2021年12月07日( 火 )
by データ・マックス

再開発プロジェクト「天神ビッグバン」とは(前)

 福岡市の天神地区においては、アベノミクス第3の矢「グローバル創業・雇用創出特区」によって「航空法の高さ制限の特例承認」を獲得したこの機を逃すことなく、これに合わせてまちづくりを促す「容積率の緩和」を福岡市の独自施策として実施し、都市機能の大幅な向上と増床を図っていきます。
 さらに,雇用創出に対する立地交付金制度の活用や創業支援、本社機能誘致など、ハード・ソフト両面からの施策を組み合わせることで、アジアの拠点都市としての役割、機能を高め、新たな空間と雇用を創出するプロジェクト『天神ビッグバン』を推進します。
 この取組みにより、今後10年間で30棟の民間ビルの建替えを誘導し、その延床面積は1.7倍、雇用は2.4倍に増加、また、約2,900億円の建設投資効果、建替え完了後からは新たに毎年約8,500億円の経済波及効果を見込んでいます。

天神ビッグバン概要(福岡市HPより)

特区承認で毎年8,500億円の経済効果

天神明治通り 地区計画図 【図1】天神明治通り 地区計画図

 2015年2月、福岡市は「天神ビッグバン」に取り組むと発表した。多くのメディアに取り上げられ、依然として注目を集める「天神ビッグバン」とは何か。福岡市のHPでは、上記のように概要を述べている。
 西日本鉄道(株)(中央区、倉富純男社長)や福岡地所(株)(博多区、石井歓社長(当時))、九州電力(株)(中央区、瓜生道明社長)などの地権者で構成される「天神明治通り街づくり協議会(以下、MDC)」は再開発の基本となる地区計画方針を2012年12月までにまとめていた。「天神ビル」や「福岡ビル」のほか、エリア内【図1】の約半数におよぶ建物が築後40年を経過しており、建て替えの必要性がこれまで幾度となく叫ばれてきた。

 建て替えのネックは、「容積率」および「高さ」の制限だ。1960年6月に竣工した「天神ビル」や61年12月に竣工した「福岡ビル」は、70年に改正された建築基準法の容積率規定により、現行法に則った建て替えではビル自体が小さくなり、建て替えコストに見合った賃料収入が見込めない物件も少なくない。都心部活性化のための土地の有効活用を考えると、「容積率」「高さ」は大きな意味を持つ。福岡市は都心部の機能強化と魅力づくりを推進するため、容積率の緩和制度を創設した。

天神ビッグバン対象エリア 資料:福岡市 天神ビッグバン対象エリア 資料:福岡市

 これは、今まで公開空地(セットバックによる歩道状空地・広場)の量により評価の組み立てを行っていた容積率緩和制度を、環境・安全安心などの視点を加えたものとして、制度改善したものだ。この計画方針の基本理念は、「アジアで最も創造的なビジネス街」を掲げている。建て替えたビルの低層階にテナントを誘致するなど集客や交流促進を図るほか、歩道拡張にも取り組むというものだ。条件をクリアできれば、上限800%だった従前の容積率に400%を加えた最大1,200%の容積率となる。

 築年数の経過したビルが集積する明治通りだったが、規制緩和による建て替え第一弾として、「天神セントラルプレイス(旧・福岡三和ビル)」の建て替えが進められている。周辺地区でも大規模な開発計画が進められており、天神交差点から1kmほど西に位置する中央区役所の向かいの「旧・JT福岡ビル」と「浜の町病院」それぞれの跡地で開発が予定されているほか、法務局移転後の跡地利用にも注目が集まっている。

(つづく)
【永上 隼人】

 
(中)

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