福祉バスからAIオンデマンドバスへ 「のるーと粕屋」運行開始

のるーと粕屋

 福岡県粕屋町では9月29日(月)から、AIオンデマンドバス「のるーと粕屋」の運行を開始した。

 従来のバスのように時刻表や決まったルートがなく、AI(人工知能)が予約の状況に応じて運行ルートを考えながら走行する予約制の乗り合いバスで、多くの乗客を乗せるために途中で寄り道したり、乗客の乗り場をシステムが決めたりするのが大きな特徴となっている。

 利用予約はLINEやアプリ、電話から可能で、予約時間になったら、町内163カ所に設けられたミーティングポイント(乗り場)にきたバスに、運転手に予約番号を伝えて乗車する。バス1台の定員は最大8名で、予約をした方のみが利用可能。運行エリアは粕屋町内全域で、運賃は大人(中学生以上)200円、小学生100円、障がい者100円(同乗の介助者も1名まで100円)で、乳幼児(未就学児)は無料となっている。

 同町ではこれまで、1993年度に運行を開始した福祉バス「ふれあいバス」を走らせており、利用者の要望に応えるかたちで運行経路の増加など、さまざまな改善策を行ってきていた。

 だが、町民アンケート調査の結果、町民の約9割が「利用したことがない」という実態が判明。「利用したい時間に運行していない」「利用したい行先地がない」「時刻・路線などがわかりにくい」といった課題を解決するため、これまで町では、ふれあいバスの増便やコミュニティバスへの転換を検討したが、最終的に今回のAIオンデマンドバスの採用に至った。なお、これまで運行していたふれあいバスは、11月30日(日)をもって、その役割を終える予定だ。

 なお、粕屋町では今年2月に、同町と九州旅客鉄道(株)(JR九州)、西日本鉄道(株)(西鉄)、さらに「のるーと」の自主運行を手がけるネクスト・モビリティ(株)の4者で、「粕屋町における持続可能な公共交通体系の構築に関する協定」を締結。4者それぞれが運行する公共交通の利用促進や乗り継ぎの利便性の向上、町全体の公共交通網の見直し、新技術・新サービスを活用した交通手段の検討を行い、今回の「のるーと」の運行開始に漕ぎ着けた。

【坂田憲治】

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