国道3号鳥栖拡幅、26年度内に4車線化へ 鳥栖の交通効率化に期待
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23日、国土交通省九州地方整備局佐賀国道事務所は佐賀県鳥栖市内の国道3号鳥栖拡幅事業について、2026年度内に4車線で開通する見通しになったと発表した。これによって、北部九州の交通の要衝として近年さらに重要度を増している鳥栖界隈において慢性的に発生している交通渋滞の緩和や交通安全性の向上、物流効率化、企業誘致促進など、地域の活性化に資する効果が期待されている。
国道3号鳥栖拡幅は、九州最大級の交通結節点である鳥栖IC周辺の慢性的な渋滞緩和を目的とする事業で、08年度に事業化された。事業区間は、鳥栖市姫方町から酒井西町に至る2.4kmで、第3種第1級道路(設計速度80km/h)として、幅員25.25m、4車線化を目指している。
今回、用地買収がすべて完了し、残る工事工程の精査を行った結果、26年度内の4車線開通が可能との見通しに至ったとして、佐賀国道事務所は「一日も早い開通に向けて工事を推進する」としている。
鳥栖拡幅区間は、とくに曽根崎交差点などで旅行速度が20km/h台以下に低下するなど、深刻な交通混雑が発生していた。また、死傷事故件数は佐賀県内国道平均の約3倍に達し、その約7割が追突事故とされる。こうした背景から、鳥栖拡幅により交通混雑と事故リスクの大幅な低減が期待されている。
物流交通の要衝・鳥栖の輸送効率強化へ
物流面でも効果が見込まれている。当該区間は大型車混入率が九州平均の約3倍と高く、九州全体の物流大動脈を担う路線であるが、慢性的な渋滞が輸送効率を阻害していた。4車線化後には、姫方町交差点~商工団地北入口間での所要時間が現行の7分から約3分に短縮され、輸送時間の正確性向上と業務効率化が図られる見通しだ。
周辺地域では、鳥栖商工団地(51.6ha、90社以上)、グリーン・ロジスティクス・パーク鳥栖(46.1ha、約30社)など既存の物流拠点に加え、新たにサザン鳥栖クロスパーク(約34ha)が整備される予定で、すでに東急不動産(株)が優先交渉権を得ている。また、久光製薬(株)によるSAGAグローバルリサーチセンターが24年3月に竣工し、アサヒビール(株)鳥栖工場も29年操業開始予定で進出が決定している。
これら企業立地の進展を背景に、鳥栖市の従業者数は12年に比べ21年までに約4,000人増加しており、製造品出荷額も増加傾向にある。高速道路アクセスの良さが企業進出の大きな決め手とされるなか、国道3号の渋滞緩和によるアクセス性向上は、さらなる企業誘致と雇用創出につながると期待される。
国道3号鳥栖拡幅の完成は、単なるインフラ整備にとどまらず、地域経済に波及する多面的な効果をもたらすものとして注目される。
【寺村朋輝】
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