2024年06月16日( 日 )

【まるの会・一條氏のコンサル資質に疑義(15)】スリーダムアライアンス、Xデー迫る

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設立10周年、燦然と輝く累積赤字

 当社が長らく恋焦がれて追い続けてきた(株)スリーダムアライアンス(本社:東京都港区、以下3DOM)が、来る2月24日、めでたく会社設立10周年を迎える。

 まずは10年にわたって企業経営を続けられてきたことについて、実質的オーナーである松村昭彦代表(23年に代表就任)に対し、筆者も企業調査会社の末端社員として敬意を表したい(冬場につき脱帽は省略)。

 当社社員はつねづね企業調査員としての心得を会社から言い聞かせられている。
 「経営者の心に寄り添った仕事をしろ」と。

 筆者も心得の第一条に習って、本稿ではできるかぎり松村代表の心情に沿って文章をつづりたい。

 さて、10年の歩みを振り返って松村代表は今何を思うだろうか。

 同社と代表が歩んできた苦難の10年を振り返るとその先には真っ赤な夕日…ならぬ、真っ赤な累積赤字が積みあがっている。

 ここには近々の2023年12月期の決算はないが、松村代表の穏やかな目にはきっとそれも見えているに違いない。決算書類をオール赤点で塗りつぶしながら飄々とした姿勢を長きにわたって貫くのは、松村代表の美学だろうか。

 だが、現実を超えた美学の完遂には、必ず悲劇的(あるいは喜劇的)な終わりが来るものだ。

10周年をねぎらうNEDOからのサプライズ

 10周年を迎える同社には、これから続々とお祝いが届くことだろう。なかでも大きなスポンサーである「まるの会」から、どのようなお祝いが届くか(あるいは届かないのか)、固唾をのんで見守りたい。

 ところで、通常やりとりがあるといっても行政関係からお祝いが届くことはないものだが、そこはさすがに3DOM。同社の経営陣に対して、国の外郭団体から大きなサプライズが届けられたという情報が第三者から寄せられた。

 サプライズの送り主は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)。宛先は同社子会社であるTESNOLOGY(株)だ。同社代表を務める近藤克彦氏は「まるの会」の代表・一條好男氏とともに「まるの会」を支えてきた中心人物であり、TESNOLOGYは3DOMの希望の星だ。(一方、かつて希望の星だったnoco-nocoの株価については既報の通り。)

 では、そのTESNOLOGY宛に何が届いたのだろうか。

 現在、TESNOLOGYは大学などの研究機関と協力して、NEDOの助成金事業を進めている。NEDOの22年度「新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業」採択テーマ一覧を見ると、TESNOLOGYは再生可能エネルギー利用促進分野の<フェーズB>に採択されており、これによってNEDOから5,000万円以内の助成金を受けていたものと思われる。

 この手の助成事業はよほどのことがなければ毎年フェーズを更新していくものだが、同社と共同でプロジェクトを進める第三者からの情報によれば、23年度のフェーズC審査にTESNOLOGYのプロジェクトは落選したというのだ。

 え、落選?

 もし、これが本当であれば、同社の松村代表にとって、この上なく大きなサプライズだ。過去記事でも言及した通り、TESNOLOGYの近藤代表こそは、松村代表が「天才科学者」と呼ぶ3DOMの至宝であり、同社の将来的な成功を保証する根拠として、たびたび松村代表が言及してきた切り札に他ならない。その近藤代表が手がけるプロジェクトが国の助成金事業から途中失格の烙印を押されたとすれば、松村代表にとっては青天の霹靂、10年にわたる大いなる夢から覚めて突き付けられた現実ということになる。

 だがここに筆者は一抹の不安をも覚えている。松村代表はじめ同社経営陣がこのサプライズに本当に驚いたかどうかということだ。サプライズが通用するのは、松村代表や経営陣が本当に近藤代表の天才を信じていた場合であるが、そもそも誰も信じていなかったということも十分に考えられる。そして、10年にわたる毎期の大赤字と同様に、経営陣らは今回のサプライズに対して、「NEDOごときに近藤の天才を評価できるはずがない」とうそぶく常套手段で現実逃避し続けるつもりではなかったか。

松村代表の“お言葉”は止まらない

 そのような私の不安を裏付けるとある動画を見つけた。

 それは松村代表が大阪・朝日放送のABCラジオに出演した際の収録動画である。1月22日付けで同ラジオの公式YouTubeチャンネルにアップロードされている。

【経営者たちのラジオ】この社会の閉塞感を打ち破るために今の若者たちに伝えたいこと、「美」と「愛について」

 動画のなかで松村代表は、自社の経営不安など微塵も感じさせずに、技術革新の夢と自身の哲学を滔々と語っている。現実を超越して夢の世界から語り掛けるような同氏の変わらぬ名調子は「教祖」と呼ぶに相応しい。もし誰かがこの動画を見て、「この人はすでにある種の悟りの境地に達しているのだ」と感想を述べたとすれば、筆者も同意するにやぶさかではない。だが、それに続けて、「だから松村代表の経営が失敗する筈はない」と判断しようとするなら、それこそまさに「鹿を指して馬とする」、自分自身を欺くことに他ならない。経営者が悟りのパフォーマンスをしていることと、その経営の健全性は何ら関係がないのであって、そのような悟りの世界に魅入られる現実逃避的な人の弱い心を、ある種の人々は利用しようと手ぐすね引いて待っているのである。

 だが、このように読者に忠告する前に、当社が向き合うべき現実があることもたしかだ。すなわち、当社渾身のキャンペーン記事が、明らかに朝日放送に伝わらなかったということである。まさに現実とは直視するには辛いものだ。

逃げる取締役、残る竹中氏
Xデーは間近

 同社の内情についてはほかにも情報が舞い込んでいる。22年6月に竹中平蔵氏(元総務大臣)、飯塚洋氏(安倍晋三元首相の元政策秘書)らとならんで取締役に就任していた古澤満宏氏(元財務省財務官、三井住友銀行国際金融研究所理事長)が、昨年12月中に取締役を辞任していたことが分かった。10周年の祝いの席を前にしての、任期途中での逃亡である。しかし、むしろ驚くべきなのは、天下の総務大臣まで務めた竹中氏が、まだ取締役にとどまっているということなのかもしれない。これは竹中氏の余裕なのか、それともよほど余裕がないのか。

 その他にも同社の給料日である1月25日に、一部社員に給料が支払われなかったという情報も舞い込んでいる。これも10周年カウントダウンに向けた同社の趣向であるとすれば、その社員にとってはとんだサプライズだ。いよいよ3DOMをめぐるドラマはフィナーレに近づきつつある。

 このように、いよいよXデーを迎えつつある同社だが、近藤代表が指揮するプロジェクトに対するNEDOの評価が上記のようなものであるとすれば、はたして同社が資金集めの大義名分としてきたスタートアップとはいったい何だったのか。また、そこに巨額の資金を集める役割を担ってきた「まるの会」は、出資者たちにどのように説明するのだろうか。

【寺村 朋輝】

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