2024年05月06日( 月 )

芝浦グループの不動産戦略 大分で複合ビル、不動産再生も

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芝浦グループホールディングス(株)
代表取締役社長 兼 CEO 新地 洋和 氏

芝浦グループホールディングス(株) 代表取締役社長 兼 CEO 新地洋和 氏

大分駅徒歩3分に
テナント・オフィス複合ビル

ニューガイアビルディング大分駅前No.80

    ──御社の最新の不動産プロジェクトを教えてください。

 新地 昨年11月、大分市街地にて6棟目となる「ニューガイアビルディング大分駅前No.80」の地鎮祭を行いました。JR大分駅から徒歩3分の場所で、大分市が管理するイベントスペース『祝祭の広場』に隣接した好立地です。その立地条件をいかして、地上9階建のうち1~3階は物販店、飲食店、クリニックなどが入れるショップフロア、4・5階はミーティングルームやフリーラウンジを備えたスモールオフィスフロア、6階~9階をオフィスフロアとする複合商業施設ビルになります。竣工は2025年3月を予定しています。

1~3階はショップフロア、大分駅前に賑いと活気を創出。
1~3階はショップフロア、大分駅前に賑いと活気を創出。

 ──御社は不動産のみならず建設や太陽光発電などさまざまな事業をグループ内で行われています。

 新地 当社はグループで、不動産情報を基にした事業の計画、土地の買い付け、建設時の設計・施工管理、さらには出来上がったその施設の管理まで、すべてワンストップで手がけています。これにより、プロジェクトを柔軟かつスピーディーに実施することができます。また、分譲および賃貸マンション、オフィスビル、ホテル運営と幅広い不動産アセットの開発・運営実績があり、土地の条件に合わせた開発を検討できるところが強みです。

 ニューガイアビルディング大分駅前No.80における「複合商業施設ビルプロジェクト」では、当社として初めて複合商業施設の運営をスタートします。このプロジェクトを通して、新たにテナントの誘致を含めた運営のノウハウをグループとして身に付け、さらに総合不動産企業としてステップアップを図るつもりです。

新規開発だけでなく
「不動産再生」や「再エネ活用」も

 ──今後の不動産事業の展開をどのように考えておられますか。

 新地 現在、当社の収益の柱は不動産事業ですが、先にお話した通り、土地情報を基に事業計画を立て、購入した土地に建物を自社で建設しています。このスキームで事業が大きく成長してきた経緯があり、当社の事業計画において建設業はなくてはならないものです。しかし、資材の高騰、人材の確保など、建設業をめぐる経営環境は激変のさなかにあります。そうしたなかで、既存建物を仕入れて再生し運用する、中古物件再生の取り組みも重要になっています。ここ10~15年ぐらいの建物は、基本構造体が強くなっていますし、環境負荷への配慮の点からも不動産再生は重要です。

 ──不動産再生における既存事業とのシナジーはどこにあるのでしょう。

 新地 たとえば、当社は太陽光発電事業を早くから手がけています。これを不動産の付加価値としてもいかしており、屋上に各戸専有の太陽光パネルを設置したニューガイアマンションシリーズを19年前から建設しています。環境志向の高まりから、再生可能エネルギーを電源として組み込んだ建物への需要はますます高まるでしょう。また、グループ内の芝浦電力(株)が電力小売事業を行っており、当社が再生、管理運営しているホテル、オフィスビル、マンションには当社のメガソーラーから電気を供給しています。

成長への人材戦略、
働きたい職場づくり

 ──グループとしての今後の成長戦略を聞かせてください。

 新地 企業として事業を継続し成長を続けるためには、事業戦略とともに人材戦略がとても重要な時代になりました。人材を獲得するためには、仕事のやり甲斐や内容だけでなく、当社で働くことそのものの魅力をアピールしていかなくてはなりません。具体的には福利厚生や待遇を改善して、社員にとってより魅力ある会社にしていくことだと考えています。昨年12月に実施した当社のグループ総会では、給与のベースアップと確定拠出年金導入について私から全社員に説明しました。また当社には10年、20年、30年と勤めてくれている社員がいますので、その方たちに会社として感謝の意を示すために永年勤続表彰も行いました。このような取り組みは、会社が社員のために「働きたい職場づくり」を実現する決意を伝える、重要なメッセージの1つです。

 当社は多業種にまたがって事業展開しています。不動産を核としながら、10年後に控えたメガソーラーの固定価格買取制度(FIT)卒業後の新戦略と、ホテル事業におけるDXを駆使した収益化を事業戦略に組み入れながら、人材戦略にも積極的に取り組むことによって、地域と社会、そして従業員たちにとっても希望のある企業体を実現していきたいと考えています。

【(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役会長 児玉 直
文・構成:寺村 朋輝】


<COMPANY INFORMATION> 
代 表:新地 洋和
所在地:福岡市中央区那の津3-9-1
設 立:2009年3月
資本金:7億450万円(資本準備金を含む)
売上高:(23/7単体)62億5,500万円


<プロフィール>
新地 洋和
(しんち・ひろかず)
1979年生まれ。福岡県北九州市出身。2002年、芝浦特機(株)入社。(株)ニューガイアおよびニューガイアエナジー(株)代表取締役を経て、17年、芝浦グループホールディングス(株)代表取締役社長就任。22年10月、同社代表取締役社長兼CEO就任。

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