3月に公表された今年の地価公示は、引き続き福岡市内の全標準地291地点が前年比で上昇する結果となった。用途別平均変動率は、住宅地が7.0%、商業地が9.0%、工業地が11.3%、全用途平均は7.8%。上昇は続くものの上昇幅は縮小するトレンドが続いており、価格水準そのものは高まりながら、伸び率は落ち着きを見せ始めている。天神・博多が安定推移する一方、箱崎や姪浜、大橋、六本松~大濠といった周縁エリアの地価上昇が目立っている。
市内7区の動向
西区除き上昇鈍化
区別に見ると、住宅地の平均上昇率は1位が西区7.9%、2位が早良区7.7%、3位が博多区7.6%と続く。商業地は1位が西区12.4%、2位が早良区10.2%、3位が城南区9.4%、4位が博多区9.1%の順となった。住宅地は西区が横ばいだったほかは、全区で上昇率が鈍化し、商業地も西区を除く全区で鈍化した。平均価格では、住宅地は中央区が59万3,100円/m2、商業地も中央区が251万5,300円/m2で突出している。
上昇率上位は、住宅地1位の大濠1-13-26が13.7%、2位の大楠3-26-10が12.0%、3位の姪の浜5-4-15と4位の次郎丸4-12-32がいずれも11.9%、5位の大宮2-4-31が11.8%。
商業地では、1位の箱崎3-13-15が18.1%、2位の北原1-7-5と3位の奈良屋町12-18がいずれも14.7%、4位の姪浜駅南1-6-19、5位の奈良屋町7-20がいずれも14.0%と続いた。工業地では、1位の松島1-28-13が17.6%上昇するなど、物流・流通立地の強さも際立った。
博多駅周辺
ホテル開発が牽引
価格順で商業地2位となった博多駅前3-2-1(日本生命博多駅前ビル)の公示地価は818万円/m2で、博多駅から徒歩2分の建替えが予想されるSRC造・地上13階建・地下3階建のオフィスビル。同じく博多駅前3丁目の住吉神社に近い立地では、2025年9月に東京資本の大手企業が取得し、大型のホテル開発を検討しているようだ。その隣地も、今年3月に大阪資本のホテル業者に売却されている。これらは博多駅前3-2-1と比べて博多駅から離れているものの、取引価格の1種単価は公示地価に迫ると聞かれている。25年3月に、(株)えんホールディングスのグループ会社が取得した、同じく博多駅前3丁目の国保会館跡地の取得価格が、かなり割安に思えるほどだ。
商業地の価格順トップ10には、4位の博多駅東1-12-6が574万円/m2、5位の博多駅前2-8-12が492万円/m2、7位の博多駅前2-17-11が421万円/m2と、博多駅周辺エリアが多くランクイン。博多駅前2丁目では、25年5月に売買された博多駅から徒歩4分ほどの駐車場が、5位の博多駅前2-8-12、7位の博多駅前2-17-11の公示地価(1種単価)を大きく超える価格で売買されたと聞かれる。さらに、博多駅東1-12-6と立地条件が近い筑紫口から徒歩1分の博多第一ホテル跡地も同年7月に売買されており、こちらの1種単価は公示価格を大幅に上回る金額と聞かれている。いずれもホテル開発が計画ないし計画される見通しで、ホテル開発が地価高騰の牽引役となっているのは間違いないだろう。
上昇率で商業地3位となった奈良屋町12-18が14.7%、5位の奈良屋町7-20が14.0%と高い伸びを示すなど、博多駅の北西、大博通りと昭和通りが交差する「蔵本」交差点の北西ブロック「奈良屋町」が上昇率で目立つ。地下鉄・呉服町駅や中洲川端駅からのアクセスも良く、オフィスビルやホテル用地の売買も近年では活発になっていることも、要因となったはずだ。
(つづく)
【永上隼人】

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