読売の「高市首相・解散検討」報道を受けて福岡政界の反応

    9日午後11時に読売新聞が速報を出した高市早苗首相(自民党総裁)が23日召集予定の通常国会冒頭で衆院を解散する検討に入ったとのニュースは、与野党に驚きと衝撃が広がった。早くも総務省は全国の自治体に総選挙が行われる可能性について通知を発出している。

麻生・萩生田氏への根回しなし

 翌日の同社朝刊では高市首相の写真入り1面トップで大きく報じ、「衆院選は2月上中旬に実施される公算が大きい」と見通しを述べたうえで「首相は『強い経済』『責任ある積極財政』を掲げる経済政策を争点に位置付けることになりそうだ」と解散の大義を推測した。

自民党本部で挨拶する高市首相(自民党総裁)
自民党本部で挨拶する高市首相(自民党総裁)

 記事に「政府関係者が明らかにした」とあるが、官邸サイドであるといわれている。しかし、自民党幹部である麻生太郎副総裁や党側の要である萩生田光一幹事長代行への事前の根回しはなく、側近の木原稔官房長官など官邸の少数で進め読売にリークしたようだ。

 麻生氏は早期の解散自体には積極的であることは知られるが、「報連相」を大事にする人でもある。この週末、地元で解散に否定的な発言をしている。麻生氏の胸中は「いったい誰のおかげで総理になれたと思っているのか」という思いがあるだろう。はたして麻生氏の意向を無視してでも強行するだろうか。

 萩生田氏は元フジテレビキャスター・反町理氏のYouTube番組「NEXTV LAB」に出演したが、解散時期について予算を成立させることを優先すべきと主張。「安定政権には連立拡大は必要」として国民民主党へ秋波を送った。
 この番組で萩生田氏は「高市さんは夏の選挙は大嫌いだから」と語っていたが、参院選は夏に行われている。熱中症になるほどの炎天下の選挙はたしかにつらいが、見方を変えると暑い時期を避けて選挙をしたほうが良いと早期の解散の可能性を示唆したとも受け取れる。

 日ごろ、高市氏を支持する岩盤保守層や文化人からも、慎重意見が出ているが、支持率は高いとはいえ党内の根回しや調整を経ないまま解散に突入することのリスクがあるからだ。再び選挙に敗北すれば、悲願のスパイ防止法や憲法改正などが遠のいてしまう。保守層はそのことを危惧している。
 多くの自民党衆議院議員は公明党から選挙協力を受けてきた。地元代議士も選挙のたびに「比例は公明に」と声を挙げていた。昨秋の自公連立解消は、自公両党やそれぞれの支持者の間でも歓迎する声が多かったが、いざ選挙となると不安は大きい。

 報道各社の全国世論調査で高市政権の支持率は7割前後で推移している。高支持率を背景にして衆議院解散に踏み切る方向性が高いが、冒頭解散となると首相の施政方針演説は見送られる。1月27日公示→2月8日投開票、3月3日公示→15日投開票の案があるようだ。

 衆議院では維新離党組を加えて過半数(233議席)を得たものの、参議院は少数与党でねじれ国会にある。国民民主党から26年度予算への賛成の言質を得ているが、政権の安定には選挙での信任を得たいとの思惑がある。

 加えて、台湾有事に関する自身の答弁により、中国による経済的圧力が強まっているが選挙の信任による政権基盤の強化や、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の韓鶴子総裁の逮捕に関連して韓国検察当局が押収した「TM(トゥルーマザー・まことの母)特別報告書」に高市首相の名が32回登場するなど旧安倍派を中心とした日本政界と教団の癒着について国会で追及されることを回避する狙いがあるのではないか。

 読売が解散の大義と紹介した「責任ある積極財政」であるが、高市氏は多くの国民が求める消費税減税に消極的で、高額医療制度の改悪を決定するなど本当に国民生活が改善される方向にあるのか疑問がある。国家国民のためではなく、失政隠しが根底にあって解散するとなれば、政治に対する国民の不信感はさらに高まりかねない。

 今回の解散検討報道を受け、現職議員や各党の地方議員などに受け止めを聞いた。

(1)   衆議院議員 緒方林太郎氏(有志の会・福岡9区)
 こればかりは総理1人で判断できるものですから、私は常に「受けて立つ」という姿勢です。解散報道にビビッていては衆議院議員はやれません。福岡県の11選挙区の多くは自民がとるのでは。2区が大激戦となるでしょう。

(2)    鷹木研一郎元北九州市議会議長(自民党)
 日本の外交、防衛政策など幅広く論議が交わされる昨今、これらの方向性を示すために国民の信を問うという観点から解散総選挙については賛成であるし当然だと思います。
高市総理の目指す日本のカタチを堂々と打ち出し国民の判断を仰げばいいと考えます。

(3)   国民民主党福岡県内地方議員
 常在戦場ですね。心の準備はしていました。それでも突然で対応を急ぎたい。

(4)   立憲民主党福岡県連幹部
 まだ解散について正直半信半疑だが、読売は政局報道に定評がある。県連として選挙体制を組んでやっていきます。各総支部で取り組みを進めてもらえるようにしていきたい。はたして予算を後ろ回しにしてまで解散を行うのか見極めたい。

(5)   福岡県議会議員渡辺美穂氏(社民党)
 高い支持率を受けて、半分以上抜き打ち感の拭えないタイミングでの実施であるとすれば、大変残念です。なぜなら、九州は倒産件数が増加し、今多くの国民が物価高騰で辛い状況なので、予算はできる限り早期に決定してほしいからです。

(6)   自民党福岡市議
 永田町・霞が関で飛び交っている情報を収集していますが、かなり確度が高いようですね。総選挙をやる時期の説明がつきにくいかもしれないということに、一抹の不安を感じます。当面の物価高対策は大型補正で打っているので、国民生活後回しという批判はかわせると思います。一方で、次年度の予算が年度内に成立せず、公債発行特例法など年度内成立が必須のものが怪しくなるのではという懸念があるものの、首相周辺にはこうした「国対的」視点はないようですね。一部、週刊誌報道もあった首相本人の政治資金問題や円安、中国レアアースなどさまざまな課題を強行突破するための解散だということが有権者に見透かされるリスクも大いにあり、まるで丁半博打みたいです。

【近藤将勝】

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