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2016年02月17日 15:00

柳川商店街再生の試み(9) 地域づくりにマーケティング発想を! 

 これまで、柳川商店街の活性化の方向性を探るために、市場環境分析やアンケート調査、ヒアリング調査などによるマーケティング・リサーチ結果を紹介してまいりました。さあ、いよいよそれらの結果を総合的に分析して、商店街の今後についての計画を語る段階です。
 ここで、これまでの記述から柳川商店街の現状と今後を総括しておきます。本調査の主要目的は、商店街内にできたマルショク跡地を活用し、いかにして柳川商店街を活性化させるかです。以下は、この点を頭に置きつつ結果の総括を行います。

syoutengai 商店街を取り巻く環境は、もはや言うまでもなく全国的に悪化の一途をたどっています。柳川商店街では、これに追い打ちをかけるように柳川駅東部土地区画整理事業におけるゆめタウン(ゆめモール)進出という緊急事態にも直面しています。
 このシリーズの前々回でみたように、商店街においては、以前は大型店が競合として捉えられていましたが、近年では、大型店の影響は動かしがたい所与の条件として捉えられており、大型店問題よりむしろ、経営者の高齢化、個店の魅力不足といった商店街自身に内在する問題を自ら指摘する状況にあります。これまでみたように、柳川商店街においてもほとんど同じ状況にあると言えましょう。

 今、我が国の経済動向は、長年続いたデフレによる消費の停滞状況から脱しつつあり、日用品はもちろん有名ブランド商品などの高額商品の売れ行きも好調な側面をみせています。また、全国の主要な商業地域ではインバウンド需要による下支えもあって好調な状況が見え始めています。
 しかしながら、地域の商店街には、大型ショッピングセンターや大型量販店の攻勢、大手ファーストフードチェーンや衣料品チェーン店のロードサイド出店など、地域の商店街が対抗し難い商業環境の変化もあります。
 このようななかで、地域の消費者の真のニーズはどの辺にあるのでしょうか。そのような地域ニーズに対応する商店街のあり方は、いかなるものであるべきでしょうか。

 今、地域の消費者は、子育て問題、いじめ問題、家族の問題、地域のコミュニケーションのあり方の問題、職場の問題とさまざまなストレスを抱えて毎日の暮らしを送っています。そのようなストレス解消をどこに求めているのでしょうか。旅行やレジャーでの外出、都会に出てのショッピングなどの解消方法はあるでしょうが、いずれもコストのかかる行為であり、そのような行動は年に数回といったところでしょう。
 日常のストレスを解消したり、人と人のつながりを求めたり、といったコミュニケーションの形成をどこで行えばよいのかを地域の消費者は考え悩んでいます。そのような様子は、アンケート結果やヒアリング結果に明らかであり、その場所を地域の商店街に求めていることも明らかでした。

 柳川の人々も、さまざまな精神的ストレスの解消の場を身近なところに求めようとしているのでしょう。家や「まち」が帰って眠るためだけのものであり、精神的な解放は郊外の商業施設や都会の商業施設、海外旅行などに求めた時代(バブル期)のライフスタイルが変化し、家族を中心とした家での暮らしを楽しむ人が増えたことにより、住むためだけの「まち」から、楽しむ「まち」を求める傾向が顕著になってきています。
 「まち」に求める人々の欲求の変化が表れてきているのです。人々は身近な「まち」でささやかな欲求を満たそうとしていると考えられます。身近な「まち」で日常生活の基本的なニーズを満たし、さらにその「まち」で地域の人々とのコミュニケーションをとろうとしているのです。このような「まち」の主要な機能を果たすのが、中心部の商店街ではないでしょうか。まさに、商店街は、人々が求める「まち」の中心ステージとして、今その役割が再び問われようとしているのです。
 商店街を、買物をする場所としてだけでなく、人が集い「まち」の人々がコミュニケーションをとる場所であると位置づけると、商店街には単なる個店の集合体だけではなく各種の役割、機能が求められます。
 商店街問題を語るときに、地域の消費者のニーズにあった商品を品ぞろえさえすれば消費者は戻ってくるとの見方があります。しかし、個店が魅力アップの努力を行うことは小売業や飲食業を営むものにとって当然のことですが、郊外ロードサイドショップやSC、量販チェーン店、さらには大都市の中心商店街などの商品力、マーチャンダイジング力に、一商店または一商店街が太刀打ちできないことは明らかでしょう。
 このような状況にあって、地域の商店街がその存在価値を見出すためには、前述のような「まち」に回帰しようとする人々のニーズを的確につかみ、これを「まち」づくりに反映させることが最も肝要だと考えられます。
 幸い、柳川商店街には、マルショク跡地という拠点形成が可能な場所があります。ここにこのような機能を集積し、地域の消費者が日々集うような施設が形成されると、柳川商店街への波及効果も表れて商店街活性化の切り札となり得るとの考えに至ります。

(つづく)

<プロフィール>
100609_yoshidaM&R 地域マーケティング研究所
代表:吉田 潔
和歌山大学観光学部特別研究員(客員フェロー)、西日本工業大学客員教授、福岡大学商学部非常勤講師。

 
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