2024年05月06日( 月 )

電子帳簿保存法

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
岡本弁護士
岡本弁護士

    最近、「電子帳簿保存法対応」などと銘打ったクラウドサービスなどを目にする機会が増えたのではないでしょうか。そこで今回は、電子帳簿保存法の概要についてご紹介いたします。

 電子帳簿保存法は、原則紙での保存が義務づけられている帳簿書類について、電子データでの保存を可能とすることと、インターネット上でやり取りした取引データの保存を義務づける法律です。

 対象になるのは、原則として「すべての法人と個人事業主」ですが、紙媒体での保存方法を採用し、電子データがない方は対象外です。

 規定されている制度は、大きく3種類に区分されます。

(1)電子帳簿・電子書類の保存
 会計ソフトなどで作成された帳簿・書類をデータのまま保存
(2)スキャナ保存
 紙の請求書等をスキャンした画像データで保存
(3)電子取引
 メールなどで受信したPDFやウェブサービスで受け取ったデータをそのまま保存する義務

 このうち、電子帳簿とは自己がコンピューターを使用して作成する帳簿(総勘定元帳、仕訳帳など)であり、電子書類とは自己がコンピューターを使用して作成する決算関係書類(貸借対照表、損益計算書など)や相手方に交付する書類の写し(見積書、請求書、領収書などの控え)のことを言います。これらの電子帳簿などについては、最低限の要件を満たせば、プリントアウトの必要はなく、また(2022年1月1日以降は)開始にあたって税務署署長の承認その他の特別な手続は必要ありません。

 最低限の要件としては、(1)システム関係書類など(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアルなど)を備え付けること、(2)保存場所に、パソコン、ディスプレイ、プリンタ、プログラムなどとこれらの操作説明書を備え付け、電子データをディスプレイの画面・書面に整然とした形式で明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと、(3)税務職員の求めに応じて電子データのダウンロードに対応していることです。

 スキャナ保存については、契約書・納品書・請求書などの資金や物の流れに直結・連動する「重要書類」と注文書、見積書、検収書などの資金や物の流れに直結・連動しない「一般書類」とで要件に多少の違いはありますが、一定の要件の下で、紙のままではなく書類をスキャンした電子データで保存することができます。こちらも(22年1月1日以降は)税務署署長の承認その他の特別な手続きは必要ありません。

 請求書・領収書・契約書・見積書などに関する電子データについて、23年12月31日までに行う電子取引については、プリントアウトして保存すれば問題ありませんが、24年1月からは保存要件に従った電子データの保存が必要になります。保存の方法については、(1)改ざん防止のための措置をとること、(2)「日付・金額・取引先」で検索できるようにすること、(3)ディスプレイ・プリンタなどを備え付けることが必要になります。あくまで、領収書等を紙ではなくデータで受け取った場合等のみが対象ですので、ご留意ください。
 


<INFORMATION>
岡本綜合法律事務所

所在地:福岡市中央区天神3-3-5 天神大産ビル6F
TEL:092-718-1580
URL: https://okamoto-law.com/


<プロフィール>
岡本  成史
(おかもと・しげふみ)
弁護士・税理士
岡本綜合法律事務所 代表
1971年生まれ。京都大学法学部卒。97年弁護士登録。大阪の法律事務所で弁護士活動をスタートさせ、2006年に岡本綜合法律事務所を開所。経営革新等支援機関、(一社)相続診断協会パートナー事務所/宅地建物取引士、家族信託専門士。ケア・イノベーション事業協同組合理事。

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事