2024年05月20日( 月 )

福岡周縁部のマンション開発状況(1)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 福岡市の中心部では、市が主導する再開発プロジェクト「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」が進んでいる。これら2つの再開発プロジェクトを契機として、天神・博多をはじめとした中央区と博多区の両エリアでは、規模の大小を問わず多様な開発計画が進行。官製需要が民間投資を誘発することで、バブルに近い開発熱が生まれている。

 その一方で、そうした中心部では開発用地の争奪戦も過熱。地場だけでなく、中央大手のデベロッパーも続々と参戦し、マンションデベロッパー各社にとっては、新たなマンション開発用地の獲得に四苦八苦する状況が続いている。そのため、土地争奪戦の舞台は次第に市の中心部から市の郊外部、さらには近隣の自治体へとシフト。いわゆる“周縁部エリア”でのマンション開発が以前にも増して盛んになってきている。

 今回、福岡都市圏の周縁部を東・南・西の3つのエリアに分けたうえで、各区・自治体ごとに開発状況を見ていこう。

東エリアMAP

東エリア

福岡市東区
香椎・千早で大型供給物件

 東区のなかでも東部の市境エリアにあたる香椎・千早・和白などでは、新たなマンション開発が活発に行われている。

 香椎では、国道3号とJR鹿児島本線およびJR香椎駅とで挟まれ、中心部に西鉄貝塚線および西鉄香椎駅が立地する約20.7haの土地で、2021年3月末に香椎駅周辺土地区画整理事業が完了したばかりだ。西鉄貝塚線の鉄道高架化をはじめ、幹線道路や区画道路、駅前広場や公園などの一体的な整備が行われ、文字通りまちが刷新。現在、エリア内の各地で新たなビルなどの建設が進んでいる。

 JR香椎駅に近接する香椎駅前1丁目では、(株)マリモによる「ポレスター香椎駅前」の計画が進行している。JR香椎駅まで徒歩3分、西鉄香椎駅にも徒歩4分という好立地に建つRC造・地上9階建、延床面積4,540.00m2の全52戸。設計・監理を(株)雅禧建築設計事務所が担当し、施工は未定だが、24年3月末の竣工を予定している。

 香椎駅前から西に約1kmに位置する香椎浜4丁目では、九州旅客鉄道(株)(JR九州)によるRC造・地上14階建の4棟からなる分譲マンション「MJRザ・ガーデン香椎」の開発が進んでいる。施工は西松建設(株)九州支社が、設計・監理は(株)Gデザインアソシエイツがそれぞれ担当。全420戸という大型プロジェクトで、Ⅰ期工事となる1・2号棟は22年2月に竣工済み。現在、Ⅱ期工事(3・4号棟)を23年2月竣工予定で進めている。コミュニティの交流拠点となる「コミュニティスクエア」をはじめ、敷地の四方に憩いの空間を設置するほか、TSUTAYAセレクトによる約3,000冊以上の書籍が備えられた「ライブラリラウンジ」が設けられるのが特徴。近接する「イオンモール香椎浜」をはじめとした生活利便施設も豊富で、子育て環境にも恵まれている。

 香椎に隣接する千早エリアは、香椎よりも先行して土地区画整理事業が進められたエリアだ。JR香椎操車場跡地を含めた約66.3haで、JR鹿児島本線および西鉄貝塚線の高架化や新駅の設置なども含めた副都心形成に向けたプロジェクトが行われ、道路などの都市基盤が整備されたほか、中高層住宅や商業施設などの開発が進められた。区画整理事業はすでに完了し、多くの新たなビルが建っているものの、その開発の熱はまだ冷めやらない。

 国道3号の香椎参道口交差点に位置する「香椎ビッグマートビル」跡地では、JR九州と住友不動産(株)、日鉄興和不動産(株)、(株)長谷工不動産の計4社が共同で「MJR千早ミッドスクエア」の開発を進めている。JRおよび西鉄の千早駅から徒歩10分、西鉄香椎宮前駅から徒歩4分の好立地にある同分譲マンションは、RC造(一部S造)・地上18階建で、“九州最大級”を謳う全532戸という超大型プロジェクト。施工はMJR千早ミッドスクエア特定建設工事共同企業体((株)穴吹工務店・九鉄工業(株))が担当し、25年2月下旬の竣工予定となっている。

 文教地区の様相を呈する丘陵の住宅地である香住ヶ丘では、JR九産大前駅から徒歩4分の場所で、(株)アライアンスによる「エイリックスタイル香住ヶ丘クオリア」の計画が進んでいる。RC造・地上10階建、延床面積2,764.75m2の全31戸で、設計・監理を(株)エムクラフト⼀級建築⼠事務所が、施工を日建建設(株)がそれぞれ担当。24年3月下旬の竣工を予定している。周辺は戸建住宅が立ち並ぶ閑静な住宅街の一角で、向の山公園や琵琶橋公園などの緑あふれる公園が近いほか、半径約500m以内には保育園、小・中学校、高校、大学などさまざまな教育施設が充実している。

 「大学のまち・福岡 主要5大学エリアレポート(4)」(本誌52号、22年9月末発刊)でも取り上げた福岡工業大学のお膝元、JR福工大前駅の周辺は、優れた交通利便性を生かして近年は分譲マンションなどの開発が旺盛で、ファミリー層も多く住むエリアとなっている。そのJR福工大前駅から徒歩約3分の和白丘1丁目では、国道495号沿いで東宝住宅(株)による「フリーディアシティ和白丘」の開発が進んでいる。RC造・地上19階建、延床面積1万5,976.19m2で、全141戸。設計・監理を(株)マサキ設計事務所が、施工をアスミオ.(株)がそれぞれ担当し、24年1月上旬の竣工を予定している。

(つづく)

【坂田 憲治/代 源太朗】

(2)

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事