2022年05月19日( 木 )
by データ・マックス

「花燃ゆ」終わる~地方創生に暗い影

syoukasonjuku_1-300x194NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」(オリジナル作品)は、13日に最終回が放映されたが、同時間帯にFIFAクラブワールドカップ2015の準々決勝(サンフレッチェ広島-TPマゼンベ戦)が大阪で7時30分にキックオフ。「花燃ゆ」がスタートした直後に塩谷選手が先制点を挙げるなど、大きな盛り上がりを見せた。結果はサンフレッチェ広島が3-0で快勝した。
 その影響を受けたのか最終回の平均視聴率も12.4%(ビデオリサーチ調べ 関東)と低調だった。通算の視聴率は12.00%となり、2012年の「平清盛」の12.01%を下回って、過去最低となったという。


 NHKの大河ドラマがスタートしたのは1963年(4月~12月)。第一作は井伊直弼を主人公とする「花の生涯」(原作:舟橋聖一)で、「花燃ゆ」は54作目だ。
 山口県を舞台とする大河ドラマは、1977年の「花神」(15作目)だった。周防の村医者から倒幕司令官として活躍。後に明治新政府の兵部大輔にまで登りつめ、日本近代軍制の創始者となった大村益次郎が主人公。吉田松陰や奇兵隊の高杉晋作などが登場したドラマだった。
 それから38年後に山口県を舞台とする「花燃ゆ」が決まったが、放映に至るエピソードがある。2012年12月の衆議院選で自民党が圧勝。12月26日に第96代内閣総理大臣に安倍晋三自民党総裁が選出されて、第2次安倍内閣が発足。
 一方第21代NHK会長には安倍総理に近い籾井勝人氏が翌年1月25日に就任。共に三井物産の出身でもあり、総理のご機嫌を伺うかのように絶妙のタイミングで「花燃ゆ」が決まったという。真偽のほどは不明だが、長州の吉田松陰の妹という無名の主人公を題材にしたところを見ると、そうなのかもしれない。
 11月の定例記者会見の席上、籾井会長は視聴率が低迷している「花燃ゆ」について聞かれ、『ちょっと、人を殺し過ぎですよね。楫取素彦役の大沢たかおさん以外、みんな死んでしまった。あまり人が死ぬドラマは良くないですよね』と他人事のように語っているが、果たして原因はそうなのだろうか。


小雨にけむる松下村塾


 「花燃ゆ」が最終回となる13日、井上真央演じる美和と兄吉田松陰に所縁のある萩の松下村塾を訪れてみた。掃除をしている女性に聞くと、『昨年の1.7倍の人出です』との言葉が返ってきたが、小雨が降っていたこともあり、観光客の姿はそんなに多くない気がした。散策するうちに、『かくすればかくなるものと知りながら已むに已まれぬ大和魂』が浮かんできた。
 この句は吉田松陰が1854年(安政元年)3月、江戸へ護送され高輪の泉岳寺を通った時に、赤穂浪士へ思いを寄せて詠んだといわれる。
 松陰は自分の行動を赤穂義士になぞらえ、志を貫徹するには結果はどうであれ、己の信じる道を突き進むことを、みずからにいい聞かせた心情が読み取れる。
 余談になるが、筆者も松陰と同じ心境から、昨年秋「実録頭取交替」(講談社)を発刊した。準主
人公の「堀部正道」の名は、四十七士の一人である堀部安兵衛に由来している。


 安倍総理は地方創生を掲げて景気浮揚に必死に取り組んでいるが、「花燃ゆ」が低視聴率で
終わったため、お膝元の観光ブームに暗い影が漂うことになった。
 籾井会長の今の心境は、『かくすれば(花燃ゆを放映すれば)かくなるもの(低視聴率になるもの)と知りながら已むに已まれぬ大和魂(お友達付き合い)』ではないだろうか。籾井NHK会長の責任は重いものがあると言えよう。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 

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