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2015年06月23日 07:02

漫画のキャラクターが『おもてなし』!(2)

「コミケ」を抜いて60万人を集客した

 ――前回、台湾の若者は日本の若者が見ているのと同じ漫画・アニメをほぼリアルタイムで見ているというお話を聞きました。ところで、台湾では、漫画・アニメに関するイベントも大・小、数多く行われていると聞きます。

 すねや 台湾には、漫画・アニメに関する大きなイベントは2つあります。2月に開催される「国際動漫節」(Taipei International Comic & Animation Festival)と8月に開催される「漫画博覧会」(Comic Exhibition)です。昨年、8月に開催された「漫画博覧会」は5日間で60万人を集客し、大きな話題となっています。日本の「コミックマーケット」は3日間ですが、集客数は59万人だったので、わずかですがそれを抜きました。日本の「コミックマーケット」は個人(同人誌)がブースを構えるのが基本なのに対し、「漫画博覧会」は企業ブースがメインという違いはありますが、人口比を考えればその熱い思いは間違いないと思います。私も何回か行ったことがあるフランス・パリの「ジャパン・エキスポ」は約23万人で、アメリカ・サンディエゴの「コミコン」は約40万人ですから、「漫画博覧会」はかなり大きな大会に成長したことがわかります。

街中でもコスプレイヤーを見かけました

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コミックワールド台湾(CWT)

 この他に台湾でも、同人誌イベントはいくつかあります。代表的なものは「コミックワールド台湾(CWT)」、「Fancy Frontier 開拓動漫祭(FF)」で、年に数度開催され、それぞれ3万人から6万人を集客します。この同人誌のマーケットでは、性描写や暴力描写などは自主規制なので、日本で頒布されている同人誌と同じぐらいの規制かと思います。
 また、大陸からの参加者も増えていています。日本の同人誌は買ってもセリフが日本語なので読むことができませんが、台湾のものは繁体字、簡体字の違いはありますが、中国語なので読むことができるということも関係しているのかもしれません。
 私もこれらの同人誌イベントに行きましたが、日本のコミケ同様、会場はコスプレイヤーで溢れていました。日本ではコスプレのエリアが限られていますが、台湾はそれほど厳しくなく、街中でもコスプレイヤーを見かけました。

 フランスのジャパン・エキスポはもっとお祭り的で、多くの参加者は自宅からコスプレ姿で公共機関に乗って会場の行き来をします。日本で電車のなかで夏祭りの浴衣姿を見るような感じで、周りもとくに気にする様子もありません。

漫画家の先生は約500人で専業は200人

 ――台湾の漫画・アニメイベントもかなり熱いですね。台湾には、いわゆる漫画家の先生はどのくらいおられるのですか。昨日、本屋に行きましたが、日本名でない作家の漫画もいくつか見かけました。

 すねや 正確に調査したわけではありませんが、約500人の漫画家の先生がいて、そのうち専業とされている方が約200人と聞いています。マーケットとしてはそんなに大きくはないので、大ヒット作で約3万部という話です。ちなみに、日本には約5,000人の漫画家の先生がいると言われています。

教育というシステムが必要ではないかと

 ――そんな熱い台湾の台北にKADOKAWA Contents Academyの第1校目として、「角川国際動漫教育」ができました。その目的は何ですか。

 すねや KADOKAWA Contents Academyは、日本が誇るコンテンツ制作のノウハウを世界に伝えるための新たな”学び”のプラットフォームとして生まれています。今は世界的に、クールジャパンコンテンツとしての漫画・アニメが注目されています。しかし、今漫画・アニメを見ている世代、その次の世代、またその次の世代と、いわば「世代を超えて」この盛り上がりを継続していくためには、各国現地でクールジャパンコンテンツのマーケットを形成する層を恒常的に作って行く必要があります。そのためには、やはり教育というシステムが必要ではないかと考えています。

 もちろん、日本の専門学校でもそうですが、専門教育を受けた学生すべてが漫画・アニメのクリエイターとなるわけではありません。しかし、学校で学んだ学生たちは、卒業後もクリエイターを支えるマーケットを形成していくコア層になっていく可能性がとても高いのです。それは、漫画・アニメを描く人の特徴として、社会人になって別の仕事に就いたとしても、たとえそれが仕事でなく、趣味レベルでもほぼ一生描き続ける傾向にあるからです。時には仕事が忙しくなって中断することもあるかもしれません。しかし、それらの人たちの多くは、また時間ができれば、漫画・アニメを読み、見て、絵を描き続けます。
 さらに、「日本のコンテンツ制作のノウハウ」を日本以外の国にも伝えることによって、日本以外の国からでもレベルの高いコンテンツが生まれていく種を蒔くという効果につながります。そのことは結果的に、将来、漫画・アニメのコンテンツの枯渇を防ぐことにもなっていくわけです。

高度な人材とファン層を各国に育成する

 もともと、このプロジェクトはKADOKAWA Contents Academyが、アジア圏の10の国と地域に学校を展開する計画で始めた事業です。しかし、本年4月には、(株)海外需要開拓支援機構(「クールジャパン推進機構」)、(株)紀伊國屋書店、(株)パソナグループの出資も決まりました。現在では官民一体、“オールジャパン”の共同体として、国際的に活躍できる高度な人材と日本コンテンツを理解する熱心なファン層の両者を各国に育成し、日本コンテンツ業界の国際化と海外展開に貢献していくことを目指すことになっています。官民一体となったことにより、対象国もアジア圏の10の国と地域とオーストラリアとフランスを加えた12カ国に拡大しています。この台湾第1校目を皮切りに、アジアの国と地域に学校を展開し、現地のエンタテインメント産業の創造に貢献していく計画を担っています。

(つづく)
【金木 亮憲】

<プロフィール>
suneyakazumiすねやかずみ氏(本名:強矢和実)
 台湾角川国際動漫股份有限公司 教務総監・漫画家。『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で新人賞を獲りデビュー。『マガジンSPECIAL』(講談社)などにギャグ/ホラー/コメディーなどのジャンルで連載。漫画家ユニットとして集英社『週刊少年ジャンプ』公式WEBサイトでデジタルマンガを連載。携帯コンテンツ初の占いマンガ制作DoCoMo・ソフトバンクの公式占いサイトのプロデュースなどを行う。 
 2008年より(株)漫画家学会の取締役として、漫画家に対して新たなマンガ事業の開拓・提案や紙芝居の事業化を行っている。京都精華大学マンガ学部ストーリーマンガコース非常勤講師、総合学園ヒューマンアカデミー東京校マンガカレッジ専任講師を経て現職。

 
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