大正製薬、健康食品で初のステマによる景表法違反 インフルエンサーのSNS投稿を利用
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インフルエンサーに依頼して投稿してもらった内容をサプリメントの広告に使用しながら、「PR」などと明記しなかったことがステルスマーケティング(ステマ)に当たるとして、消費者庁は11月13日、大正製薬(株)(東京都豊島区)に対し、景表法違反により、再発防止策の整備などを求める措置命令を出したと発表した。健康食品分野のステマによる行政処分は、今回が初のケースとなった。
同社は自社サイト「大正製薬ダイレクトオンラインショップ」で、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)を配合したサプリメント「NMN taisho」をインターネット通販によって販売。今年4月3日と4月19日~5月22日の期間に、インフルエンサーがSNSに投稿した内容を抜粋した上、「PR」「プロモーション」などの表示もなく、自社サイトに掲載していた。
具体的には、「〇〇〇様」とともに「いくつになっても自分らしく、“今が最高”と思える活き活きとした日々を過ごしていきたいですね!」「原料から製造まで徹底管理されてる国内製造!! 体に入れるものは安心できるものが良いよね!」「1日目安3粒ずつの個包装になっているので衛生的でとても便利!」と記載していた。これらの表示は、3人のインフルエンサーがSNSのインスタグラムに投稿した内容だった。
消費者庁の調べによると、同社は広告代理店を経由し、「富裕層かつ美意識の高い女性に向けて訴求力を有しているインフルエンサー」(表示対策課)に投稿を依頼。投稿すると、約3万2,000円相当の同商品1個と報酬を支払うという条件を提示していた。報酬額にはバラツキがあり、1人につき1万円前後が支払われたという。
同社は、3人のインフルエンサーによる投稿を自社サイトに使用していたが、その際、表示内容の一部を抜粋し、インスタグラムで見られた「PR」などは記載していなかった。投稿の依頼時には、「#pr」「#NMNtaisho」などの記載を求めていた。
ステマ規制開始後、行政処分は3件目
消費者庁では、インフルエンサーに対して商品の無償提供と報酬の支払いを条件に投稿を依頼し、その一部を抜粋して自社サイトに掲載したことから、同社が表示内容の決定に関与したと判断。これに加えて、事業者の表示(広告)であると一般消費者が判別できないため、ステマに該当すると認定した。
消費者庁は同社に対し、表示が景表法違反である旨の一般消費者への周知、再発防止策の整備と役員・従業員への周知徹底などを命じた。同社はホームページ上で、「今般、措置命令を受けましたことを真摯に受け止め、再発防止に努めてまいります」とのコメントを発表。問題となった表示は削除したとしている。
景表法に基づくステマ規制は昨年10月にスタート。これまでに、クリニック経営者やフィットネスジム運営業者が行政処分を受けている。ステマ規制の開始後、景表法違反に問われたケースは今回が3件目となった。
【木村祐作】
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