福岡市地下鉄の福岡空港国際線ターミナルへの延伸について(前)

1.福岡空港の国内線と国際線をつながない計画はどうなのだろうか?
(参照:図-1)

 先日のニュースでは、市営地下鉄七隈線を博多駅から国際線まで延伸する計画が発表されていた。福岡空港国際線ターミナルに地下鉄がつながることは、国際線の利用者にとって、現在のバス・タクシー・自家用車の利用に加えて、もう1つの公共交通手段ができることで、大変歓迎すべきことではある。ある意味もっと早く、滑走路二重化の事業決定をした段階で、国際線ターミナルにアクセスする決断をすべきであったとも考えられる。

 しかし、今回のこの計画ルート案をよく見てみると、一見便利で良さそうに見えるが、都市計画・都市交通の観点から考えてみると実はそうでもない。どういうことかというと、今回は地下鉄七隈線を博多駅から国際線ターミナルまで延伸するというもので、国内線ターミナルと国際線ターミナルをつなげるものでもなく、それから先の計画案がないからである。

 もともと福岡空港は滑走路を挟んで、国内線ターミナルと国際線ターミナルに分かれて配置されてしまったことが問題なのであるが、これに輪をかけて地下鉄までもが国内線と国際線をつながないという不思議な計画はあり得ないだろう。空港内をシャトルバスが無料で往復運行しているから良いというわけにはいかないのである。この計画ルート案だけで終わってしまったら、おそらく博多駅ばかりに利用客が集中し、今以上に大きなバゲージを抱えた旅行者が右往左往して大混雑することになるのは目に見えている。つまり「地下鉄利用者の動線を考えて、『将来的に』どの駅をハブにして、どこの駅とどこの駅をつないで、ネットワークをつくるのかが福岡市民や地下鉄利用者に示されておらず、行き当たりばったりの計画になっている」ということなのである。この『将来的に』というのが重要である。

図-1 地下鉄七隈線 博多―福岡空港国際線ターミナル 延伸計画案
図-1 地下鉄七隈線 博多―福岡空港国際線ターミナル 延伸計画案

2.ベトナムの地下鉄ネットワーク構想の計画を見習うべし
(参照:写真-1・2・3)

 2024年12月にベトナムのホーチミン・シティに地下鉄1号線が開通した。筆者はその視察を兼ねて、ベトナムの台所と呼ばれるベンタイン市場駅を訪れた。ここは、この地下鉄1号線の起点駅でもある。  

 そして、地下鉄コンコースに入ったとき、大変驚くべきものを発見した。それは、日本の地下鉄でもよく見かける、チケット売場の上にある地下鉄路線図の看板なのである。これを見たときに「なるほど!福岡市地下鉄にないのはこういうことなのか」と感嘆したのである。(写真1・2・3参照)

 どういうことかというと、ベトナムで初めて開通した地下鉄1号線が青色で示されているのは当然であるが、まだなにも決まっていない、地下鉄路線が駅名とともにネットワーク図として、大きくしかも堂々と掲示してあったのだ。その計画はモノレールも含め11本の軌道計画路線が示されており、「ベトナム国民に対して、将来ホーチミン・シティの地下鉄をこんな風につくり、ネットワークをこんな風に張りめぐらし、駅はここにつくりますよ。」ということを示している。

 つまりこれが、今の福岡市地下鉄のマスタープランに欠けていることなのだ。ベトナムは地下鉄ができたことで、ますます発展していくことになるだろう。

 今は予算がなくて、30年後・50年後でも構わない。将来に向けたまちづくりのグランドデザインと交通ネットワークを福岡市民に指し示す必要があるのではないだろうか。

写真1 ホーチミン地下鉄1号線ベンタイン駅の改札とチケット売り場写真1 ホーチミン地下鉄1号線ベンタイン駅の改札とチケット売り場
写真1 ホーチミン地下鉄1号線
ベンタイン駅の改札とチケット売り場
写真2 ホーチミン地下鉄路線図(青色の地下鉄1号線のみが開通)
写真2 ホーチミン地下鉄路線図
(青色の地下鉄1号線のみが開通)

(つづく)

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