2024年05月23日( 木 )

大英産業・新社長インタビュー「地方創生を担う永続企業へ」(後)

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大英産業(株)
代表取締役社長 一ノ瀬 謙二  氏

共感から生まれるまちづくり

 ──事業領域が広がることで、新しい関係性も生まれてくると思います。

 一ノ瀬 当社ではまちづくり事業を展開していますが、とても1社単独でできることではありません。そこで重要になるのが“共感”する力です。まちづくりには異業種連携はもちろん、行政との協働が欠かせません。当社の経営計画書には、こうした街に関わるすべての人に「共感」していただけるような経営方針やビジョンが示されており、一緒にまちづくりに取り組むパートナーの皆さんとの共有も図っています。このように、積極的に情報開示することで、相互理解が深まり、協力しやすい関係性を築くことができると考えています。

 当社の強みは、多くの地域の土地・不動産売却情報を収集できるところです。開発に際しては、既存の規格商品を地域に当てはめるのではなく、地域の歴史や特性を調べながら、その地域に相応しい商品やブランドをつくり上げていきます。多彩なマンションブランド、新築戸建ブランドは、こうした当社の住まいづくりへのこだわりから生まれたものです。そして、この多ブランド展開が、まちづくり事業における、多様な選択肢の提供につながっています。おかげさまで複数の自治体さまからお問い合わせをいただいており、まちづくり事業に取り組んできて良かったと改めて感じています。

 ──地域コミュニティの存続が危ぶまれるなか、地域特性を感じられるランドマークを残すことは大切だと思います。

 一ノ瀬 地域のまちづくりに取り組むことにこそ、意義があると考えています。既存インフラと商店街などの集客機能をもつ場所が、相乗効果を発揮できておらず、もったいないと感じることは少なくありません。当社の住環境整備を契機として、地域全体の再開発を促進し、周遊性の向上や新たなブランディングによる、地域の活性化に貢献していきたいと考えています。マンション開発だけで終わるのではなく、街ごとリノベーションするといったイメージです。

 また、もう少し大規模な開発を行うケースでは、少子高齢化をともなう人口減少が避けられないなか、介護や日常的な買い物などの需要を一手に満たせる複合型マンションというのが、相応に求められるのではないかと考えています。産学官民で手を携え、その地域・街並みの特性や強みを知り、それを生かしたかたちでの地域活性化や、街を元気に、豊かにできる建物やサービスの開発に着手していきたいと考えています。

サンパーク姪浜西グラッセ現場
サンパーク姪浜西グラッセ現場

住まいづくりに大切なこととは

  ──福岡市では天神ビッグバンなどの再開発が盛況で、呼応するようにマンション開発も活発です。こうした状況を鑑みて、改めて住まいに大切なことは何だと考えられますか。

 一ノ瀬 高水準の設備や仕様の標準化など、マンションのハイスペック化はどこまで求められているのか、お客さまが住まいに何を一番求めているのか、マーケットイン(お客様目線)の考え方がやはり大切だと考えています。自分の年齢を考えたときに、終の棲家として居心地が良いかなど、資産性の高さよりも安心して暮らせる住まいであるかを重視する人も当然おられます。

 地域のお客様と向き合い、お客さまにあった提案や商品開発を行うことが大事です。各地域における開発についても同じです。当社は目指すべき姿として「地域愛着経営」を掲げています。まずは地元・北九州から、地域愛着経営を実践し、地元から愛され、必要とされる会社になります。今は各事業部単位で動いていますが、ゆくゆくは各地域単位で、より機動力を発揮できるような体制を整えていきたいと考えています。

 当社に入社して2年目の社員が、「お客さまからすると、窓口が事業部ごとにバラバラなのは不親切ではないか、窓口を統一すべきではないか」と提案してくれたことがありました。自分たちでも気付かないうちに、忘れてしまっていることはあります。だからこそ、お客様第一という基本に立ち返ることが必要なのだと思います。

 ──人の大切さが感じられるエピソードです。

 一ノ瀬 当社はリーマン・ショック後、一度業績が大きく落ち込みましたが、そこから過去最高の業績を収めるまで巻き返すなど、社員1人ひとりの貢献によって支えられてきました。創業から一貫して人財(人は、たから)という言葉を掲げていますが、まさにその通りだと思います。だからこそ、冒頭述べた通り、社員の挑戦・提案を受け入れ、働きがいを感じてもらうことで、お客さまやBP、地域社会へのより良いサービスの提供を通じて、地域経済の活性化と街の発展を好循環させていく体制をつくり上げていきたいと考えています。

地方創生を担う永続企業へ

 ──最後に、大英産業が100年企業を目指していくうえで、取り組んでいかれたいことなどについてお聞かせください。

 一ノ瀬 社長就任後、10年後の大英産業のビジョンを、社員の皆さんの声を集約して、1枚の絵にまとめました。それは、社員全員で、こんな街をこれから創っていこうという、みんなの理想が詰まったまちづくりのビジョンでもあります。イメージではありますが、実際の北九州の地図を下地にしており、九州・山口の街をこういう街にしていきたいという、1つの将来像と呼べるものです。

    当社が現在取り組んでいる事業内容から想定される街並みや生活も描かれていますが、当社がこれから取り組んでいく、新規事業の内容を反映させた街並みや生活も描かれています。住まいの提供から、お客さまの生活全般を、生涯にわたり支援できるようなサービスの提供まで、お客さまの「あったらいいよね」を叶えられる、そんな組織をこれから社員一丸となってつくり上げていきたいと思います。

 そして10年後、描かれた街並みや地域の皆さんの暮らしぶりが実現できていれば、これ以上嬉しいことはありません。これからも私たちは、「元気な街、心豊かな暮らし」を胸に、まちづくりに取り組んでまいります。

社屋外観
社屋外観

(了)

【代 源太朗】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:一ノ瀬 謙二
所在地:北九州市八幡西区下上津役4-1-36
設 立:1968年11月
資本金:3億2,756万円
売上高:(22/9連結)339億9,942万円
URL:https://www.daieisangyo.co.jp


<プロフィール>
一ノ瀬 謙二
(いちのせ・けんじ)
1980年8月生まれ、佐賀県嬉野市出身。学卒後、2003年9月に大英産業(株)に入社。営業実績が評価され、不動産事業部長を経て、13年10月、常務取締役および管理本部長に就任。16年10月には不動産流通事業部長を、17年11月には(株)リビングサポートの取締役をそれぞれ兼任し、19年10月、マンション事業本部長に就任した。その後、21年10月、専務取締役への就任を経て、22年10月、代表取締役社長に就任。趣味はトライアスロン、読書。

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