2024年04月20日( 土 )

VR内覧・ROOV、モデルルーム建設費の削減も

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(株)スタイルポート

(株)スタイルポート ​​​​​​​間所 暁彦 社長

 「空間の選択にともなう後悔をゼロにする」をミッションに掲げ、3Dコミュニケーションプラットフォーム「ROOV」を開発した(株)スタイルポート。その後、住宅販売支援システム「ROOV compass(ルーブ コンパス)」、クラウド型VR内覧システム「ROOV walk(ルーブ ウォーク)」やウェブ-VRサービス「ROOV housing(ルーブ ハウジング)」を通じ、不動産VRの世界を新築マンション、戸建住宅、物流施設へと範囲を次々と拡大した。「不動産業界は、本質的な意味でのデジタル活用が進んでいません。VRやデジタルツイン技術を導入することで、不動産DXの最後の壁を突破するカギになる」と語る同社代表取締役・間所暁彦氏に話を聞いた。

スマホで物件をイメージ

roovwalk_demo_family
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 建物には、実際に行ってみないとわからない、図面や完成予想図だけではイメージしにくいという課題がある。スタイルポート・間所暁彦社長は、「3Dコミュニケーション活用し、いつでもどこでも内覧できるようなシステムを構築すれば、ビジネスフローのDXが一気に進む」と考えたという。

 「ROOV」は、「ROOV compass」「ROOV walk」という2つのサービスで構成される。「ROOV compass」はマンションなどの商談や接客で必要な物件情報を管理できるプラットフォーム。物件情報の一例ではイメージパース、図面、マップ、建物概要やパンフレット掲載情報などを一元的に収められ、どこからでもデータで持ち出すことが可能となる。当然、「どの顧客がどのプランのどの部分のページをよく閲覧しているか」といったことが数値として収集できるため、当該マンションの販売戦略に活用できそうだ。

 「ROOV walk」は、建物をウェブブラウザ上でいつでもどこでも内覧できる。多くのシミュレーション機能を備え、家具の配置も自由自在に切り替えられるほか、室内の細かな採寸も可能で、家具の配置計画も立てやすくなるのが特徴だ。さらに床・壁のカラーセレクトも容易にシミュレーションできる。今年2月にバージョンアップしたばかりで、画像もよりクリアになった。

 「家庭用のPCやスマートフォンでもストレスなく動くようにするためには、やはりブラウザで見られるのがベストです。データを軽くするのが課題でした。2年ほど開発に時間がかかりましたが、先日ついに新バージョンもリリースしました。従来は説明用コンテンツでしたが、SNSでも映える高画質になったことで、リード獲得も狙えるレベルになりました」(間所社長)と意気込む。

VR内覧体験はスマホ上でも可能

    ROOVの主な顧客はマンションデベロッパーだ。これまでマンションを開発し販売するためには、3,000~4,000万円ほどの費用をかけ、モデルルームを建築、写真撮影、公開という手間があった。「ROOV walk」であれば1タイプあたり30~40万円でVRの作成が可能だという。「すべてをROOVに切り替えるのではなく、併用してマンションあたりの総コストを削減するデベロッパーが多い」と間所社長は話す。マンション以外でも、物流施設開発における採用実績もある。物流施設は郊外にあるケースが多く、移動コストがかかるため、事前のVR内見効果が高いそうだ。

設計士の生産性向上へ

「ROOV housing」により、住宅の設計士の生産性を大幅に向上
「ROOV housing」により、住宅の設計士の生産性を大幅に向上 

 新たな事業領域として、昨年10月に「ROOV housing」を立ち上げた。住宅用プレゼンテーションCADで書き出されたデータを、「ROOV walk」に自動で変換。従来は10時間程度かかっていた3Dへの変換時間を最短約20分に短縮する。気になるポイントや、変更依頼したいことがあれば、VR空間内に付箋を貼り、コメントや図形を記入する機能もあるため、「指示した、指示を受けていない」などのトラブル解消にも役立つ。アニメーションもスムーズで「ROOV walk」そのままの操作性が特長だ。

 「私は前職でコーポラティブハウスのコーディネート経験がありますが、1件の内装を決めるのに、1回で3~4時間の打ち合わせが20回必要でした。あらかじめポイントを絞って打ち合わせを行うことで、時間と回数の削減が可能となるはずです」(間所社長)。

 とくに戸建住宅の販売や設計は、現状ほぼ対面で行われることが多く、この部分でのデジタル化進んでいない点が不動産業界のボトルネックと指摘した。日本では3DCADプレゼンテーションソフトは5社ほどあるが、「ROOV housing」に対応しているCADは、「Walk in home」で、順次ほかのCADにも対応していくという。さらに今は、資材建材価格の変動が激しい時期であり、設計などで手間取ると建材メーカーや建材流通店が新価格を提示するケースが多い。新価格を価格転嫁できれば望ましいが、一部にとどまっているのが実情。そのため、商談から引き渡しまでの期間がより短縮できることが望ましい。そこで全体デザインや内装をイメージできる「ROOV housing」の導入の効果は、コストダウンの視点から見ても大きい。

ROOV walkで建設後の活気あふれる街をイメージしやすくまた竣工前物件のオンライン集客にも活用
ROOV walkで建設後の活気あふれる街をイメージしやすく
また竣工前物件のオンライン集客にも活用

自前のエンジンが強み

 「ROOV」は、ウェブブラウザでサクサク動かすために試行錯誤した結果、自前のエンジンが用いられている。汎用ソフトのメリットも大きいが、オリジナルエンジンとすることで、メンテナンスやバージョンアップも自社の判断だけで実現させることができた。

 空間の選択には、リアルでの内覧も含めて多くの時間がかかり、時には誤りもある。さらに現地に行くためのコストや労力が大きい場合もある。間所社長はこの時間をできるだけ削減し、誤りを撲滅していきたいと胸を張る。今後を見据えて、メディア事業への展望も話してくれた。住宅購入を検討するユーザーが「ROOV compass」にアクセスし、部屋の内見を含めて住宅を検討し、そこでハウスメーカーに向けて、欲しい住宅を提案できるメディアにつなげたいと夢を語った。

【長井 雄一朗】


<プロフィール>
間所 暁彦
(まどころ・あきひこ)
1969年生まれ、愛知県出身。91年、矢作建設工業(株)入社。不動産企画営業、投資法人の上場業務に従事。2006年、矢作地所(株)の開発担当取締役に就任し、投資用不動産の企画・開発・運用、分譲マンションの企画・開発を中心とした不動産開発を行う。11年7月、スタイル・リンク(株)を設立し、代表取締役に就任。スタイル・リンク、(株)スタイルポート、(株)千客万来不動産を合併し、新設した(株)スタイルポートに事業を譲渡。同社の代表取締役に就任した。

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