2024年04月29日( 月 )

「フリマ」で休眠足場の流通促進へ

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

(株)エルライン
執行役員 尾形 友樹 氏

 (株)エルライン(本社・東京都品川区)は、足場専門工事を請け負う一方、日本最大級の足場・仮設資材販売・買取サイト「足場JAPAN」を運営する。次の一手として、足場をスマホで気楽に出品・購入ができる「LLINK(リンク)」をリリース。同社の執行役員・尾形友樹氏に、「LLINK」の狙いなどを聞いた。

自社の課題をサービスに

足場 資材    ──足場材に特化したフリマ「LLINK」を始めたきっかけは、何だったのでしょうか。

 尾形 当社の前身は、2007年に代表取締社長の浅野勝人が立ち上げた足場工事の「浅野組」です。足場工事は現在も行っているのですが、当社でも一定数、現場で稼働しない足場材があり、保管スペースにも限界がある。こうした足場材を有効活用できないかと始まったのが「足場JAPAN」、そして「LLINK」であり、当社の現場主義をかたちにした、足場材特化型のフリマサービスです。

 足場・仮設資材の販売・買取総合サイト「足場JAPAN」の運営は、14年から行ってきました。そして22年12月、「足場JAPAN」のノウハウを生かし、フリマ形式で足場材を取引できるサービス「LLINK」をローンチしました。

 「足場JAPAN」は当社が販売・買取・再販するものですが、「LLINK」では当社は運営に徹し、売主と買主が直接売買する、フリマ形式をとっています。足場材は枠組み、くさび式、クランプ、単管パイプとさまざまな種類や組み合わせが多く、顧客により要望が異なります。また、大型トラックの配送手配がネックで、個人が自由に気軽に売買することが難しかった重量物がインターネット上で手軽に売買できる仕組みが、「LLINK」です。

本人確認などでトラブル防止

 ──取引の流れは、どのようになるのでしょうか。

 尾形 当社への入金確認が取れた時点で、商品発注が成立します。その後、当社は配送手配を行い、購入者が商品を受け取り、取引システムに用意された「受領確認」ボタンを検収確認として押してもらうことで契約成立となります。出品者に対しては、手数料(取引金額の10%)を引いた商品代金を当社が支払います。登録も出品も無料です。メーカーからの出品要望も増えてきましたが、その場合は新品として出品しています。

 SNSの普及により、中古足場材の売買も増加傾向にありますが、お互い顔や身分が確認できないので、一部で入金遅延などのトラブルもあるようです。当社ではこの取引形態でトラブルを未然に防いでいます。仮に盗難品が出品された場合は、出品停止などの措置を行います。出品者には事前の本人確認が必要となるほか、当社では「LLINK」の出品物をパトロールすることで、購入者のリスク排除に努めています。

LLINK

 ──「LLINK」の課題は、何でしょうか。

 尾形 中古足場材の売買は写真で決まります。そのため、掲載写真が現品であることも重要です。高い水準での写真の信用性は今後の課題の1つです。また、出品者からは、「打ち込むデータが多いので、より簡単にしてほしい」という要望があります。そこで足場材の写真を撮影したら、その商品の規格などが自動で認識され、反映されるようなシステムにしていくことを検討しています。商品が毎日変更されることで、売買も活発になっていくでしょう。購入者が毎日チェックをしたくなるようなフリマサービスへと成長させたい。できたばかりのフリマサービスなので、出品者や購入者の意見を聞いて、優先順位を絞って改善に努めている段階です。

フリマで建設業界をDX

(株)エルライン LLINK

    ──どのような方の利用が多いのでしょうか。

 尾形 足場業界は独立開業が比較的活発ではありますが、独立した方も「ルーツ」によって、足場材や現場が指定されるケースがあります。せっかく独立したのですから、それを嫌がる方もおり、まったく前職とは関係ないところから足場材を購入したいという意向が高まったことで、「足場JAPAN」が軌道に乗りました。独立支援ともいえます。

 現段階では足場材に特化している状況ですが、重機など建設業界で利用される重量物を幅広く売買できるフリマへと成長させたいですね。少しでも安く仕入れたいというニーズは多いため、そのニーズをうまく汲み取り、取引を活発にすることができれば、業界のDXに貢献できるのではないかと期待しています。

【長井 雄一朗】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:浅野 勝人
所在地:東京都品川区東品川2-1-11
    ハーバープレミアムビル5階
設 立:2008年12月
資本金:1億円
TEL:03-6632-8029
URL:https://lline-group.co.jp
足場JAPAN:https://ashiba-japan.asia/
LLINK(リンク):https://llink.asia/

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事