2024年07月21日( 日 )

【北九州市長選】自民分裂選挙へ~津森氏VS武内氏

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

若手議員の離反

北九州市 イメージ    来年2月に任期満了となる北九州市長選挙をめぐって、無所属での出馬を表明している元厚生労働省職員・武内和久氏(51)を応援するとして、自民党系会派から議員が離脱した。

 離脱したのは三原朝利、大石仁人の2名の若手市議。三原、大石両市議は、2日に北九州市役所で行われた武内氏の政策発表に合わせて、「自民党・無所属の会」を離脱し、新会派「自民党・市民が市長をつくる北九州未来市議団」の結成に打って出た。

 両市議は、「時代遅れの政治と決別する。チャレンジしないことこそリスクです。市長は、政党が決めるものではない、議員が決めるものでもない。市長選を、北九州市を変えるきっかけにしないといけない」と訴え、立憲民主党や国民民主党が推薦する元内閣府参事官・津森洋介氏(47)を共に推薦する市議会自民党系会派を批判した。なお、武内氏を末吉興一元北九州市長も支援している。

 先月6日、同じく北九州市長選へ出馬する意向を示していた中尾正幸福岡県議会議員(自民党)が出馬断念をした(※中尾県議、北九州市長選不出馬~津森氏一本化の経緯)ばかりで、これによって、事実上、北九州市長選挙は保守分裂選挙となる。

 武内氏は、発表した政策(武内和久氏ホームページ)について次のように語っている。

「私が実現したいことは、北九州市の衰退のスイッチを切り替えて、発展へと向けていくこと。そのために既得権益に切り込んで財源をつくって、それを元手に次の世代に投資する聖域なき行財政改革を断行することです。」

 この方針を具体化させる公約として、市長報酬の1割カットを行い、市議会議員にも報酬の見直しを求め、財政再建チームを設けて民間目線で、財政運営を見直すことを掲げている。

 総務省が公表している令和2年国勢調査「人口等基本集計」(総務省)を見ると、人口減少数は北九州市が最も多く、市の人口も1979年の107万人をピークに、減少の一途をたどっている。武内氏は若い世代を呼び込むための次世代産業の創出を目指し、洋上風力や潮流発電などの再生可能エネルギー施設を整備していくことを謳った。

 「しがらみ&既得権にノー」を強調する武内氏の主張は、小泉純一郎元首相や橋下徹元大阪市長の手法を彷彿とさせる。

 一方、津森氏は、同じく2日に、自民党福岡県連幹事長を務める松尾統章県議主催の政治セミナーに出席し、同セミナーで福岡県が取り組んでいるワンヘルス(福岡県庁ホームページ)について講演した蔵内勇夫常任相談役(日本獣医師会長・福岡県議会議員)などに支援を訴えた。同日夕方には、自民党本部の推薦も決定し、北橋健治北九州市長も津森氏の事務所開きに駆け付けるなどオール北九州の体制は着々と整いつつある。

麻生太郎氏が決裁署名を拒否

「北九州市は、市議会も保守が割れるからね」(自民党関係者)。

 北九州市議会の自民党会派は、主導権をめぐって争いが絶えない。2005年に2会派に分裂し、11年に合流した。2019年、当時議長であった自民党市議団(当時)の井上秀作氏が体調不良を理由に辞職したが、後任人事が難航し、会派内の選挙で選出された議長に対する不満が相次いだ。そこで議長経験者であり、北九州のドンと呼ばれた片山尹(おさむ)氏などが新会派「自民の会」を結成し、再び2つに分裂していた。ただ、19年のときは、現職の北橋健治市長を両会派で支えてきた。その後紆余曲折を経て、ようやく今年9月に自民党・無所属の会に合流したばかりで、この合流も市長選挙を念頭に置いたものだった。
 分裂を繰り返すと市民への印象は明らかによくない。

 こうしたドタバタ劇を危惧するのが、麻生太郎元首相で、津森氏への推薦を承認する決裁書類への署名を拒否したという。2019年の福岡県知事選挙で、現職だった小川洋氏への対抗馬として武内氏を担いだのが他ならぬ麻生氏であった。

 麻生氏は、もともと与野党相乗りに批判的で、15年の北九州市長選では、「独自候補を立てるべき」と檄を飛ばしたほどだ。この時も北橋氏は、自民党の単独推薦として出馬し当選したが、同時に民主党や公明党、議員時代からの支持母体である連合の地方組織からも支援を受けていた。全国の多くの自治体の首長選挙は、自民党から公明党、旧民主党系まで相乗りのオール与党で行われることがほとんどだ。首長側としては、議会との対立を回避できるからである。

 では、今回の市長選にあたって麻生氏は、「武内氏寄りで、津森氏に反対なのか?」というと、そうでもないという。事実、4日に北九州市内で開催された麻生氏側近である大家敏志参議院議員のセミナーに、津森氏が出席し、支援を訴えている。

 こうした自民党内の駆け引きのなか、いまだ旗幟を鮮明にしていないのが公明党だ。来年2月の市長選が迫るなか、状況を見極めようとしていることがうかがわれる。

 市長選にはこのほか、北九州青年会議所理事の清水宏晃氏(38)、共産党福岡県委員会の永田浩一氏(57)が出馬を表明している。

【近藤 将勝】

関連記事