2024年04月19日( 金 )

県調査は全ルート赤字、地下鉄と福北ゆたか線の接続可否(前)

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JR長者原駅
JR長者原駅

2つの鉄道路線の接続に関する基礎調査

 福岡県は7月12日、2021年度に実施した「福岡市地下鉄空港線とJR福北ゆたか線の接続に関する基礎調査」について、その調査の概要を公表した。

 同調査は、糟屋・筑豊地区の2市9町による「福岡市地下鉄福岡空港駅・JR九州長者原駅接続促進期成会」からの要望を受けて実施したもので、期成会における今後の接続の可能性についての議論のために、ある一定の設定条件の下で行った基礎調査という位置づけ。具体的には、福岡市地下鉄空港線とJR福北ゆたか線を接続する場合に想定される複数のルート案や採算性のほか、接続による時間短縮や利便性の向上、概算事業費、経済波及効果などを算出していくもの。福岡県は21年度の6月補正予算案で同調査の費用として3,012万8,000円を計上し、公募型プロポーザル方式での入札を実施。同調査の委託事業者には(株)トーニチコンサルタント 九州支店が決定していた。

 実際の調査業務は、資料収集や現地調査などのほか、合計8回の打ち合わせ協議などもともない、工期は契約日から22年3月15日までとなっていた。

「福岡都心部につなげたい」発端は筑豊エリアの請願

 本誌39号(2021年8月末発刊、「さまざまな思惑、想定される複数のルート案 地下鉄空港線とJR福北ゆたか線は接続できるか?」)で取り上げた通り、福岡市地下鉄空港線とJR福北ゆたか線の接続に対する要望は、飯塚市をはじめとした筑豊エリアで持ち上がった地域浮揚策の一環だった。

 筑豊エリアを通って博多駅までつながっているJR福北ゆたか線だが、福岡空港までは、博多駅での乗り換えを余儀なくされる。そのため、JR福北ゆたか線の長者原駅から福岡市地下鉄福岡空港駅までをつなぐことで、筑豊エリアからの空港利便性を向上させるとともに、地下鉄を通じて博多や天神などの福岡市都心部までを直接つなぎ、拡大・成長する福岡都市圏のパワーを筑豊エリアまで取り込みたいという考えだった。約20年前に機運が高まったものの、福岡空港の新宮沖移転などの議論により一時は沈静化。その後、現空港での滑走路増設などが決定したことで、再び機運が高まったのは今を遡ること約6~7年前からだった。

 16年7月には飯塚商工会議所をはじめとした飯塚地区の経済団体、学校関係者など16団体によって、「福岡市営地下鉄福岡駅とJR九州長者原駅接続促進協議会」(会長:麻生泰・飯塚商工会議所会頭)が発足。翌17年9月には、糟屋地域の73団体で構成される「JR九州長者原駅と福岡市営地下鉄福岡空港駅接続促進協議会」(会長:八頭司正典氏)が発足した。これら2つの協議会では沿線自治体の建設促進期成会設置や福岡県などへの要望活動の一環として署名活動を実施し、18年10月には10万753名分の署名を携えて、福岡県・福岡県議会・福岡市に対して、接続促進に係る要望書を提出した。

 その後、20年1月に飯塚市議会議長から飯塚市長に対して、早期実現に向けた期成会の設置や関係機関への要望活動を求める要望書を提出。同年12月の期成会準備会による県・県議会・自民党県議団などへの要望書提出を経て、21年2月に「福岡市地下鉄福岡空港駅・JR九州長者原駅接続促進期成会」(以下、期成会)が発足した。

 発足した期成会は、糟屋地区の6町(宇美町、篠栗町、志免町、須恵町、久山町、粕屋町)と、筑豊地区の2市3町(直方市、飯塚市、小竹町、鞍手町、桂川町)の計2市9町で構成。会長には篠栗町長・三浦正氏が就いたほか、副会長に飯塚市長・片峯誠氏、監事に宇美町長・木原忠氏(当時)と桂川町長・井上利一氏が名を連ねている。同期成会の目的は、地下鉄福岡空港駅と福北ゆたか線長者原駅の接続促進を図ることで、そのために国会や関係官公庁、その他関係機関に対する要望および陳情などを行っていくことを主な事業活動としている。

 実際に同期成会は発足後すぐに、小川洋・福岡県知事(当時)と吉松源昭・福岡県議会議長(当時)に対して、接続促進についての要望を実施。それを受けたかたちで予算が付けられて行われたのが、今回の基礎調査だ。

【坂田 憲治】

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