2024年05月27日( 月 )

なぜ2023年が大転換の年なのか(4)

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 NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。
 今回は1月1日号の「なぜ2023年が大転換の年なのか」を紹介する。

(4)2023年空前の株式好需給、全投資主体が株買いに

投資家も円金利急騰に備えたポートフォリオ大改造が必要

 日銀が金利の長期上昇トレンドを示唆した今、投資家もリスクテイクへとアクション変更を余儀なくされる。円金利急騰のリスクからポートフォリオ再構築が待ったなしとなり、その結果すべての主体(企業、年金・保険、外国人、個人)が株式買いに回るだろう。

 日本の銀行・機関投資家の資金運用はかつては国債投資主体であったが、2013-14年の日銀異次元の緩和、GPIFの運用改革以降、外国証券をリターン追及のためのリスク資産の中枢に据えてきた。

 図表15はGPIFのポートフォリオ推移だが、アベノミクスの一環として始められたGPIF改革により、外国債券、外国株式、日本債券、日本株式各々1/4の構成にシフトしてきた。しかしこれからも、その構成のままでよいとは限らない。

 円金利急騰のリスクが高まっているうえに、大幅な円安と為替変動、外国株式急落により外貨主体ポートフォリオの危険を思い知らされた。銀行・機関投資家の間で資金運用対象の中心に日本株式を据えざるを得ない時代が来つつあるのではないだろうか。銀行の場合資本規制、生保の場合ソルベンシーマージン規制があり、リスクウェイトの高い株式投資はしにくい状況もあるが、それでも戦略的対応の余地はあるだろう。なお自国国債をリスクウェィトゼロとするバーゼル資本規制は、現実にそぐわず、修正されるべきではないだろうか。

図表15: GPIFポートフォリオの大転換

家計、外国人、自社株買いも参戦へ

 資産所得倍増政策へと舵を切った岸田政権のNISA改革もあり、「株式投資で資産形成を」という動きは国民的な広がりを見せている。NISA口座の急増、NISA口座からの買い付け額は指数関数的増加ペースにある。積み立てNISA口座からの買い付け額は5割増ペースの伸びを続けており2022年には1兆円弱に上った模様。一般NISAからの買い付け(2021年年間2.7兆円、2022年1~9月2.3兆円)を合算すると、個人の株式積立投資はすでに年間4兆円弱に達している。2つのNISA一本化、非課税限度額(簿価残高で)1,800万円、非課税保有期間の無期限化という制度改革は、預金から株式への大きな資金の流れをつくるだろう。

 個人の金融資産(年金保険準備金を除く)の保有内訳は、日本は利息が限りなくゼロに近い現預金が74%、配当だけでほぼ2.5%のリターンがある株式・投信が20%と、歪んでいる(米国は株投信73%、現預金19%の割合)。家計の株式積み立て投資が年間10兆円を超え、一大投資主体として登場するのはすぐ先である。

 また企業の自社株買いが急増している。2021年度8兆円と過去最高になったが、2022年度は10兆円ベースに上ると見られている。さらにアベノミクス時以降23兆円を買った外国人投資家は2020年にそのすべてを売却しつくし、日本株式はアンダーウェイトの状態にある。彼らは米国、中国、欧州、韓国など各国株式が固有の問題を抱えているなかで、消去法的に日本の輝きを無視できなくなっていくだろう。

図表16: 日本株式投資主体別累積投資額 (2011-)/図表17: 海外投資家日本株式累積投資額 (2013-)

日経平均35,000円は背伸びではない

 図表18はVillage Capital高松一郎氏による、日経225および予想EPS、予想PERの推計である。直近予想EPS2,200円、日経平均26,000円としてPERは11.8倍である。2033年、EPSが5%増の2,300円と予想した場合、PER13倍で日経平均30,000円、過去10年間平均の15倍とすれば、34,500円と計算される。円安下の堅調な国内経済を考えれば、5%増益予想は控えめな前提とみられるし、15倍というPER予想も上述の好需給を考えれば妥当なものである。米国の市場ムードが一変する年後半には日本株ブームが到来する可能性が大きい。2024年まで展望すれば日経平均は史上最高値を更新し、40,000円に到達する可能性が高いと考える。

図表18: 日経225 予想PERと予想EPS

(5)2023年武者リサーチの10サプライズ

①日本が世界の牽引車に、インフレ2%定着、YCC脱却開始
②2023年賃金上昇率定昇込み3.5%へ
③日本株ブーム日経平均35,000円、全主体買い出動
④ドル円レート落ち着き130~150円
⑤中国失速顕著に、暴動散発
⑥米国株価史上最高値更新NYダウ38,000へ
⑦FRB利上げ停止、ドル再上昇
⑧原発再稼働相次ぐ
⑨ウクライナからロシアが撤退、プーチン失脚
⑩財政政策減税へ大転換、外為特別会計の保有米国債売却60兆円の特別益計上

(了)

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