2024年02月29日( 木 )

「まちづくりGX」都市緑地法人を創設へ

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国交省都市局は10月26日、都市計画基本問題小委員会を開催
国交省都市局は10月26日、都市計画基本問題小委員会を開催

 国土交通省は10月26日、多様な価値観や社会の変化を包摂するまちづくりを目指す都市計画基本問題小委員会(委員長:谷口守・筑波大学システム情報系社会工学域教授)の第25回会合を開き、「まちづくりGX(グリーン・トランスフォーメーション)」に関する中間とりまとめの取り組み状況を発表した。まちづくりGXでは、都市の緑地に関して官民が共通して目指すべき姿を行政が示すことや、民間資金の導入を図るための事業者の自発的な取り組みを客観的に評価できる仕組みについても検討した。今後の方向性としては、①都市の緑地の質・量両面での確保、②森林への都市の貢献の在り方、③市街地整備と一体となったエネルギーの面的利用、の3点を示した。今回はこの会合内容を基に、今後のまちづくりGXの行方を探った。

緑地の基本方針

 中間とりまとめでのまちづくりGXの項目では、気候変動の対応、生物多様性の確保、ウェルビーイング(Well-being)の向上を図ることを目的に、都市緑地の確保やエネルギーの有効活用に取り組むことが重要との視点を示した。現在、制度改正や予算要求を行っているという。緑地の持つ機能には期待が寄せられており、ESG投資の世界的な潮流により、民間企業が緑地に投資する環境が整っていることから、新たな緑地の創出に動く。

 緑地行政では、地方自治体の財源や人材不足の現状を踏まえ、(1)緑地に関する社会的意義の高揚、(2)民間事業の評価、(3)都市緑地法人の創設、(4)自治体財源の充実、(5)都市のエネルギー利用の再エネ化・効率化、の5点を提示した。

 国の緑地に関する方針「緑の政策大綱」は、1994年に建設省(現・国土交通省)が策定してから30年を迎えることもあり、新たに「緑地の保全・緑化の推進に関する国の基本方針」の策定を検討中。国の都市緑地に係る目標や官民の取り組みの方向性を示し、都市の質・量両面での緑地の確保を目指すとしている。

 次に、「都市計画での緑地の位置づけの向上」だ。都市計画における「自然的環境」の整備や保全の位置づけを高め、全国的に都市計画の段階から不可欠な重要な要素として扱う方針。国の「都市緑地に関する基本方針」(新設)と都道府県単位の「都市緑地に関する広域計画」(新設)は、地方自治体が策定している現行の「緑の基本計画」と連携させ、さらにはコンパクトシティの「立地適正化計画」にも連動させることで、緑地に関する社会的意義を高めていく。

民間資金で緑地創出

 一方、国交省は23年6月、「民間投資による良質な都市緑地の確保に向けた評価の在り方検討会」の中間とりまとめを行った。民間資金を活用した緑地の保全・創出を推進するうえでは、事業者の自発的な取り組みを客観的に評価できる仕組みやインセンティブの促進が重要であるとした。

 この中間とりまとめで示した良質な緑地を確保する評価制度に関する方向性を踏まえ、評価対象となる事業の考え方や評価方法や項目について意見交換を行うための有識者会議を10月に設置。24年8月にはフィージビリティスタディを行いつつ、基準案のとりまとめを実施する予定としている。先行事例では「大手町の森」「CITIZENの森」などがあり、これらを参考にして民間事業者による緑地の創出を進める。

 「評価制度を通じて緑地を創出・維持するプロジェクトに民間資金が集まるようにしていきたい」(国交省都市局)。

特別緑地保全地区とは

 都市緑地法人(国指定法人)は、保全すべき緑地(特別緑地保全地区等)の土地の買入れや機能維持増進について、地方自治体の財政的制約や緑地の整備・管理に関するノウハウ不足に対応する目的で創設に動いている。

 専門技術を持つ法人が、買入れと機能維持増進を一体的に行う制度で24年度予算への概算要求にも盛り込む。土地所有者の特別緑地保全地区の指定意欲の向上や緑地の質の改善により、市民の緑地への評価・関心の高まりを促し、特別緑地保全地区の指定の推進を図っていく。

 この特別緑地保全地区とは、都市の良好な自然環境を形成している緑地を市町村が都市計画として定め、開発行為を許可制にして規制し、現状凍結的に保全する。これは厳しい規制となるため、土地所有者の申し出あれば、地方自治体が買入れする必要がある。同法人の主な業務は、地方自治体からの要請を受け、緑地を買入れ、該当する地方自治体に譲渡するまでの期間、必要に応じて機能維持を増進。次に緑地認定を受けた者に対し、事業実施に必要に資金を貸し付けるほか、地方自治体や民間企業などへ緑化推進・緑地保全のノウハウの提供や技術管理の支援などを検討している。

概算要求の重点課題

 国交省は保全すべき緑地の自治体財源に関して、総務省に都市計画税を対象に特別緑地保全を加えるよう要請した。さらに、まちづくりGX推進税制の創設も地方税制改正要望で挙げた。

 都市開発の脱炭素化は、良好な緑の創出、再生エネルギーの活用、省エネ対策を行う民間都市開発を推進する必要がある。そこで、現行の民間都市再生整備事業の認定や基準に加えて、①緑の創出の取り組み、②再エネ利用や省エネの取り組みも認定制度に加えることを検討。さらに、金融支援も建物の緑化、再エネの利用、省エネ設備の導入も対象とし、支援を強化することも検討中だ。これは、脱炭素都市再生整備事業(仮称)として概算要求に組み入れた。

 国交省都市局では、24年度概算要求の重点課題の1つとしてまちづくりGXを挙げ、民間資金の活用による都市緑化の確保や都市エネルギー利用の再エネ化・効率化などを展開していくとしている。

【長井 雄一朗】

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