2024年04月29日( 月 )

働き手がいなくては日本経済が持続できないという現実

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

自民党の豹変は評価すべき

 このほど、自民党の外国人労働者等特別員会などの合同会議が特定技能2号の対象を現在の2分野から11分野に拡大することを了承したという報道がなされた。特定技能2号は長期間の滞在が認められている。長期間定住できれば、将来において日本国籍を取得する可能性が高まる。そのため、自民党内でも愛国主義的な立場にある保守政治家らは「移民や国籍変更を安易に認めると、国家の尊厳が損なわれてしまう」というイデオロギーに基づく批判を展開してきた。

 しかし、人手不足という問題が急速に深刻化した。自民党支持派の中小企業経営者たちからは「人手不足で経営の存続が困難になる」という悲痛な声が漏れ始めた。この悲痛な声を耳にした保守政治家らは「日本経済が持続できなくなるという事態に直面し、日本民族云々に拘っていたならば大局を見誤る」と痛感したのだ。「まずは経済活動の支障を除去させることが先決」という結論に達して、従来の移民政策を大きく転換させるべく舵を切った。この豹変ぶりはすばらしい。賛同する。

人口の自然減75万人の時代

 子ども手当をどれだけ充実させても出生数が急増することはありえない。周囲では40歳を超えてようやく父親になるケースに出くわす。彼らは自分探しに明け暮れた後、家族を維持することが大事との結論にたどりつき、その結果、子どもにめぐり会う機会を得ることになる。40歳を超えて2人、3人の子どもの親になるのは大変であり、それに挑戦する物好きな人は多くない。ここで指摘されるべきことは「家族重視」という哲学と価値観を定着させる教育を徹底化させるしか道はないということだ。しかし、その普及には多くの難題が待ち構えており、普及する可能性はないだろう。

 厳しい現実から目を逸らすべきではない。現在の統計から予測できることは現実である。2年後の2025年には年間で死亡者数150万人、出生者数75万人(70万人に減るという想定もある)と見立てられている。年間自然減75万人(熊本市の人口に相当)という厳しい現実がわれわれの行く手に立ち塞がっているのだ。

関連キーワード

関連記事