2024年05月20日( 月 )

建設・不動産、位置情報と人流のデータ活用事例、LBMA Japan

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(一社)LBMA Japan
代表理事 川島 邦之 氏

(一社)LBMA Japan 代表理事 川島 邦之 氏

 活用の場面が拡大する位置情報や人流データ。ショッピングモール開発では、商圏分析、建設現場の作業員管理などで活用が進むほか、働き方改革に対応したオフィス環境の整備など、事例は増加中だ。今回、位置情報を軸にしたマーケティングやサービス施策の促進を目的とする日本における事業者団体、(一社)LBMA Japanの代表理事・川島邦之氏に、位置情報や人流データの現状と可能性を聞いた。

モールの商圏分析

 ──位置情報および人流データとは、どういったものを指すのでしょう。

 川島 スマートフォンのGPSやWi-Fi機器などのスマートデバイスから取得できるのが位置情報データで、人の動きをまとめて記録する移動データを指します。人流データとは位置情報データを使って、人が「いつ」「どこに」「何人いるのか」を把握できるデータです。これらを用いれば、ある日の夕方5時~6時に博多駅から天神にどれだけ人が移動したかを把握することも可能です。

 ──実際の活用事例としては。

 川島 「特定の日にどこから何人が来訪した」といった情報を取得できますので、ショッピングモールなどで活用されています。モール全体の来訪者数はいうまでもありませんが、A市から約100人、B市から約150人とその内訳もわかりますから、商圏分析に活用できます。また、競合施設の商圏分析や開発用地周辺の人流データを取得することで、開業前のリサーチにも利用可能です。従来は5年に1回の国勢調査によるマーケティングでしたが、近年は位置情報と人流データを活用し、より詳細にデジタルにリアルタイムに把握できる点が大きな変革です。現在、多くの企業でオフィス内での働き方を調整し、オフィス環境の動線の改善に取り組んでいますが、オフィス内のデータを利用するケースも増えています。

 さらに、建設現場では、作業員の管理に活用できます。実際に、いくつかのゼネコンでの事例では、立ち入り禁止区域に作業員が入った場合、アラートを鳴らす取り組みも展開しています。

 観光面では、多くの自治体が導入しています。市区町村単位で人流データを見ることで、観光地の実態を把握することが可能なので、これまでもデータを活用したキャンペーンが行われてきました。

 災害時に、人がどう動いたかもわかりますので、過去の避難経路やボトルネック地点を把握することで、改善を図ることもできるでしょう。

 広告では、ある地域に来た方のみに対してピンポイントで、ネット広告を出すビジネスも生まれています。

カオスマップ
日本国内における位置情報サービスを展開する
企業を中心としたカオスマップの2023年版

CO2排出量を可視化へ

 ──LBMA Japanとして今年は、どのような活動をされますか。

 川島 「ロケーションGXプロジェクト」を立ち上げます。これは位置情報データを活用し、人の移動にともなうCO2排出量を可視化するプロジェクトです。位置情報から、その方の移動方法が徒歩、自動車、自転車なのかを推測できます。同時に路線図、経路図、地図を組み合わせれば、公共交通か自家用車による移動かも推測可能です。そのデータを可視化することで、移動にともなうCO2排出量をアプリなどで示します。アプリでは、「10分余計にかかるが、もし自転車で移動すればCO2排出量はゼロになる」といった代替交通手段を提案することで、CO2削減に対してポイント還元を行う施策なども提唱しています。まずは、「ロケーションGXガイドライン」を2024年中に制定し、ビジネスへと発展させていきたいです。

 生成AIの活用も引き続き進めます。生成AIに膨大な位置情報データを読み込ませて、最適な回答を導く試みです。すでに技術として確立していますが、サービス化に向けた施策を展開中です。

 ──LBMA Japanを設立した狙いとは。

 川島 位置情報データはスマートフォンから取得した場合、技術的には個人を追跡することができてしまいます。個人情報保護の観点から、皆さんに不安を与えてしまうこともあるかと思いますが、業界団体として「特定の個人を追跡しない」ことを提唱するため、団体を設立しました。当団体は2019年10月に国際的なNPO法人・The LBMA(カナダ)の日本支部として発足し、20年2月に日本での活動を独立するかたちで一般社団法人化しました。データ活用には、運用ルールが存在していなかったのです。そこで、当団体では20年8月に『位置情報等の「デバイスロケーションデータ」利活用に関するガイドライン』を制定し、データ利活用に関して、法律・法令はもとより、ビジネス倫理をもって運用に臨むことを事業者に提供しています。

 現在、当団体には位置情報データを活用したマーケティング・サービスの推進を目的とする多種多様な業態で構成される76社(24年2月現在)の事業者会員に参画していただいています。位置情報、人流データは活用ケースが増えるとともに、課題も顕在化していくでしょう。そうった課題に対して、業界団体として真摯に向き合い、ビジネスの幅を拡大、成立させていきます。

【長井 雄一朗】


<COMPANY INFORMATION>
代表理事:川島 邦之
所在地:東京都千代田区神田和泉町1-6-16 ヤマトビル405
設 立:2020年2月
URL:https://www.lbmajapan.com/

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