2024年05月10日( 金 )

八女市議会総務文教委、ハラスメント条例を求める請願を継続審議

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 福岡県八女市議会総務文教委員会(服部良一委員長)は、6日「あらゆるハラスメントの防止を求める条例制定を求める請願」を継続審査とした。

 請願は筑後地域の住民有志から提出されたもので、午後1時から請願人からの意見陳述や議員による討論・採決が行われた。

 先月に請願が提出されてから、服部委員長が継続審議にするよう根回しを行っていたが、2月29日の市議会一般質問において、三田村統之市長も議会の動きに同調する答弁を行っていた。

 関係者は「八女市役所でもパワハラがあり、請願により条例制定の動きが進めば、これまで揉み消してきたことまで追及されることを執行部は恐れたのだろう」「行政は男女共同参画や人権教育と言いながら、八女市の実情を踏まえた啓発を行っておらず、行政も市民も旧態依然としている」と語り、執行部が一部市議と結託して、請願を潰そうとしたとの見方を示した。

 委員会において請願人代表が、自身のDVを受けた経験などを踏まえて、男女平等といわれながら「妊娠・出産・育児に対して職場で受ける不当な取り扱いや性的嫌がらせにより労働環境が害される」ことを指摘し「女性の政治参加を好ましく思われない傾向がある」など7分間にわたり条例制定の必要性を訴えた。

 また「あらゆるハラスメント」としていたが、「セクハラ・パワハラなどできるところからの条例制定をお願いしたい」と請願の理念を守りつつ柔軟に進めることに賛同した。

 委員会審議においては複数の委員から質問ではなく意見が述べられており、最初から「継続審議が望ましい」と結論ありきの議事運営が決まっていたことを示唆していた。一方で、委員長が「継続審議はハラスメントに背を向けているものではない」と強調していた。

 委員会を傍聴した川口誠二議会運営委員長は「総務文教委員会自体が不勉強で、本来なら委員会で事前に勉強会を行うことなどが必要だった」「質疑でいきなり継続を主張する議員がいたが、委員長がそれを制止できなかった。委員会審議の段取りとしておかしい」と委員会の在り方に疑問を呈した。

 また当初、委員会には地元に支局を置く西日本新聞の記者も取材に来るという話が伝わっていたが、委員会傍聴には来なかった。

 ある市議はデータ・マックスの取材に対し、「西日本(新聞)は以前、八女市政に是々非々だったが、御用新聞に成り下がってしまった」と述べ、「西日本は八女地域で一番読者が多い。人権を掲げる同社が取材・報道しないことで、市民が知る権利を失うことになる」と指摘した。

 14日午前10時から行われる本会議において総務文教委員長による報告の後、議員による討論・採決が行われる。

 継続審議には保守系の一部や公明党など賛成する議員が多いが「速やかに可決して条例の中身を議論すべき」として、それに反対で今議会での可決を主張する市議もおり、八女市の人権啓発やハラスメント問題に対する取り組み姿勢が問われることになる。

【近藤 将勝】

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