小正醸造会長が城山観光に事前質問状 経営透明性と継続性に懸念 株主の対応注目
「城山ホテル鹿児島(SHIROYAMA HOTEL kagoshima)」を運営する城山観光(株)(本社:鹿児島市、矢野隆一代表。以下、同社)が6月25日に開催予定の定時株主総会を前に、同社の株主である小正醸造(株)の小正芳史会長が事前質問状を提出したことがわかった。提出日は6月20日付。
小正氏は、同質問状のなかで、同社の経営実態や子会社売却の透明性、財務制限条項違反、将来の経営の持続可能性など、複数の懸念点を指摘。企業価値の向上と経営の健全化を目的に、詳細な情報開示と説明責任を求めている。
とくに注目されるのは、同社の5期連続の経常損失と、それを一時的に補った子会社「モリナガ」の売却益計上に対する疑問だ。鹿児島市内でパチンコ店10店舗を運営するモリナガは貴重な収益源とみなされていた。もともとパチンコ事業は同社の事業部門だったが、2006年の私的整理に基づく再建の過程で分離され、08年に(株)モリナガとして新設された経緯がある。当時、創業家が保有していた城山観光の株式を放出し、小正醸造などの地場企業や鹿児島銀行などの金融機関が引き受けるかたちで持株構成が大きく変化した。
小正氏は、質問状でモリナガ売却先の選定プロセスや売却価格28億円の妥当性、さらに1億5,160万円にのぼる売却費用の内訳、売却したにもかかわらずモリナガの借入金17億円への債務保証負担を行っていることについての説明などを求めている。
データ・マックスの取材に対し小正氏は「城山ホテルは鹿児島県民の財産。繁栄しないといけないが、今後の経営状況が心配だ。赤字が続くなかで収益源の子会社を売却し、借入金を残してどうするのか。事業報告書を見てもわからないことが多すぎる」とコメントしている。
小正芳史氏は、鹿児島県中小企業団体中央会の会長としても地域経済を牽引する地元財界の重鎮である。今回の問題提起は、経営の透明性と説明責任を求める声として重みをもつ。総会での同社の対応と説明、他の株主の対応が注目される。
【鹿島譲二】