2024年04月19日( 金 )

福岡商工会議所の新年祝賀会、今年の言葉は「先手必勝」

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

1月5日、福岡商工会議所主催の新年祝賀会がホテルオークラ福岡にて開催された。今年はコロナ禍により自粛していたアルコール飲料の提供も行われ、4年ぶりの通常開催に960名の会員が出席した。

新年挨拶で谷川浩道会頭は、福岡の景況感がコロナ禍前水準にまで回復したことを喜びつつ、政府が打ち出す賃金と物価の好循環に焦点を当てた経済対策に対して「実効的な効果を生むには様々な課題がある」と述べ、地域企業が物価上昇に見合うだけの賃上げを行うことが政策実現の鍵であることを説明した。

また、2024年の福岡商工会議所による取り組みでは、適正価格による健全な商取引の推進、企業の稼ぐ力を高めるためのデジタル化支援、歴史文化を生かしたまちづくりの3項目を重点施策として掲げ、伝統文化を継承していく一つのやり方として、会頭自らも博多織のスーツとネクタイを身につけていることを紹介した。

毎年恒例となる福岡商工会議所が選ぶ今年の言葉は、物事の先を読み、確実に手を打って必ず勝つという思いを表して「先手必勝」であった。これは物事を傍観せず、後手に回らない姿勢を示し、挑戦し、失敗を学び、また挑戦する。それを繰り返して最後には必ず勝つ「負けてたまるか」精神として会員に心づよいエールが送られた。

令和6年福岡商工会議所・谷川浩道会頭の年頭挨拶

(抜粋)

福岡の景況感はコロナ前水準に

皆様、新年あけましておめでとうございます。福岡商工会議所の新年祝賀会にご参加いただき、誠にありがとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

昨年5月には、新型コロナが5類へ移行し、社会経済活動がほぼ元の姿に戻りました。どんたくや山笠、そして世界水泳選手権などの国際イベントも通常通りに開催され、福岡は再び賑わいを取り戻しました。観光客も増加し、福岡の景況感はコロナ前の水準にまで回復しました。

九州全体を見渡しますと、TSMCの熊本進出がきっかけとなり、半導体関連産業を中心に投資が活発化しています。しかしながら、日本経済全体は緩やかな回復基調にありつつも、深刻な人手不足や為替物価の見通しが不透明な状況が続いています。

特に為替物価において、実質賃金は物価高に押され、前年同月比で19ヶ月連続のマイナスとなっています。これに加えて、社会保険料の負担が増加しており、低所得世帯の消費支出が抑えられています。物価高の影響は賃金だけでなく、個人金融資産にも及んでいます。異次元金融緩和による長期超低金利の中で、資産運用収入が得られにくい状況です。約3%の物価上昇による金融資産の減少は、年間でおよそ26兆円にも達し、消費税で言うと13%に匹敵するマイナスの資産効果となっています。これが多くの資産運用で生計を立てている方々にとって重い負担となり、全体の消費支出を減少させています。

インフレ物価高の大きな要因である円安は、主に欧米諸国との金利差によって生じています。現在の行き過ぎた円安が是正されれば、物価情勢は変わるでしょう。外国人労働者の減少もありますが、その対策として日銀には異次元金融緩和を正常な機能に戻す努力を急いでいただく必要があります。円安は輸出企業にとっては好都合かもしれませんが、中小企業には利益がほとんど生まれていないことを強く指摘しておきたいと思います。

適正価格での取引から賃上げを

政府は先月、賃金と物価の好循環に焦点を当てた経済対策を打ち出しました。しかし、口先だけではなく、実効的な効果を生むには様々な課題があります。全企業数の99.7%を占める中小企業が、物価上昇に見合うだけの賃上げを行うことが好循環の鍵となります。

しかし、中小企業はエネルギー原材料価格の高騰に苦しんでいます。賃上げのためにはコストの増加も販売価格に適切に反映させる必要がありますが、大多数の企業では難しい実態があります。昨年末に公正取引委員会が労務費の転嫁に関する価格交渉指針を公表しましたが、これは価格交渉の際の具体的な行動指針です。当会議所ではこの指針を遵守し、各企業に対して個別に対応していく予定です。

経営者自身もマインドを変える必要があります。全ての基本は商品やサービスの価値に見合った適正な価格で取引を行うことです。大手企業も中堅企業も、単なる利益追求ではなく、共存共栄の考え方のもと、適正な価格での取引が重要です。中小企業も安易に値段を引かないことが重要です。この点において、かつての伊庭貞剛氏の言葉を借りれば、「企業の事業は自身を利するだけでなく、国家と社会にも利益をもたらすべきである」という考え方が大切です。

今年の福岡商工会議所の取り組み

今年、福岡商工会議所では、以下の三つの項目を重点施策として進めてまいります。まず第1に、今申し上げた適正価格での取引の推進です。企業の繁栄のためには、物価と賃金の好循環が重要ですが、そのためには適正な価格での取引が欠かせません。当会議所は、価格交渉に関する指針に基づき、各企業に遵守を促し、健全な商取引を推進してまいります。

次に第2に、企業の稼ぐ力を高めるための自己変革の後押しです。企業が利益を上げて賃上げを実現するには、稼ぐ力を向上させる必要があります。そのためには自己変革が不可欠であり、特にデジタル化が重要な前提条件となります。デジタル競争力ランキングでの日本の低さを考慮すると、企業全体がデジタル化を進めることが喫緊の課題です。当会議所では「YOKA-DIGI」というデジタル化のための総合窓口を設け、会員企業が自己変革を図り、新しい付加価値を生み出すための支援を行っております。

最後に第3に、歴史文化を生かしたまちづくりです。福岡市は元気なまちと言われていますが、その一方で市民の多くが歴史的な資産に気づいていない現状があります。当会議所は市民に向けた15の提言を通じて、歴史文化を生かしたまちづくりの推進を図っています。市民の皆様と協力し、歴史や文化に対する理解を深め、郷土に誇りと愛情を持つことが、豊かな未来への貢献となるでしょう。

今年の言葉は「先手必勝」

最後に、当会議所の新年祝賀会では毎年、一つの言葉を公表しています。今年の言葉は「先手必勝」です。これは物事の先を読み、確実に手を打ち、そして必ず勝つという意味を込めています。

私たち商工会議所は、地域経済への貢献を目指し、常に未来を見据え、先手必勝の精神で挑戦を続けます。そして、今年も会員企業の皆様にとって、信頼され、役に立つ存在であり続けるために全力を尽くします。

今年が皆様にとって充実した一年となり、明るい未来が広がることを心よりお祈り申し上げます。どうもありがとうございました。

(抜粋おわり)

【児玉崇】

関連キーワード

関連記事