2024年05月21日( 火 )

日本の少子化問題に関する随想(前)

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元国連日本政府代表部大使
元国連事務次長
赤坂 清隆 氏

 NetIB-NEWSでも「BIS論壇」を掲載している日本ビジネスインテリジェンス協会(中川十郎理事長)より、元国連日本政府代表部大使や元国連事務次長を歴任した赤坂清隆氏による少子化問題に関する論考を共有していただいたので掲載する。

 2100年の日本の人口は、国連の推計では7,400万人に、日本の国立社会保障・人口問題研究所の推計では現人口の約半分の6,300万人にまで減少するとのことです。70年以上も先のことで、私などはとっくにあの世に行っていますから、あまり心配をしてもしょうがないのですが、それにしても、なぜこんなに急激に減少するのでしょうか?いろいろな要因が指摘されていますね。私の情報は、断片的で、理論的な根拠や整合性があるものではありませんが、「話のタネ」までにご紹介したいと思います。

 先進国では、だいたい押しなべて、少子高齢化問題を抱えています。歴史を遡れば、貧しい国では、貧困から抜け出すためや、幼児死亡率が高いために、8人や9人と多くの子どもを産んできましたね。そして、生活が豊かになり、幼児死亡率が低くなるにつれて、出生率は人口を維持できるための2.07を割りこんで、どの先進国でも少子化が問題にされるようになりました。従って、少子化の遠因としては、生活の豊かさの実現と幼児死亡率の減少をあげるべきでしょう。

 それにしても、日本の2023年の出生率は1.2前後と低すぎるレベルです。お隣の韓国はもっと低くて、0.72で過去最低を更新しました。これでは人口は急減していきます。日本の場合、近年の急激な少子化の原因として、種々の説が唱えられています。そのうち、まず、若い人がなかなか結婚しなくなったこと(非婚化)、初婚年齢の平均が高くなったこと(晩婚化)、そして子どもを産む年齢が高くなったこと(晩産化)を取り上げてみましょう。

 まず非婚化ですが、ご承知の通り日本では、結婚しない、いわゆるソロの若い男女が増えています。もちろん結婚しなくても子どもを産むことはできますが、法律上婚姻関係にない男女の間に生まれた子(婚外子あるいは非嫡出子)の割合が5割を超えるフランス、スウエーデン、デンマークなどとは異なり、日本では、婚外子の割合は、たかだか2.3%(2022年)にしかすぎません。ですから、結婚しない人の増加は、子どもの数の減少につながります。2022年の婚姻件数は、ピークだった1972年の件数のちょうど半分です。
出典:こども家庭庁

出典:こども家庭庁
出典:こども家庭庁
出典:NHK

 結婚しない人が増えているわけですが、50歳の段階で未婚の率(生涯未婚率)は、2020年の段階で、男性が28.25%、女性が17.81%に上っています(下グラフ)。過去20年ほどの間に急速にこのソロ人口が増えているわけですが、このままで推移すると、2030年には、男性の3人に1人、女性の4人に1人が生涯未婚者になるという衝撃的な予測も出てきています。これでは、少子化が進むはずですね。若い人たちに、「どうして結婚しないの?」「いい人いないの?」と聞きたいところですが、そのようなヤボな質問はもはやハラスメントになるか、あるいは、「不適切にもほどがある!」と一蹴されかねません。

 結婚したくないのではなくて、結婚したくても結婚できる環境にないという若者が多いと言われます。所得や雇用といった経済的な要因が大きいようです。多くの若者が非正規雇用やフリーランスなどの不安定な就労状態にあります。2023年の総務省の労働力調査によると、非正規雇用者数は2,124万人で、そのうち約7割がパート・アルバイトです。65歳以上の高齢者の非正規雇用者が417万人に増えていますが、25歳から34歳の世代では237万人、そのうち、「自分の都合の良いときに働きたい」という理由で非正規雇用の職に就いた人数が73万人となっており、10年前と比べて14万人増加したとのことです。

(つづく)

(中)

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