2024年05月04日( 土 )

パワハラ防止と部下の活力引き出すプログラムを無料公開~九大

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

    九州大学大学院人間環境学研究院の山口裕幸教授、日本学術振興会の小林百雲子特別研究員(九大)らの研究グループは21日、職場でのパワーハラスメント(パワハラ)を防ぎ、部下の活力を引き出すプログラムをウェブサイトにおいて無料公開を始めた。

 パワハラによる就労者への心身の健康被害や職場への悪影響は社会問題になるなか、山口教授、小林研究員らは従来のパワハラ研究で見落とされてきたパワハラを防止することによるポジティブな側面に着目し、介入プログラムの多面的効果の実証に踏み込んだ研究を行ってきた。

 公開されたのは、上司から部下への共感的な姿勢や適切なコミュニケーション法を身につけるための短期プログラムで、大きく以下の3つにより構成されている。

(1)アンガーマネジメント(怒りの特徴や考え方のクセを見なおす認知行動療法や怒りへの物理的な対処法)
(2)アサーション(相手を尊重しつつも、自分の意見や要求などを率直に誠実に伝えるスキル)
(3)積極的傾聴(部下の話を共感的に聴くコツ)

 プログラムの参加により、上司には怒りのコントロール力、共感的なコミュニケーションの促進、職場にはパワハラの防止、部下にはワーク・エンゲイジメント(仕事に対する活力・熱意・没頭などのポジティブで充実した状態)向上がそれぞれ期待されるという。

 小林研究員は、「組織のリーダーの力はパワハラに用いられるためのものではなく、メンバーや職場を活気づけるための大切な資源。本プログラムは企業や就労者への負担が少なく、実践的な事例やワークを複数取り入れている」とコメントしている。

 プログラムの詳細は小林研究員のHP(パワハラを防ぎ,部下の活力を引き出すリーダー術)を参照。

【田中 直輝】

関連記事