2022年05月19日( 木 )
by データ・マックス

韓国経済ウオッチ~航空産業の三国志(後)

日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 それでは、日本の航空産業はどうだろうか。
 日本も11月11日に、三菱航空機の小型ジェット機である「MRJ」が試験飛行に成功した。日本が独自開発した飛行機の試験飛行に成功したのは、1962年の「YS-11」の試験飛行以来、40数年ぶりである。日本は第二次世界大戦当時に、年間2万5,000機の戦闘機を生産できるほど航空産業が発達していたが、連合軍の総司令部が日本の航空機の開発を禁止したため、日本の航空産業は衰退の道をたどることになった。その後、YS-11の開発で航空産業は復活するかと思われたが、YS-11は価格競争力がなく市場で受け入れてもらえず、73年には旅客機の生産を中止することになった。第二次大戦当時に戦闘機をつくっていたエンジニアは、仕方なく自動車の生産に従事することになり、その結果、日本は世界的な自動車産業を持つように至っているのである。


 今回、試験飛行に成功したMJRは、実は2008年から開発に取り組んだ近距離の運行に適した小型飛行機で、航速距離は3,380km、標準型の座席数は78席と92席である。海外他社の同じクラスのモデルに比べると、燃費が20%ほど改善されているようだ。
 三菱航空機は、今後20年間で5,000機の小型旅客機の需要が見込まれるなかで、半分くらいのシェアを取るという目標を掲げている。すでに日本の全日空と、米国のスカイウェスト航空などの6社から400機以上を受注しているようだ。
 日本は今まで、米国と飛行機の共同開発をしながら、部品開発に力を注いできたため、部品ではすでに相当の力を持っている。ボーイングの部品の3割以上は日本の部品で構成されているようだ。今後、日本は部品だけでなく航空機の製造にも力を入れようとしていて、高速鉄道と同じように中国との激しい競争になりそうだ。


 最後に、韓国の航空産業はどうだろう。
 韓国の航空産業も、最近、成長に勢いがついている。韓国の航空機製造の規模は、去年43億4,000ドル(約4兆8,000億ウォン)で、前年対比で20.5%の成長を記録している。2000年に入って韓国は、飛行機の独自開発に成功し、航空産業は急激に成長し始めている。それと同時に、部品産業も着実に成長している模様だ。


 そのような状況下で、航空産業の受注額は、今年初めて10兆ウォンを上回りそうだ。航空産業は多品種少量生産が多く、産業の特性上、自動化も難しいため、航空産業に従事する人は今後増加が予想される。航空産業に従事している人は、2010年には1万名ほどであったが、去年は1万2,407名になっている。
 韓国政府は、今後、巨大産業に成長するに間違いない航空産業を育成するために、具体的な計画を作成中だ。2020年までに航空産業で世界7位に入ることを目指し、航空企業300社を誘致し、新規雇用7万人を創出するという計画を打ち出している。
 世界的に見たときに、航空産業の市場規模は造船産業の4倍以上になるとのことだ。韓国は、造船産業においては中国、日本と世界一を争っているが、航空産業においては存在感があまりない。航空産業では韓国は後発であるし、先進国との競争になるため、先進国を追い抜くためには、韓国の強みを活かす戦略とニッチ戦略を駆使する必要がある。そして何よりも、コア技術の確保が大事で、政府は技術開発のために積極的な投資と支援が必要になる。
 航空産業は先進国になるための必須条件で、航空産業は宇宙産業とも密接なつながりがあるため、韓国としては必ず挑戦し、成功を収めないといけない分野である。このような巨大産業で、日中韓の競争は激しさを増しそうだ。

(了)

 

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