男女共同参画基本計画の年内決定先送り~旧姓使用の法制化に連合幹部らが猛反発
政府の男女共同参画会議(議長・木原稔官房長官)は22日、「第6次男女共同参画基本計画」の策定に向けた専門調査会をオンラインで開催した。
年内に基本計画の閣議決定が予定されているが、基本計画の「基本的な考え方」案に「旧姓使用の法制化を検討する」ことが盛り込まれたことに対し、会議の委員を務める連合の井上久美枝参与から意見書が提出され、会議においても「極めて遺憾だ」などと反対を表明した。
井上氏は「会議のたびに選択的夫婦別姓について発言し、他の委員からも同様の発言をしていただいた」と述べ、「プロセスの透明性と答申の正当性に疑念がある。審議会軽視だ」と政府のやり方を批判した。
これに対して男女共同参画会議議長を務める木原稔官房長官は、同日の会見で「自民党と日本維新の会との連立合意書に記載された内容を踏まえ与党と連携しながら必要な検討を行っている」と述べたが、会議の事務局である内閣府の官僚が委員の了承を経ないまま、「考え方案」に旧姓使用の法制化について書き加えたのは、官邸や与党の意向を汲んでのことである。
井上氏をはじめとする委員から反発の声が上がっているほか、立憲民主党の野田佳彦代表も「私案を政府案としたことは問題で、高市政権は独断専行で物事を決める体質がある」(17日の党会合)と批判している。
一方、自民党内にも夫婦別姓に賛成の立場の議員がおり、石破政権において結論がまとまらなかった。高市氏の意向に全面的に従うという雰囲気にはない。とはいえ、各種世論調査で7割を超える支持率の高市政権に党内で正面から異論を唱える議員は石破前首相など少数だ。
政府与党側と会議委員・野党側の溝は大きく、年内に基本計画策定はできるのか微妙な状況にあり、年内策定は先送りするが、来年1月23日召集予定の通常国会に旧姓使用の法案を提出する方針であり、会議委員やリベラル系野党の反発が強まることは間違いない。
【近藤将勝】








