サッカーJ1リーグ・アビスパ福岡は6日、ホームのベスト電器スタジアムに鹿島アントラーズを迎えて第15節の試合を行った。古豪・鹿島は今シーズン好調をキープ。ここまで9勝4敗1分けで首位に立っている。得失点差は+12、日本人ではトップクラスの攻撃力をもつFW鈴木優磨と昨シーズン21得点を挙げたFWレオ・セアラの二枚看板が強みの攻撃的なチームだ。
対するアビスパは、4月上旬に一度は首位に立ったものの、4月下旬からゴールデンウイークにかけては苦戦が続く。4月20日は清水エスパルスに1-3と大敗、4月25日のファジアーノ岡山戦では試合終了間際に同点ゴールを許して勝利を逃す。ゴールデンウイークに入った4月29日は湘南ベルマーレと無得点で引き分け、5月3日のサンフレッチェ広島戦では試合終了直前にPKを与えて1-2と敗北。4試合勝利なしと難しい状況が続いている。
試合は、両チームの勢いがそのままピッチに現れるかたちとなった。ボールを握って前進する鹿島に対し、アビスパは前線からのプレスが功を奏さず、鹿島が試合を支配する。22分にはアビスパがコーナーキックを獲得。ゴール前の混戦からこぼれたボールをMF紺野和也がダイレクトで狙うが、これは惜しくもゴール上に外れる。

28分、この日先発起用されていた鹿島FW田川亨介の頭部にボールが直撃して交代を余儀なくされる。そのためベンチスタートだったFWレオ・セアラがピッチに入る。レオ・セアラは交代直後から躍動し、32分には直接フリーキックでゴールを狙うが、これはGK永石拓海が左手一本でセーブ。そして39分、レオ・セアラがペナルティエリア内にドリブルで攻め上がったところにDF田代雅也が後ろから迫る。ここでレオ・セアラが転倒、これが田代のファウルだとしてペナルティキックの判定。レオ・セアラがきっちりと決めて、鹿島が先制した。

試合の中継映像を見直すと、田代はほとんどレオ・セアラに触れていない。この試合では、このPK以外にもアビスパにとって納得しがたい判定が多く、アビスパサポーターからは審判団に対するブーイングがたびたび巻き起こった。ただ、サッカーにおいて主審が下した判定は絶対。選手たちのプレーを最も近い位置で見ている審判が下すジャッジを信頼することは、サッカーの試合が成立するための大前提だ。悔しいが、ここは納得せざるを得ない。
後半に入って57分、金明輝監督はFWウェリントンを始めとした攻撃的な選手交代を行って巻き返しを図るが、そのウェリントンがトラブルに遭う。74分、ゴール前での空中戦で鹿島DFキム・テヒョンと交錯したウェリントンは、顔と左太もも裏を押さえて倒れこみ、負傷交代を余儀なくされてしまう。

試合巧者の鹿島アントラーズは、1点リードのまま、うまく時間を使って試合をクローズさせた。連敗を喫したアビスパは、5戦未勝利と難しい流れが続く結果となった。だが、次の試合はすぐにやってくる。週末には横浜に移動し、アウェーの横浜FC戦が待ち受けている。苦しむチームとサポーターにとって、最大の良薬は勝利。次節に勝利を挙げて、アビスパに関わるすべての人が笑顔になることを望みたい。
ゴールデンウイーク最終日のこの日、ベスト電器スタジアムには今季最多となる1万4,039人の観客が詰めかけた。もちろんアウェーの鹿島アントラーズサポーターも多かったが、メインスタンドやバックスタンドの座席もしっかり埋まっていた。できることなら、毎試合これくらいの観客が入ってほしいものだ。
そのためにも、やはり必要なのは勝利。次節横浜FC戦(5月10日)での勝利を期待したい。

【深水央】