで日本の先端医療に携わる人たちと仕事をしながら、この分野の意義と可能性の大きさを確信されたんでしょうね。福大医学部に戻られて、他の先生たちとも協力しつつ、この講座を一から立ち上げられました。当時は九州には九大にすらなかった新しい科でした。」(A氏)

 そして、インタビュイーたちの話はいつもひとつの結論に帰着する。「朔学長の後輩だったばっかりに、お気の毒に」と。いったい何があったのか。

 かれ――ここではY教授と呼ぶことにしよう――は朔学長の2年後輩にあたる福大医学部3期生。しかも小学校も中学校も同じという。古くから福大医学部を知る関係者の1人は、2人が若手だった頃を思い出しつつこう語る。「Yさんは朔さんのことを、昔からの先輩としてずいぶん頼りにしているようでした。専門分野は違っても、医学部のこと病院のこと、何かと相談していたようです。朔さんもまた、ともに福大医学部を盛り立てる可愛い後輩という感じで、Y教授の新講座立ち上げにも協力していました」。ところが、「その講座がスタートしたあたりから様子が変わった」。

 「朔さんに、医学部・病院内のさまざまな部門ポストを自分の循環器内科だけで占有しようというような、“我田引水“的な言動が目立つようになったんですね。X教授を含む医学部同窓会の幹部たちも、その豊富な資金力・組織力で朔さんを応援し、かれをますます助長させていきました。Yさんは、こうした朔さんや同窓会のやり方に反発するようになり、最終的には医学部内ですっかり『反・朔派』に認定されてしまっていたと聞いています。」

 ほかの証言者たちの話を総合すると、2015年の学長選挙でY教授が副学長(医学担当)に指名されたことが、何より決定的だったようだ。学長は前回お伝えした流れで選任されるが、副学長は学長指名のポストである。出馬したものの、勝てないとふんだ朔教授が、候補者の1人(落選)に取引をもちかけた(医学部票および病院部門票合計30票と引き換えに副学長指名を要求していた)形跡があることも、すでにお伝えした通りである。学長になれず、副学長の椅子も逃した挙句、後輩がそこに指名されることになった朔教授の心中は、想像するに余りある。

 実際、この学長選挙の直後、見るからにY教授の副学長就任の阻止が目的と思われる怪文書が出回っていた。X教授もこれに関与していたことが、複数の関係者の証言から明らかになっている。

 そして、2019年秋に朔氏が“みごと“学長の座を射止めた――参考までに、事前に「7割もの圧倒的支持があった」(B氏)ライバル候補について、悪い噂(「お金がらみで汚いことをしているとか、その手の内容だったと記憶しています」。I氏ほか)が医学部から広まったという複数の証言があることも申し添えておく――のち、Y教授とかれの講座は2年以上、現在に至るまで、朔執行部からの執拗な攻撃と嫌がらせに直面させられることになる。

(つづく)

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