2024年11月03日( 日 )

コスモ、大株主排除の異例の採決で買収防衛策を可決

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 石油元売り大手・コスモエネルギーホールディングス(株)(東証プライム、東京都港区。以下、コスモ)は22日、株主総会を開催し、旧村上ファンド系投資会社・(株)シティインデックスイレブンス(以下、シティ)による株の大幅な買い増しに対抗する買収防衛策について、賛成多数で可決した。採決にあたっては、大株主であるシティを排除する異例の手法が採用された。

 コスモ側が提案した買収防衛策は、シティ以外の一般株主に新株予約権を無償で割り当て、シティの持ち株比率を相対的に引き下げるもの。シティは20%超の株式を保有しているが、採決の際にシティの議決権を排除する「マジョリティー・オブ・マイノリティー」と呼ばれる方法がとられた。これは利害関係がある大株主を除いて採決を行う議決方法で、支配的な株主の意向に議決が左右されるのを防ぎ、少数株主の保護につなげることを目的として採用される。この採決方法が日本で採られたのは、新聞輪転機メーカーの東京機械製作所が2021年10月に買収防衛策の導入に際して実施したのに次いで2例目とみられる。このとき議決権を認められなかった株主はこの方法で議決された防衛策の差し止めを訴えたが、裁判所は「企業価値の毀損を防ぐために必要な措置」として差し止めを認めなかった。

 今回の株主総会の結果としては、コスモ側の勝利ということになるが、シティ側との対立関係が解消されたわけではなく、今後、コスモ側の経営成績が厳しく問われることになる。今回の異例な議決方法については、コスモが特定の株主の議決権を恣意的に排除しており株主平等の原則に反するものであると問題視する意見もある。今回の株主総会は今後も議論を呼ぶ事例であり、この先の進展も引き続き注目すべきだろう。

【寺村朋輝】

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