2024年05月17日( 金 )

大学のまち・福岡 主要5大学エリアレポート(2)

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【九州大学】
学園通線沿いで進む多彩な開発

 伊都キャンパス誕生にともなう2つの土地区画整理事業の影響を受け、元岡校区では学生が、西都校区ではファミリー層が増加。12年以降、この特徴が各地域の開発機運を高めていく。

 元岡校区では学生のアルバイト先がないことが早くから問題視されており、商業施設の充実が課題となっていたが、土地区画整理事業によって解決が図られることになる。今秋の開業を目前に控えているのが、旧マルタイ本社・工場跡地で進む北原・田尻土地区画整理事業で、スターバックスやマクドナルド、びっくりドンキーなどの飲食店のほか、テナント付きの地上14階建てマンション(ワンルーム187戸)が計画されている。

 また、伊都キャンパスにより近い九大新町では、ダイハツ九州(株)所有地と福岡市土地開発公社所有地を合わせた3万1,224.68m2の敷地に、研究開発棟・商業棟・テナント棟・住居棟を整備する研究開発次世代拠点が来春オープン予定となっている。

 同拠点には九大伊都蔦屋書店のほか、九大の産学連携部門で新事業の展開などに取り組むオープンイノベーションプラットフォームなどが入居するほか、ワンルーム182戸、ワンルーム355戸の2棟のマンションも建設されており、職・住・学・遊の機能が集約されることになる。

 一方、ファミリー層が多く住む西都校区では子どもたちの学び舎確保が課題となっていた。17年に開校した福岡市立西都小学校が児童数の急増に対応できず、わずか1年でパンク。分離新設を余儀なくされたことは象徴的な出来事だった(西区徳永の農地に新設)。無論この問題は中学校にも波及するため、福岡市教育委員会は市立元岡中学校の分離新設を決め、建設地に湯溜池を選定した(西側半分を埋め立て建設する方針)。

 両校区とも、マンションやアパートをはじめとする住居整備が先行していたが、課題の解決を通じて、まちづくりに特色が出てきた印象を受ける。学術研究都市という大枠のなかで、元岡はより地域・世代間の交流を促進するまちへ、西都はより文教地区としての色合いの濃いまちへと変化していくのではないだろうか。

 そして、この2校区は連なった地域であり、相乗効果を発揮できるのが強みとなっている。国道202号バイパスから西都、元岡、伊都キャンパスまでを結ぶ、九大学園通線の存在も大きく、前述の土地区画整理事業もこの沿道で進められている。「(仮称)ヤマダデンキ福岡西店」などのロードサイド店舗が顔をそろえることで、伊都キャンパスまで直通のゲートシティとして、さらなる賑わいの創出が期待される。

【坂田 憲治/代 源太朗】

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