2024年05月15日( 水 )

人を育て、低廉・良質なパンを武器に全国展開へ

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    1963年に創業され、パン店舗「SUMOMO」などを展開するはとや菓子舗グループ。店舗展開は南九州地区が中心だったが、毎日購入できる低廉な価格と安定した品質が広く受け入れられ、ここ最近出店エリアを拡大している。福岡県で4店舗を構えるほか、東京、神奈川、大阪にも進出し、さらに2023年4月には佐賀県にも出店を予定するなど、成長を続けている。

 パン業界は職人の世界という印象が強いが、(株)はとや代表取締役社長・須百久史氏は、一握りのレベルが高い職人の技術に頼ることを止め、「技術の比較」という土俵から降りたとしている。

 ただ、これは同社が人材を重視しないというわけでは決してなく、むしろ「人づくり」を重視し、おいしいパンを「誰もがつくれるようになる」人材育成システムを構築したことを意味している。従業員は入社後3カ月間、パンづくりの研修を受け、知識・技法を叩き込まれる。社員の多くはパンづくり未経験で入社してくるが、研修と業務を通してどんどん積極的、前向きな人間に育っていくと、須百氏は目を細めて語る。

(株)はとや代表取締役社長・須百久史氏
(株)はとや代表取締役社長
須百 久史 氏

    人材重視は、各店舗に大きな裁量が委ねられていることにも表れている。製造において発酵という工程を有するパンは、同じ材料、同じ手法でつくっても人によって風味や食感に違いが出てくる。各店舗が同じパンを扱いつつも、店舗ごとにそれぞれの商品の特徴が出るが、それをマイナスとはとらえず、そのまま販売するようにしている。また、新商品については各店舗が自由に開発・販売してよいとしており、新商品の情報はSNSなどでグループ内で共有され、従業員同士が刺激し合い、モチベーションを高めている。

 同社がターゲットとして想定するのは、毎日の食事としてのパン。単価を抑え、100円台の商品が中心となっている。街ナカよりもロードサイドを中心に展開してきたこともあり、コロナ禍の影響をあまり受けずにすんでいることが幸いしている。コロナ禍でも店舗を増やし続け、現在の店舗数は35店舗を超えた。社員も約150名、パートを含めて従業員は約400名に増えた。全国から出店依頼、フランチャイズ加盟への申請が相次いでいるほか、従業員が独立してフランチャイズに加盟して出店するケースも少なくない。外国籍の従業員もおり、将来は帰国して店舗を開きたいというベトナム人従業員もいるという。

「黄金のきな粉もちもちパン」 中には九州のサツマイモをつかったスイートポテトが
「黄金のきな粉もちもちパン」
中には九州のサツマイモをつかった
スイートポテトが

    今後について、須百氏は商品の質を保つために新規出店を毎月2店程度に抑えながら出店を継続して、100店舗を目指すとしている。今後の出店は主に低廉な

「SUMOMO」とする方針だが、一方で現在鹿児島市の繁華街・天文館で本社直営の高質店を試験的に出店しており、その反応を見ながら別の展開も視野に入れている。また、「自家製黒豚甘口カレーパン」「黄金のきな粉もちもちパン」のような人気商品について、専門店化も検討している。

【茅野 雅弘】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:須百 久史
所在地:鹿児島県志布志市志布志町志布志3-6-13
登記上:宮崎県串間市大字西方4138
創 業:1963年5月
設 立:1993年2月
資本金:1,000万円
TEL:099-473-1070(志布志市)
URL:http://www.hatoya.co/

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