2024年10月15日( 火 )

土木、建築で堅実に事業を行い地位を築く 次代に合わせ経営を進化させてきた60数年

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松山建設(株)

 2026年に創業70周年を迎える松山建設(株)。ISO認証を取得し、SDGs登録企業となるなど、時代に合わせて社会から要請される要素を経営に組み込み、発展を続けてきた。国や自治体から数多くの表彰を受けており、福岡県を代表する総合建設業の1社としての評価を得ている。代表取締役・松山孝義氏は今年、(一社)福岡県建設業協会の会長に就任。その活躍にさらなる期待が寄せられる。

堅実に事業を継続

松山建設(株) 松山孝義代表
松山孝義代表

    2026年に創業70周年を迎える松山建設(株)。1956年に現在の築上町で「小松組」として創業したのが始まりだ。71年に松山建設工業(株)として法人化した。当時は北九州市に本社を構え、一般土木や道路舗装などを中心に手がけていた。創業30周年の節目を迎えた87年に福岡市中央区へと本社を移転し、96年に現商号へと変更した。

 同社はその後も幅広い地域でさまざまな実績を積み重ね、福岡県を代表する総合建設業の1社としての地位を確立して久しい。しかしこの間、福岡でも多くの建設業者が姿を消していった。松山代表に、これまで長く続いてきた理由について問うたところ、バブルの波に浮ついて不動産開発に手を出すこともなく、無理に案件を増やすこともなく、淡々とだが着実に事業を行ってきたからではないかということであった。また、土木業をメインにスタートし、その後建築業に乗り出したが、土木業が落ち込んだときには建築業が業績を下支えしており、関連性の高い事業の2つを手がけていて良かったとの感想を漏らした。足元を見据えて堅実にというのが、緩やかにでも同社を発展させ、長年存続させてきたポイントなのだろう。

 一方で、直近では本社近くにある「NOT A HOTEL FUKUOKA」(福岡市中央区)という都市型コンドミニアムを竣工させたほか、創業の地である築上町の新図書館「築(きず)きのもり」(設計:隈研吾建築都市設計事務所)の整備工事を受注するなど、地域密着でありつつも、デザイン性の高い案件を手がける挑戦も続けている。

NOT A HOTEL FUKUOKA(福岡市中央区)
NOT A HOTEL FUKUOKA(福岡市中央区)

数々の表彰が信頼の証

築上町新図書館「築きのもり」(パース図)
築上町新図書館「築きのもり」(パース図)

    同社の工事は国や自治体から数々の表彰を受けている。国土交通省からは今年7月、「令和6年建設事業関係功労者など国土交通大臣表彰」において、個人表彰として松山代表が選ばれた。同省九州地方整備局の工事成績優秀企業ランキングにおいては、2020年、21年、22年、23年と4年連続で1位を獲得した。福岡市からは、今年1月に第41回福岡市工事成績優良業者に選定され、6年連続の受賞となった。同社のオフィスを訪問すると、これらの表彰状などが多く飾られているのが目に入る。顧客にも深い信頼感を与えていることだろう。

 松山代表によると、このような表彰というかたちで工事の品質と安全性などが評価されるように、会社としても積極的に取り組んでおり、最優先で力を入れていることの1つだという。こうした表彰の評価は細かい項目の積み上げであり、工期短縮などにおいていかに創意工夫を凝らすかが重要であるという。土木部門、建築部門の各部長ら幹部もさまざまなフォローを行っており、それは現場だけではなく、監督官庁に対してもきめ細かいフォローにもおよぶという。このように社内一丸となって注力している。

 こうした実績を支えているのは、同社が積極的に品質基準などを高めることに尽力してきたことによるものだろう。業界では早い段階でISO認証の取得に乗り出し、02年3月にISO9001認証、12年12月にISO14001認証、15年2月には建設業労働安全衛生マネジメントシステム(コスモス)認証を取得している。

 SDGsも強く意識し、安全配慮、社員教育など17項目中の15項目において実践しているほか、福岡県や北九州市の SDGs登録制度の事業者としても認定を受けている。

時代に合わせた取り組み

 このように、同社がISO、SGDsという社会から要請される要素を経営に巧みに組み入れて運営してきたことがうかがえる。松山代表は、社内のさまざまな会議もより生産的になっていると手ごたえを感じているようだ。

 社員の待遇改善にも長年取り組んできた。働き方に関して、最も注目すべき取り組みは、完全土日週休2日制を実現していることだろう。かつての建設業界からは想像できない変化であり、地場の建設企業で同様に実施しているケースはまだ少ない。この数年で建設の案件が増え、職人不足も懸念されるなか、休日を確保しながら工期に間に合わせ続けることは容易なことではない。そうした地道な努力の積み重ねが国や自治体からの表彰にもつながっている。

 高齢でも続けて貢献したい社員と、そうした社員に残ってほしい会社側と双方のニーズが一致すれば、雇用継続に柔軟に対応しており、70歳近くでも活躍し続ける社員もいる。65歳で給与を抑えるといったことはしていないという。

 松山代表は今年、(一社)福岡県建設業協会の会長に就任し、福岡の建設業界でさらに大きな役割を担うようになった。松山氏は同協会の課題として働き方改革などさまざまな課題があるとしつつ、もっとも重要なこととして福岡での事業量を確保することを挙げる。国土交通省と意見交換をしつつ、それらの課題の解決に向けて尽力すると意気込みを新たにする。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:松山孝義
所在地:福岡市中央区高砂2-24-23
設 立:1956年9月
資本金:4,000万円
TEL:092-533-0001
URL:http://matsuyama-k.co.jp

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