2024年05月06日( 月 )

ゆうちょ銀行誕生~九州の金融業界再編を検証する(8)

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(4)地方銀行(第一地銀・第二地銀) (その2)

 今日11月4日、いよいよ日本郵政三社が上場の日を迎えることになった。その一翼を担うゆうちょ銀行は、この日を境に民営化の道を歩むことになる。反面そのライバルとなる金融機関にとっては新たな戦いの始まりの日となるのだ。

加速する地方銀行の金融再編

★横浜銀行と東日本銀行
 丁度一年前の11月4日、第一地銀トップの横浜銀行(横浜市)と第二地銀の東日本銀行(東京都)が経営統合に向けて最終調整に入ったことがわかり、地銀再編の第一幕が切って落とされた。両行はその後「経営統合検討に関する基本合意書」を締結。それに基づき今年9月8日にそれぞれ取締役会を開催し、株式移転の方式により2016年4月1日をもって両行の完全親会社となる「株式会社コンコルディア・フィナンシャルグループ」を設立することを発表。
 横浜銀行と東日本銀行の総資産額は単純合算(15年3月期)で約17兆4,825億円となり、ふくおかフィナンシャルグループの15兆6,617億円を超えて最大の地銀グループが誕生する。
★常陽銀行と足利銀行
 10月26日、茨城県を地盤とする「常陽銀行」が経営破綻から再建した栃木県の地方銀行「足利銀行」を傘下に持つ足利ホールディングス(HD)が、経営統合する方向で最終調整していることがわかった。総資産の合計は約15兆円。経営統合が実現すれば、コンコルディアFG、ふくおかFG」に次ぎ、地銀グループとしては全国3位の規模に浮上することになる。

九州地銀は三極体制に

★西日本FG(仮称)
 西日本シティ銀行は10月23日、16年10月を目処に持ち株会社へ移行することを表明。九州地銀の金融再編もいよいよ本格化することになった。
 持ち株会社の名称の最有力候補は『西日本FG』で、その際西日本シティ銀行も西日本銀行に戻るのではないかと見られている。
 いずれにせよ、FGへの移行は他行との金融統合を視野に表明したものと見られている。ほぼ1年間の猶予があり、西日本シティ銀行は100%子会社の九州銀行および九州の第二地銀(豊和銀行・南日本銀行・宮崎太陽銀行・佐賀共栄銀行)を新たに傘下に加える動きを強めそうだ。
★九州FG
 10月1日に経営統合した九州FGも二行だけでは力不足で、ふくおかFGに対抗するために、十八銀行・佐賀銀行・筑邦銀行・宮崎銀行との金融統合を模索するものと思われる。
★ふくおかFG
 ふくおかFGも傘下の福岡中央銀行と、有力地銀の大分銀行との経営統合を進めていくものと
見られている。
 九州地銀の金融再編を大胆に予想したのが【表1】である。山口FG傘下の北九州銀行を除く九州地銀(17行)は、三極体制に移行するものと思われる。
 かつて九州地銀は『西の火薬庫』と呼ばれていたが、もしこの予想通りとなれば、ふくおかFG・九州FG・西日本FGの三極が、全国の地銀をリードする日はそんなに遠くないのかもしれない。

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(了)
【北山 譲】

 
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