2024年05月08日( 水 )

暗号資産の保管などに必要な「ウォレット」とは(前)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

暗号資産時代の必須品

ウォレット イメージ    筆者も数年前までは、暗号資産を他人に送ることなど、実際どのようにしたらいいのか全然わからなった。しかし、「知らないのは一生の恥」と思い、勇気を出して知り合いに教えてもらった。それで今では自分でもできるようになっている。

 銀行に口座を保有していなければ他人に送金する時などにとても不便であるように、暗号資産が普及しつつある昨今、その利便性から「ウォレット」などを使う機会もますます増えると思われるので、まずはこれに慣れることをお勧めしたい。今回取り上げるのは、暗号資産を保管したり暗号資産を他人に送る時などに必要になる、この「ウォレット」についてである。

 暗号資産の交換所がハッキングされて暗号資産が盗まれた、といったようなことを、ニュースなどでしばしば耳にするようになった。だが、仮に暗号資産の交換所がハッキングされても、もし自分の暗号資産を交換所に保管しないで自分の「ウォレット」に保管していたら、コインは盗まれず安全だったはずである。

「ウォレット」とは

 「ウォレット」とは本来、「財布」「札入れ」を意味する英単語である。

 普通の財布には、お金やクレジットカード、身分証明書などが入っている。一方、暗号資産の「ウォレット」には、暗号資産が入っていると思われがちだが実際はそうではない。「ウォレット」はスマホやパソコンなどのハードウェアに入っているソフトウェアで、そこに暗号資産を保管するわけではなく、ブロックチェーン上にデータとして存在する暗号資産にアクセスできるキーを保管するところだ。いずれにせよ、暗号資産を利用するためには「ウォレット」が必要になる。

 暗号資産と最初に関わりをもつようになるのは暗号資産交換所であり、利用者は交換所から提供された「ウォレット」を使って入出金することになるため、これを意識する機会はあまりないかもしれない。しかし、暗号資産の金額が大きくなればなるほどセキュリティのことを意識せざるを得なくなるので、自ずと「ウォレット」にも関心をもつようになる。

 「ウォレット」は今のところ、暗号資産の取り扱いに必要であるが、最近話題になっているNFTや分散型デジタル身分証明書であるDIDなどにも、将来用途が広がることになるだろう。繰り返すように、「ウォレット」にビットコインやイーサリアムを保管しているのではなく、それぞれのブロックチェーンにアクセスできるキーを保管しているだけである。暗号資産の所有者は、このキーで自分の資産にアクセスし、残高を確認したり出入金したりする。

 「ウォレット」は大きく分けて、アドレスとキーで構成されている。ウォレットのアドレスとは、銀行の口座番号のようなものである。相手に暗号資産を送るためには、相手のウォレットのアドレスが必要だ。ところが、ウォレットのアドレスは個人情報がなくても発行できるため、銀行口座とは違う。それに、銀行の口座番号は数字だけで構成されているが、ウォレットのアドレスはアルファベットと数字との40文字ほどの組み合わせでできており、覚えることが難しい。したがって、アドレスが必要な場合にはアドレスのコビー&貼り付けという方法で利用する。ブロックチェーン(メインネット)にもいくつか種類があり、同じブロックチェーン同士でない限り、暗号資産をやり取りすることはできない。

(つづく)

(後)

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