「地域に建設業を残したい」飯塚市建設業協同組合が発足

飯塚市建設業協同組合
代表理事 小倉信一 氏

飯塚市建設業協同組合 代表理事 小倉信一 氏
飯塚市建設業協同組合
代表理事 小倉信一 氏

 2025年4月、飯塚市に拠点を置く(株)赤尾組、(株)幸信、(株)みぞえ住宅、友信建設(株)の4社が発起人となり、飯塚市建設業協同組合が設立された。人手不足や後継者の不在、建設費の高騰など、業界が直面するさまざまな課題に対して、共助の精神で解決を図る。今回、同組合の代表理事であり、友信建設・代表取締役でもある小倉信一氏に、同組合設立への経緯や思いを聞いた。

地域事業者の事業活動を支援

 ──2025年4月に組合を設立されました。まずはその経緯について教えてください。

 小倉 建設業界では、就業者数の減少や後継者の不在に加えて、資材の高騰、金利上昇など、環境の急激な変化にともない、事業活動を継続していくことが容易ではなくなってきています。中小企業ともなればなおさらです。地方自治体も事業承継支援や、公共工事における適正価格での発注など、後方支援の拡充に努めていますが、十分とはいえません。事業継続に向けた取り組み、自治体への相談など、1社では対応困難なことも組織力の発揮により解決していきたい。そうした地域建設業に対する思いを同じくする有志4社が集まり、飯塚市建設業協同組合を設立することになりました。

 ──課題解決に向けて、地域事業者一丸となって取り組んでいくということですね。

 小倉 たとえばですが、最近スズメを目にする機会が減ったと感じませんか。捕獲する人が増えたわけでも、稲刈りの時期に邪魔だから駆除されたというわけでもありません。住み家がなくなったのです。昔はスズメの巣づくりに適した茅葺き屋根の家が多かったのですが、住まいをめぐる環境も変わり、今では茅葺き屋根の家はほとんど目にしません。私たち建設業者は、スズメにはなりたくないのです。

 ──道路や水道などの生活インフラの老朽化や災害発生時の対応など、地域の安心・安全な暮らしに建設業者の存在は欠かせません。

 小倉 その点だけで見ても、やはり後継者不在が喫緊の課題です。友信建設は約10年前に環境施設グループの傘下に入る決断を下しました。M&Aの活用による事業承継の可能性など、経験に基づく知識を積極的に組合内で共有していきたいと考えています。   

地域に建設業者が残るために

 ──組合設立からまだ日は浅いですが、現在の加入企業数について教えてください。

 小倉 現在8社となっています(25年12月取材時点)。飯塚市は10万都市ですが、長い間建設業者による組合が存在していなかったこともあり、組合としての活動展開に賛同していただける企業も着実に増えてきています。2カ月に1度の会合開催で、先ほど述べた通り経験則に基づくノウハウの共有や、働き方改革などの法制度に対して、組合としていかに対応していくのかなど、協力して課題解決に取り組んでいければと思います。

 ──25年からは、福岡県でも最低時給が1,000円を超えました。

 小倉 中小企業にとって、人材の確保・定着に向けて越えるべきハードルは高いですが、組合内で協力できることもあると思います。私たち建設業者は、地震や集中豪雨など、災害発生時に復旧工事にあたります。テレビ報道などで、重機が稼働している様子や作業員が働いている様子を目にする機会は少なくないはずです。社会基盤を支える建設業者は、医療従事者などと同じくエッセンシャルワーカーなのです。ヒーローになる必要はありませんが、縁の下の力持ちとして社会を支えている存在だということを、業界内外にいかにアピールしていくかも、今後重要だと考えています。

 ──最後に、今後の展望についてお聞かせください。

 小倉 まだ設立後間もない組合ですが、ある程度骨格ができあがった時点で、飯塚市とも積極的に意見交換などを行っていきたいと考えています。地元の建設業者が、これからも地元に根付いた事業活動を展開していくためにも、そうしたことが必要ではないでしょうか。組合設立への思いや掲げた目標が、絵に描いた餅になってしまわないように、単なる懇親が目的ではなく、学んだことを実践して各社が事業を発展させることで、地元のまちづくりに貢献する、そんな組合を目指していきたいと考えています。

【代源太朗】


<INFORMATION>
飯塚市建設業協同組合

所在地:福岡県飯塚市新飯塚19-26
設 立:2025年4月
TEL:0948-23-4824

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